今からでも間に合う!障がい者求人に強くなる4つのポイント[1/2]

ミルマガジンのコラムをご覧いただいている方々、特に企業の人事担当者の皆さんには、障害者雇用を上手く実践してもらいたいと常々感じています。

2018年度の障害者雇用に関連する法律の改正を迎えるにあたって、今更ながら「障がい者求人の強化」という点がとても重要なように思います。障害者雇用で目指すべき目標のひとつに「職場定着」があります。障がいを持つ人材を採用するだけで終わらせるのではなく、その人が長く企業で働いてもらうため、それぞれの企業が努力と工夫を講じる必要があるからです。

しかし「職場定着」の前にある「障がい者求人」が非力だと、自社にとって最適となる人材にめぐり合うことができません。障害者雇用は「職場定着」と「障がい者求人」の両方が成立して初めて成功したと言えるのだと思います。

今回は、法定雇用率の引き上げが目前に迫るこのタイミングからでも間に合う「障がい者求人」を強くするためのポイントお話ししようと思います。

本題に入る前にもう少し「障がい者求人」を強くしないといけない理由をまとめておきたいと思います。

① 従来との大きな変化

何度もコラムではお話ししているように、採用ターゲットとなる障がいの特性が「身体障がい者」から「精神障がい者」「発達障がい者」へとシフトチェンジが既に始まっています。(少なくとも2013年頃から逆転)

これは、「身体障がい者」のみの雇い入れを希望して採用活動をしても、競争率が高く求職活動をしている「身体障がい者」人材の数そのものが少なくなっているため、法定雇用率を満たすだけの成果が挙げられなくなってきているからです。逆に、「精神障がい者」「発達障がい者」の求職者数は増加傾向にあり、企業や周囲の理解も増したことから、採用ターゲットとして見られるようになってきました。加えて、活用できる助成金なども企業に浸透してきているからだと思います。

また、労働力不足から働き手の確保のひとつとして障がい者の存在が改めて見直されるようになってきました。今でも、障がい者を邪魔だとかお荷物という存在でしか認識していない方々も多くいますが、労働力不足という現実を見た場合に“いち戦力”として活用を考える企業が増えてきているのだと考えます。

障がい者の活躍が企業のメリットとして感じられれば、企業内の促進にもつながることになるでしょう。

② 企業は選ばれる存在

今まさに障がい者求人のフィールドでは売り手市場が進み、「企業が障がい者を選ぶ立場」から「企業を障がい者が選ぶ立場」になっています。書類選考や面接の段階まで進んだ時には、当然のことながら企業が持つ選考基準により合否の判断を出すのですが、そもそも障がいを持つ求職者からのエントリーがなければ、選ぶことができません。

求職者にとって募集企業の情報はたくさん取得できる時代となりました。一昔前であれば、ほとんどの求人情報はハローワークが管理し、仕事を探している障がい者のほとんどもハローワークに相談へ行っていました。ところが、現在はハローワーク以外も求人情報を持っています。例えば、障がい者求職者が人材会社を使用している場合、登録しておくだけで自動的に自分の希望にマッチした企業情報がメールで送られてきます。または、企業の人事担当者からスカウトメールが直接本人宛に送られてきます。また、現職の障がい者の中にも人材会社に登録して、今よりももっと条件の良い企業への転職を考えている人も多いのです。

企業は障がい者から選ばれるための「特徴」「強み」を持たないといけない時代なのです。

③ 法律による雇用は増々上昇

2018年度の法定雇用率を含め、今後も障害者雇用に関連する法律の施行や改正が出るでしょう。

間違いなく言えるのは、「企業への障害者雇用のハードルは高くなる」ということです。義務が今以上に大きな義務になっていきます。

今後の法律がどのような方向に進んでいくのかを「見極めるための目」を持つことが必要となります。おそらく、法律に伴って助成金などの後押しとなる制度にもアンテナを張ることが必要でしょう。

障害者雇用に絡んだ法律(雇用率上昇など)のために右往左往しなくてもいいように早い時期から障がい者の雇用を根付かせるための取り組みをスタートさせることが重要となります。

④ 求められる雇用のハードルも上昇

少し前まで、納付金(罰金)を払いたくないから法定雇用率を達成するために障害者雇用をしているという企業の噂話を聞くことがありました。賛否を語るのは別の機会にしますが、今のような情報が簡単に取得できる時代であれば、こういった考え方だけで法定雇用率を満たすための雇用というのは維持することが難しいと思います。

また、今は障がい者にとっても選択肢が増えてきたために、ここがダメなら次に進もうとする考えを持つ方たちも増えてきています。

企業にとっても、障害者雇用が単なる義務感だけで取り組もうとしても、上手く成果につながらず、逆に義務感が邪魔してしまっている時もあります。

企業規模が大きくなればなるほど片手間で取り組みことが難しくなりますから、企業成長となるようなメリットを見つけてもらいたいと思います。

「単なる雇用」という意識で障害者雇用を成り立たせるよりも、真剣に雇用を成功させる取り組みとした方が実は簡単なのかもしれません。

次回はポイントについてお話しします。

今からでも間に合う!障がい者求人に強くなる4つのポイント[2/2]

2018.03.13

ABOUTこの記事をかいた人

[障害者雇用コンサルタント]
雇用義務のある企業向けに障害者雇用サポートを提供し、障害者の雇用定着に必要な環境整備・人事向け採用コーディネート・助成金相談、また障害者人材を活かした事業に関するアドバイスを実施。障害者雇用メリットの最大化を提案。その他、船井総研とコラボした勉強会・見学会の開催や助成金講座の講師やコラム執筆など、障害者雇用の普及に精力的に取り組んでいる。

▼アドバイス実施先(一部抜粋)
・opzt株式会社・川崎重工業株式会社・株式会社神戸製鋼所・沢井製薬株式会社・株式会社セイデン・日本開発株式会社・日本電産株式会社・株式会社ティーエルエス・パナソニック株式会社・大阪富士工業株式会社・株式会社船井総合研究所・株式会社リビングプラットフォーム