大胆予想!障害者雇用に関わる法律のこれからについて[1/2]

企業が障害者の採用や雇用定着を進める理由は、法律によって決められているからです。

企業の人事担当者は法律の遵守という義務を背負い、障害者法定雇用率を達成させるために様々な努力をしています。できれば、義務だけで進めるのではなく障害者雇用から企業成長につながるようなメリットを感じて欲しいと思います。

2018年4月には「精神障害者の雇用義務化」という今後の障害者雇用に大きな影響を与える法律が施行されます。そのひとつが障害者法定雇用率の引き上げです。前回の法定雇用率の引き上げは2013年度で、1.8%から2.0%に変更されました。この時の変更には15年もの期間があったのですが、今回は僅か5年での見直しとなります。本来、法定雇用率の見直しは5年ごとだったのですが、景気の動向や大きな震災の影響もあったのではないかと言われています。

「今後、障害者雇用に関連する法律はどのようになるのだろう。」というのは人事の担当者や経営者の方々にとっては非常に気になる点だと思います。

「現在施行されている法律が改正されるのではないかという予想」や「新しく施行されるかもしれない!?」といった法律または助成金など、勝手な想像と希望的観測も踏まえて、これからの障害者雇用に関わる法律について大胆に予想してみようと思います。

① 引き下げは考えられない!『障害者法定雇用率』

2018年度より「精神障害者の雇用義務化」に伴う「障害者法定雇用率の引き上げ」は皆さんもご周知のことだと思います。

現在の2.0%から2.2%(2021年4月までに2.3%)に変更されるのですが、それ以降法定雇用率がどの程度まで引き上げられるかって気になったことはありませんか。

現時点で厚生労働省や国から法定雇用率の明確な数値目標が示されてはいませんが、おそらく3.0~3.5%あたりまで現在のペースで引き上げられ、最終的には5~6%程度で落ち着くのではないかと考えています。これは、他の先進国と呼ばれる国を見た場合、5.0%の法定雇用率が設定されている点。もうひとつは日本の人口比率を見た場合です。障害者の人口比が6.0%程度となりますので、最大でも同水準まで法定雇用率を引き上げることが考えられます。また、この障害者人口に関して言えば、精神障害者や発達障害者は更に増加傾向にあります。

現状、企業に見られる障害者の雇用状況は大きな転換期を迎えようとしています。これを通過すると、様々な障害者の雇用事例や雇用環境の整備が進むことが考えられます。そうすると、現在障害者の求人や雇用定着の実現に試行錯誤している企業にとっては促進に繋がることになるでしょう。

② 本当の意味での『精神障害者の雇用義務』

2018年4月より『精神障害者の雇用義務化』が施行されるのは当コラムで何度もお話しをいたしました。繰り返しになりますが、『精神障害者の雇用義務化』とはこれまで法定雇用率を算定していた数式は「身体障害者」の数と「知的障害者」の数から算出していたのですが、新たに「精神障害者」の数が含まれることになるというものです。結果としては、法定雇用率が見直され、今後企業が雇用するように義務付けされる障害者の数が大きくなってきます。

精神障害者人口約392万人から見た時に企業で雇用されている数約5万人(身体障害者は人口約394万人で企業に雇用されている数は約33万人)をもっと伸ばそうとする考えがありますので、間接的に精神障害者の雇用につながる法律だと言えます。

もしかすると、今後の精神障害者の雇用状況によっては、直接的な働きかけが起きるかもしれません。

例えば、

〇名称『精神障害者の雇用定着制度』
〇精神障害者の雇用促進と定着を主目的とする
〇常用雇用労働者が1,000名以上(段階的に引き下げ)
〇雇用義務のある障害者従業員数の〇%を精神障害者手帳取得者とする
〇雇用定着を一定期間の間、報告を義務化する(採用から3年など)
〇1年ごとに労働局へ報告
〇雇用が未達成の場合、『納付金制度』とは別に罰金制度を設ける
メリットとして一定数以上の精神障害者を雇用した場合、助成金を受け取ることができる

というところを考えます。

厳しい制度のように思えますが、現在「精神障害者」の雇用に積極的な企業との格差を解消していくためにはこれぐらいの法律が施行されてもおかしくないと感じます。

③ いよいよ撤廃!『除外率』

障害者雇用関連の法律に『除外率』と呼ばれるものがあるのをご存知でしょうか。法定雇用率というものは常用雇用労働者が50名以上の企業に対して一律に義務化されています。しかし、企業の業種業態によっては一律的な形で障害者を雇い入れることが難しい会社もありますので、対象となる企業が一時的に軽減された法定雇用率のもと、障害者を雇用しなさいというものです。

例えば、「船員等による船舶運航等の事業」は80%の除外率が対象とされています。詳しく言いますと、1,000名の従業員を抱えている船舶関連会社があった場合、本来だと20カウントの障害者雇用を実現させないといけませんが、除外率適用の申請をすると「20カウントのうちの80%を除外する」となり、実質4カウント分の障害者雇用で達成企業となる。ということです。

しかし、あくまでも時限立法としての制度ですから、段階的に除外する率を引き下げ(だいたい10%ずつ)ながら、最終的には撤廃されることになっています。従って、現状として除外率の適用を受けている企業は撤廃されるまでに新たな障害者の雇用定着を作り込むための準備をしておかないといけません。

直近では、2010年に引き下げが実施されており、それからは具体的な動きは見られませんでした。しかし、今回の法定雇用率上昇をきっかけに各企業の障害者求人件数は伸びてくることが予想されますし、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催で諸外国から色々な視線を浴びる機会が増えます。そのような点から見ても近いうちに次の除外率引き下げが行われるかもしれません

この制度は見方を変え、障害者の雇用促進という面から見れば足を引っ張る邪魔な制度なのかもしれません。

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2018.02.06

ABOUTこの記事をかいた人

上前 忠司 (イルネス障害者雇用総合研究所代表)

[障害者雇用コンサルタント] 雇用義務のある企業向けに障害者雇用サポートを提供し、障害者の雇用定着に必要な環境整備・人事向け採用コーディネート・助成金相談、また障害者人材を活かした事業に関するアドバイスを実施。障害者雇用メリットの最大化を提案。その他、船井総研とコラボした勉強会・見学会の開催や助成金講座の講師やコラム執筆など、障害者雇用の普及に精力的に取り組んでいる。