障害者雇用成功企業が実践!障がい者求人で知っていて損はない5つの活用術[1/2]

企業の求人活動が活発になるタイミングというのが1年の間に何回かあります。一般的にいわれるのが、大学生の就職活動が解禁される時期や中途採用の場合ですと、4月に入社した新卒採用者が退職する7月や9月頃。

障がい者の場合も同じような時期があります。雇用義務のある企業にとって新年度を目前に控えるこの時期は、労働局に対して「障害者雇用状況報告書(ロクイチ報告)」の提出の準備があります。そのため、雇用不足となっている企業の人事担当者は追い込みとして障がい者の求人活動で東奔西走の状態となります。特に2018年度はご存知のように法律の改正により、障がい者法定雇用率が2.0%から2.2%へ引き上げられますので、ギリギリ2.0%の状態となっている企業であれば強い義務感から、達成率を割り込まないように直前まで新規の採用に注力されています。

既にお気づきのことだと思いますが、「障がい者の雇用定着」も「本業の目標達成」と同様に“策なき努力”では成果を出すことはできません。昔のように、どこかに相談すれば働きたい障がい者が集まってくるような簡単に採用ができる時代ではなくなってしまいました。万が一、間違った求人活動をしてしまうと、時間と労力を使った割には成果に結びつかず、社内の障がい者に対するイメージは増々悪くなってしまう。挙句に雇用不足から納付金と言われる罰金の支払い企業ということで労働局から目を付けられる存在になってしまうでしょう。見方を変えれば、そのようなレッテル貼られてしまうとことが障害者雇用の邪魔となってしまいます。果たしてそれでも良いのでしょうか。

人事担当者の皆さん。今から取り組みを始めても十分に間に合います。そのヒントを、「障害者雇用成功企業が実践している障がい者求人で知っていて損はない5つの活用術」としてご紹介いたします。

① 外部資源は知識と経験の宝庫

障害者雇用を上手く成果に結びつけている企業は、必ず外部資源となる専門機関を大いに活用しています。真っ先の思いつくのはハローワークによる求人の相談だと思います。しかし、上手く成果に結びつけている企業は、それ以外にも下記のような専門機関とのパイプを持っています。

・特別支援学校
・障がい者職業訓練校
・就労系福祉事業所
・障がい者人材専門の人材会社や求人サイト
・職業センター
・障がい者就業・生活支援センター
・発達障がい者支援センター
・障害者雇用コンサルタント     など

これらは、現在の障がい者の雇用定着実現には必要不可欠であり、企業には不足となりがちな「知識と経験」を補ってくれる存在となります。

上記のようにたくさんの専門機関がありますので、自社の課題解消に適したところを選択することができます。そういったところと出会うことができれば、困りごとに対してしっかりと相談に乗ってくれますし、企業としては関わりにくいご家族などのプライベートな面もフォローをしてもらえます。

また、就労系福祉事業所はこれからの障害者雇用には欠かせない存在となってきます。企業としての活用メリットも非常に高いと思いますので、近くに事業所があるようであれば、見学を兼ねて事業所訪問をしてみてください。

② 障がい者実習はメリットしかない

こちらのコラムでも何度か障がい者の実習についてのお話しをしましたが、私の経験上でも障がい者実習で得られる企業メリットは非常に高いと感じています。そのため、障害者雇用に上手く取り組めている企業の多くは、障がい者実習を自社の採用プロセスに組み込んで求人活動をしています。

メリットのひとつは、「障がい者に対する理解が想像以上に深まる!」という点です。例えば、障がい者に関する能力や成功事例などの話を聞くことがありますが、多くは言葉による伝達であり自分の目で確かめたわけではないため、経験値が少ない立場だと話の信ぴょう性に欠けてしまう印象ではないでしょうか。そういった感覚は障がい者実習を受け入れることで、思い込みを正しい知識に上書き保存してくれます。

他にも、「障がい者実習 = 即採用」ではありません。障がい者実習の目的はいくつかあり、当然「採用前の互いの見極め」という面もありますが、「企業内の理解促進」「障がい者の社会経験」といったはたらきもあるのです。障がい者の採用は受け入れる企業にとっても、障がい者本人にとってもミスマッチとならないだろうかという不安を抱えてしまいます。

それならば、お互いが見極めるための期間として実習を通じて理解を深めることができれば最良の結果に近づけることができます。

ちなみにですが、障がい者実習を受け入れる場合の相談については、前項「①」に挙げた専門機関であれば大丈夫です。

また、企業実習は専門機関にとっても非常にありがたい結果となります。圧倒的に社会経験が少ない障がい者にとって、一般企業での職場体験ができる実習というのはとても貴重な経験ができる場となります。ですから、「障がい者実習 = 即採用」と考えずに、先ずは自社の理解促進という目線から始め、その中から自社に最適と思える人材とめぐり合うことができるチャンスの場として活用してもらいたいと思います。

次回は残りの3つの活用術についてお話しします。

障害者雇用成功企業が実践!障がい者求人で知っていて損はない5つの活用術[2/2]

2018.02.23

ABOUTこの記事をかいた人

[障害者雇用コンサルタント]
雇用義務のある企業向けに障害者雇用サポートを提供し、障害者の雇用定着に必要な環境整備・人事向け採用コーディネート・助成金相談、また障害者人材を活かした事業に関するアドバイスを実施。障害者雇用メリットの最大化を提案。その他、船井総研とコラボした勉強会・見学会の開催や助成金講座の講師やコラム執筆など、障害者雇用の普及に精力的に取り組んでいる。

▼アドバイス実施先(一部抜粋)
・opzt株式会社・川崎重工業株式会社・株式会社神戸製鋼所・沢井製薬株式会社・株式会社セイデン・日本開発株式会社・日本電産株式会社・株式会社ティーエルエス・パナソニック株式会社・大阪富士工業株式会社・株式会社船井総合研究所・株式会社リビングプラットフォーム