障害に人生の主導権を譲らない生き方

私たちは同じ人間なのに、どうやって個々を判別しているのでしょうか。

性別や容姿、考えも性格も違うから、自分とは違うと認識できるのだと思います。この違いが「個性」だと考えます。

障害者はただ個性が周りより多い、それだけのことです。その個性が障害者にとって喜ばしいものではないかもしれないけれど、持ってしまったものはそう簡単には捨てられません。

私は私。障害が私ではない。

私は生まれつき脊髄性筋萎縮症という病気を持っています。徐々に筋力が衰えていく病気で、車椅子に乗って身の回りのことはすべて介助してもらい生活しています。夜間には人工呼吸器を使用して休息を取るのです。これが私の個性の一つ。

子供の頃は七夕の短冊に「歩けるようになりますように」なんて書いていました。今を思い返すと恥ずかしいですが、あの頃は治ると信じていたようで純粋なお願いをしていました。今はこの障害とどう向き合っていくかということを考えています。筋力が落ちてできないことは年々増えていく中で、「障害があるからやりたいことができない」と言わない自分を目指したいと思っています。私は私なのです。障害が私ではありません。だから、障害に人生の主導権を譲らないようにしていかなければいけません。

もちろんこの個性が私にとって喜ばしいものではありません。「障害がなければモテたのかな?」とか考えることもあります。でも、現実を見ると同じ病気でも結婚している人は普通にいます。そうなるとこの病気という個性は関係ないのかもしれませんね。答えはまだわかりません。

人を形成している個性は一個がかけるだけで全く違う人になっていくでしょう。きっと病気がなければ私は私ではなくなっていると思います。今この立場にいるからこそ見えるものがあり、今の自分だからこそできることややりたいことがあるのです。

障害という個性を持っている人たちは、皆さんが見たこともない景色が見えているかもしれません。もちろん逆のこともいえるのです。互いに見えない世界を共有していくことでよりよい世界が見えてくるのではないでしょうか?

車椅子に乗っている人を見るとかわいそうとか大変そうと思われがち。

でも、その人は車椅子に乗って外に出ることができるぐらい元気なのです。私も以前、地下鉄のホームで全く面識のない人から「大変そうね。頑張ってね。」と声をかけられたことがあります。そんなに大変そうに見えるのかなと私は思いました。車椅子は自分の足のようなものです。それに乗っていることは当たり前なのですが、車椅子ユーザーが少ないですから、驚かれるかもしれません。

かわいそうとか考える前に思い出してください。元気だから活動できているのです。

小学校は普通校にも通っていましたが、周りの生徒が変に気を遣ってくることは無く「何で車椅子に乗っているの?」と普通に聞いてきました。知りたいと思うことを素直に聞けることは子供だからできたことかもしれませんが、勝手に想像してかわいそうと思うぐらいなら、一歩踏み込んで聞いてしまえば良いのです。あのときの私は障害のあることなど忘れたかのように学校に行っていました。

恐れないでお互いを知っていきましょう。誰だってみんな同じ人間です。

うれしいこと悲しいこと楽しいことつらいことを共有していくと、お互いの個性は気にならなくなってくるはずです。

障害を忘れられるというのは究極のバリアフリーだったと感じます。もちろん子供の頃の障害理解度が低くて気にしていなかった部分があるのですが、別に走れなくても、力が弱くても、時間をともに過ごすことに大きな支障はありません。お互いにできることできないことを理解したら、おのずと苦手な部分を補っていけるのです。

見えないから眼鏡。歩けないから車椅子。

皆さんは日頃から障害を補うということを体験していると思います。それは「眼鏡」です。目が悪い人にとっては必需品。もしこれが無かったら目が見えないと言うことが大きな障害になるでしょう。だからもので補っているのです。「私は眼鏡を掛けていないよ」という方もいらっしゃると思いますが、目が悪くなったら眼鏡を掛けるという対処法を知っていると思います。これを知っていることと日常的に多くの人が眼鏡を掛けていることで眼鏡を掛けている人に出会っても驚くことは無いでしょう。

見えないから眼鏡。歩けないから車椅子。行っていることはほとんど変わらないのに受け取られ方は大きく違っている。これを解決するためには私たち当事者がもっと社会とつながりを持ち、多くの人に知ってもらい当たり前と認識してもらえるようにならなければいけません。今すぐには難しいと思いますが、いつかそうなってくれるように願っています。

皆さんは同じ職場や場所に障害のある人がいる場合「どうやって接したら良いか分からない」と思いますか?

そんなときは思い出してください。「障害は個性の一つ」です。そこだけを見ないでください。それ以外では共通することもたくさんあると思いますよ。その共通する点が見つかれば自然と接すことができるはずなのです。

ABOUTこの記事をかいた人

吉成 健太朗(株式会社テレワークマネジメント)

生まれつき脊髄性筋萎縮症を患っており、進行性の病気で年々落ちていく筋力を感じながら歩む日々。 高校卒業と同時にテレワークという働き方で仕事をしています。今は多くの方にテレワークの働き方を知ってもらうために情報発信等を行っています。障害者雇用を考えている方やこれから働きたい思いのある障害のある方の力になるお話しを私の経験を含めてお届けします。