Q&A:失敗しない障害者の採用面接の方法ってあるの?

前回、採用した障害者の方が雇用後すぐに欠勤してしまい、結果として退職となったケースをご紹介しました。ポイントはいくつかあるのですが、面接時に気を付けた方がいい点を知っていることで雇用の失敗を回避することが出来ます。今回は障害者の採用活動をするにあたって、面接での対応方法を知りたいというご質問です。

障害者の『面接』で知っておいて損はない点をご説明したいと思います。

Q

これから本格的に障害者の採用活動を始めようと準備をしているところです。ご質問ですが、障害を持つエントリー者の『面接』で注意する点や確認をしておかないといけないことはどのようなことでしょうか。できることなら失敗をせずに雇用を進めたいと考えています。よろしくお願いします。《商社、従業員数約1,600名、採用担当者》

A

以前にもお話ししましたが、障害者の採用活動でも重要なのが『面接』です。ただ経験値がない場合、健常者と違ってどのようなことを質問すればいいのか分からないといったお話しをよく聞きます。例えば、求職者に「障害のことをどの程度聞けば良いのか分からない」「精神障害者の方に理由などを聞いても問題ないのか」といった感じです。

『面接』のときには、聞きたいことはしっかりと求職者本人に聞きましょう。障害の特徴を知っておくことはその方に対する配慮に大きくつながってきます。私の経験でお話しをしますが、『面接』のときにお互いがバリアーを張った印象を持ってしまうと雇用後に悪い影響が出る恐れがあります。信頼性が欠けると言えばいいのでしょうか。両者にとって少しでも疑問がある場合は、理由を述べてお聞きすることが大前提です。

その他に重要なポイントを3点お伝えします。

① 『面接』は複数回実施

障害者の『面接』を1回で完結させていないでしょうか。何を聞けばよいか分からなかったり、何度も足を運んでもらうのが忍びないなどの理由から1度の『面接』で採用の判断を出しているのであれば、見直しをお願いします。

『面接』を受けられる求職者のほとんどは、当日に合わせて自分自身を準備します。『面接』とは言わば「お見合い」と一緒で、第一印象が大きな判断材料となりますから、質問の受け答えや身だしなみ、体調管理など、当然のことながらしっかりと自分を整えて本番を迎えます。でも、これは1度のことだからできたのかもしれません。できれば、求職者本人と会う機会を2回以上設定していただき、初めてお会いした時と同じ印象をこちらが感じられるかどうかも判断材料のひとつにしてください。もしかすると、毎日自力で通勤することができなくなる方だったらどうしましょう。もしかすると、面接で聞かれるような想定できる質問以外の会話(コミュニケーション)に違和感を感じる方だったらどうしましょう。採用してからでは遅いです。

日常生活に制限があるために、障害としての認定を受けています。『面接』では限られた時間の中で、相手を知るというとても難しいミッションです。当然、限界もあります。しかし、採用活動である『面接』で自社に適した人材かどうかを見極めることが重要であるなら、しっかりと時間を割いてお互いを知ることに努めてもらいたいと思います。

② 生活リズムの確認

ONOFF、仕事とプライベートといった対象となる表現があります。仕事の場面では問題がないので万事上手くいっているという考えは適切ではありません。仮に求職者の方が、障害者としての生活を始められてからどの程度経過しているのかという点を確認しています。障害者としての生活が長ければ長いほど、今の自分を受け入れ、生活リズムを確立させている可能性が高いからです。

例えば、うつ病により精神障害の手帳を取得された方の場合。診断や手帳を取得されてからどの程度経過しているかを確認します。仮に1年未満だった場合、ご自身の生活リズムがしっかりと整っていない可能性が考えられます。また、主治医の先生などの医療機関との関係性もしっかりとできているかの確認も必要です。今は大丈夫であっても、お医者さんの処方を守らず勝手に薬の服用を止めたりする方であれば体調を崩してしまう可能性は極めて高いでしょう。また、休日や自分の時間過ごし方、ストレス発散法なども見つけておられる方であればとても安心できる人材と判断できます。

③ 雑談から本人を知る

障害者の『面接』では、雑談も非常に大事な役割となることがあります。堅苦しい質問や仕事に関することは、いかにも『面接』といった印象で、事前に答えなども準備することができますが、雑談となればテーマや題材が定まっていないために素の部分を知ることができます。

例えば、過去に合った失敗談やエピソードから、求職者本人では気づいていない障害の特徴を知ることもありますし、実は責任感の強いリーダーシップとしての素質のある人材だと感じることもあります。

常に自分を作っておくことは大変なことであり、いつかは本来の自分を表現しないと職場で長く働いていくことは困難です。一見して、脈略のない会話ですが、違った方向から求職者を知ることも障害者採用にとっては必要だと考えます。

意地悪な表現もありましたが、ミスマッチでお互いが不幸な結果となり、時間も無駄にしないようにとの想いからです。是非、参考にしてみてください。

ABOUTこの記事をかいた人

上前 忠司 (イルネス障害者雇用総合研究所代表)

[障害者雇用コンサルタント] 企業向けに障害者雇用サポートを提供し、障害者の雇用定着に必要な環境整備・採用コーディネート、また障害者人材を活用した事業に関するアドバイスを実施。その他、船井総研とコラボした勉強会・見学会の開催やコラム執筆など、障害者雇用の普及に精力的に取り組んでいる。講演のご依頼や雇用に関する相談は、当サイトお問い合わせからお願いします。