人事さん、大丈夫?企業が抱く障害者雇用に対する間違ったイメージ

ここ数年、法律改正や企業の社会貢献などによって障害者の雇用数が伸びています。

例えば、「今月から新たに精神障害者の方を採用することになりました。」とか「事務所を移転するのですが、障害者用のトイレが設置されているビルを選びました。」といった人事担当者の声も聞かれるようになってきました。これは企業の理解、一緒に働く従業員の理解が進んでいる証拠だと感じます。

でも、企業の人事担当者からの声で時々こんなことを聞くことがあります。「障害者の方を集めて一緒に勤務してもらうとお互い助け合ってもらえるメリットがありますよね。」

これって大きな勘違いなんです。

『障害を持っている者同士はお互いの気持ちが分かるから心が通じ合える。』などと思いがちなんですけど、決してそんなことなかったりします。障害者という立場から抱える悩みや不便さが共通するってまわりは思ったりしますよね。

実は、障害の特徴って人によって様々で、障害を持っている者同士だからこそ、お互いの事を邪魔に感じたり、衝突することもあったりして、案外交通整理が必要だったりするんです。

このように障害者に対する間違ったイメージが雇用に大きな影響を与えることがあります。
今回は障害者に対する間違ったイメージや思い込みを正しく知っていただきたいと思います。

皆さんの会社では障害者を採用するにあたって、どこに求人を出されるでしょうか?

多くはハローワークを活用されていると思います。行政サービスと連携していますので障害者の方々も多くご相談に来られています。でも最近は、法定雇用率が上がり障害者人手が不足した為、一般企業でも求職中の障害者を支援するところが増えています。求人広告以外にも障害者の紹介に特化した人材会社や合同面接会を主催する企画会社など。これらの企業はハローワークと違い費用が掛かりますが、既に働いている障害者が転職目的で利用していたり、働く意欲の高い障害者とめぐり合うケースが多いというメリットがあります。

これら人材会社や企画会社はエントリーする障害者一人一人に対して、就職に必要な情報提供や教育を実施しています。障害者も必要な知識を身に付けて自分に合った企業に就職しようと考えていますので必然的に企業にとっては雇用しやすい人材となるわけです。障害者の採用ルートはどこかに絞るよりも多く持っている方がベストマッチに近い人材に出会える確立が上がります。

2018年度に施行される「精神障害者の雇用義務」は皆さんもご存知だと思います。

これにより今後は法定雇用率も大きく見直され、精神障害者の方々と働く場面が増えてくることが予想されます。その時に「働くことができる障害って身体か知的障害者だよね。」や「うつ病などの精神障害者や発達障害者と一緒に働くのは不安が大きい。」って思いますよね。確かに、身体障害者や知的障害者の特性って周囲も比較的分かりやすいので仕事でのコミュニケーションも取れ、ストレスもあまり感じなかったりしますからね。

でも、精神障害者や発達障害者にも十分企業にとって戦力になる人材が存在します。何を基準に戦力と認識するかですが、まずは生活リズムがしっかりと整っているかで判断します。日常生活が問題なく過ごせているのか。通院や服薬を守る、自身のストレス解消法を持っていることなども大切な判断材料です。この生活リズムが数年単位で整っていると仕事への影響も少なかったりします。あとは、支援機関からのサポートを受けていた経験のある人材です。そういった方々は自分の障害についてもしっかりと腹落ちをしています。また、自分の障害によるウイークポイントも掴んでいるので周囲に対しての配慮の要請も自分でできたりします。そうすると周りは安心して一緒に仕事ができたりするんです。

他にも、知的障害者の方って事務仕事よりも体を動かす仕事に向いてると思いますよね。当然、知的な遅れが症状のひとつですから。

でも、近年知的障害者の手帳を持った大学生が増えているのをご存知でしょうか。まさかと思うかもしれませんが、これは事実です。入試試験を合格されて大学生になっていますので、複雑でない業務であれば事務仕事もこなすことができます。実際にExcelのフォーマットに入力をしてもらう仕事に知的障害者の方に作業してもらったのですが、ほとんど質問もミスされることなく黙々と作業をしていただきました。経験上、障害の特性ばかりに気を取られずに障害者ご本人が何ができるかを採用の判断材料とされる方がいいと思います。

これらの勘違いや思い込みにより企業は多くの損をしています。採用時点であればもっと多くの求職者から最適な人材を選択できますし、雇用後であれば職場の定着に繋がったことでしょう。
もし、皆様の会社で障害者の採用・雇用が上手くいっていないのであれば、障害者に対する勘違いや思い込みが原因かもしれません。

法律により雇用義務がどんどん厳しくなっている中、特に助成金を取得している企業、反対に既に不足が原因で罰金を支払っている企業の人事担当者の方は、従来の知識に加えて、現在の動向をしっかり取り入れていくように努力が必要です。

まずは、専門的なアドバイスをもらえるところにご相談に行かれることをお勧めします。

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上前 忠司 (日本障害者雇用総合研究所代表)

[障害者雇用コンサルタント] 雇用義務のある企業向けに障害者雇用サポートを提供し、障害者の雇用定着に必要な環境整備・人事向け採用コーディネート・助成金相談、また障害者人材を活かした事業に関するアドバイスを実施。障害者雇用メリットの最大化を提案。その他、船井総研とコラボした勉強会・見学会の開催や助成金講座の講師やコラム執筆など、障害者雇用の普及に精力的に取り組んでいる。 ▼アドバイス実施先(一部抜粋) ・opzt株式会社 ・川崎重工業株式会社 ・株式会社神戸製鋼所 ・沢井製薬株式会社 ・株式会社セイデン ・日本開発株式会社 ・日本電産株式会社 ・株式会社ティーエルエス ・パナソニック株式会社 ・大阪富士工業株式会社 ・株式会社船井総合研究所 ・株式会社リビングプラットフォーム