人事担当者のための『成功する障害者雇用』実現に必要な5つの改善ポイント[2/2]

人事担当者のための『成功する障害者雇用』実現に必要な5つの改善ポイント[1/2]

2017.06.09

前回のコラムでは、5つの改善ポイントのうち2つをお話ししました。今回は残り3つの改善ポイントをお話しします。

3.《同一障害特性ばかり雇用》を改善

障害者に就いてもらいたい職場や業務が、ある障害特性にマッチしていたからだと思います。

例えば、機械の作動音がうるさい職場での検品作業などは聴覚の障害者が適しています。また、反復した同じ作業の繰り返し業務には知的の障害者が適していることがあります。など、配属先に一定数の業務量が継続して発生する場合にはこういった同じ障害者に複数就いてもらうケースが見られます。企業側としては、配慮や仕事の伝達方法、周囲の理解も得られやすいというメリットがあります。但し、この採用もあるところで限界がやってきます。昔であれば、積極的に障害者の雇用を進める企業も今ほど多くはありませんでしたので、今ほど苦労もなく必要な障害者を採用できたと思いますが、現在のように採用競争が激しい時代では同一の障害者ばかりを採用することは非常に困難です。まして、それが「身体障害者」に該当するとなれば・・・。

前項「2.同一部署だけで雇用」に共通する部分になりますが、時代に合わせて他の障害者にも採用基準を設けるということです。障害を持つ人材の採用になりますが、障害特性ばかりを見るのではなく、自社で就いてもらいたい業務に適した方かどうかで判断してください。

4.《面接後のミスマッチ》を改善

「雇用してから、ミスマッチが発覚した。」という採用担当者によくお会いします。答えは簡単で、面接での判断が概ねの原因です。

ミスマッチを100%防ぐことは不可能です。でも、面接でマッチング率をあげることは可能です。

障害者との面接を1度で終わらせるという企業が圧倒的に多いです。面接を複数回実施することで本人からの印象を明確化することが出来ます。健常者と同様に面接日に合わせて体調も受け答えのセリフもしっかりと準備してきます。1度の面接では第一印象が大きな判断材料となります。まして、障害者に関する知識がなければ最初の印象だけで決めてしまう可能性が非常に大きくなりますが、本当に必要なのは好印象な人材ではなく、与えられた役割でしっかりと成果を上げる人材ではないでしょうか。面接で23度お会いすることで最初に受けた印象と違っていた雰囲気などを感じ取ったりすることがあります。また、メールなどの連絡のやり取りを何度か繰り返すことで第一印象とは違ったイメージを持つこともあります。

これは、相手の粗探しをするのが目的ではありません。自社にとって必要な人材なのかをしっかりと見極める必要があるからです。採用後のミスマッチはお互いを不幸にしますし、周囲の従業員にとって大きな負担を掛けることになりますから。

5.《現場にまかせっきり》を改善

障害者雇用には、人材を採用するまでに越えないといけない大きな山があります。それを越えると次は雇用を定着させるという山が待っています。どちらの山も登っている最中は大変に感じてしまうのですが、ひとたび越えてしまうと次に同じ山を向かえても最初の大変さほどには感じなくなっています。

この二つ目の山となる雇用の定着の為、多くの企業が採用した人材を辞めさせないための工夫に力を注いでいます。

定着が上手くいかない企業では、採用後の職場へのサポートが不足していることがあります。採用という大きな山を越えた達成感の中、配属後は部署にまかせっきりとなってしまいがちです。そのため、部署内の交通整理が上手くいかずに本人が孤立してしまったり、対応するのは管理者のみで周囲は知らんぷりで協力体制も得られない状態となり、結果として障害者は早期の退職。その後職場から障害者雇用への協力を得ることが出来なくなってしまいます。配属後も部署が孤立してしまうことなく、人事部などの管理部門がしっかりとフォローと連携を取る体制作りが必要となります。

また、よく聞かれるサポート策としては配属先にて本人への定期面談を実施し、職場での困りごとや悩みを聞き、対処するという方法です。特に勤務当初は社内に相談相手も作りにくく、悩みなどを抱え込んでしまうケースが多々見られます。定期的な面談の実施は非常に有効的な手段ですが、更にひと工夫していただき、同僚となる周囲の従業員への面談も実施していただきたいと思います。障害者本人からのヒアリングと同時に周囲からの聞き取りも合わせることでバランスの取れた対処法を実施することが出来ます。従来からいらっしゃる従業員への配慮と意見を聞くことも障害者の雇用定着に大きくつながる役割となります。

いかがでしたでしょうか。今回の改善ポイント以外にも参考にしていただけるところがあります。それらについては今後もいくつかのまとめができた段階でお話ししていきたいと思います。

ABOUTこの記事をかいた人

上前 忠司 (日本障害者雇用総合研究所代表)

[障害者雇用コンサルタント] 雇用義務のある企業向けに障害者雇用サポートを提供し、障害者の雇用定着に必要な環境整備・人事向け採用コーディネート・助成金相談、また障害者人材を活かした事業に関するアドバイスを実施。障害者雇用メリットの最大化を提案。その他、船井総研とコラボした勉強会・見学会の開催や助成金講座の講師やコラム執筆など、障害者雇用の普及に精力的に取り組んでいる。 ▼アドバイス実施先(一部抜粋) ・opzt株式会社 ・川崎重工業株式会社 ・株式会社神戸製鋼所 ・沢井製薬株式会社 ・株式会社セイデン ・日本開発株式会社 ・日本電産株式会社 ・株式会社ティーエルエス ・パナソニック株式会社 ・大阪富士工業株式会社 ・株式会社船井総合研究所 ・株式会社リビングプラットフォーム