人事担当者が利用する障がい者求人サービスとそのメリット・デメリット[1/2]

障害者雇用は、障がい者の採用活動から始まります。そして、採用活動は求人活動からスタートします。障がい者の求人活動では、健常者と比べるとまだまだ募集方法が少なく、応募者が確保しにくい状況です。以前のコラムでもこの点について触れているので、興味がある方はご確認ください。

第1回「障害者法定雇用率未達成企業に共通する4つの課題」

法定雇用率未達成企業に共通する4つの課題[2/2]

2017.02.06

会社の雰囲気に合った人材、業務に適した人材を採用する為には、応募者を一人でも多く集めなければいけません。多くの応募者の中から、最適な人材を選び抜く必要があります。

適した人材選びは、会社の為ならず働く側の為にも重要です。

雇用された障がい者自身にとっては、会社の内情や実際の業務をよく分からない状態で採用試験を受ける為、人事担当者の目に委ねるしかありません。万一、安易に採用となってしまった場合は最悪で、自身に合わない会社や業務に苦悩し、邪魔になっているんではないか、役に立ててないのではないかと自問する日々が始まり、大抵は早期退職となってしまいます。また、同僚となる他の従業員にとっても、職場の人間関係や仕事のリズムが守れなくなるような人材が入社することは死活問題となります。

応募者2人中1人を採用するケースと、応募者10人中1人を採用するケースでは、間違いなく後者の方が適した人材を選定できます。だからこそ、求人活動が「採用活動においての最初にして最大の壁」と呼ばれるわけです。意味は、求人活動に失敗すると、残りの採用活動をいくら頑張ったところで知れているということです。

適した人材を採用する為には、応募者を増やさなければいけない。ということがご理解いただけた所で、自社内での取り組み(自社ホームページへの掲載、社員の紹介など)以外で障がい者の求人活動に利用できるサービスの現状を大きく5つに分けて、それぞれのメリット・デメリットを説明したいと思います。

1.ハローワーク

利用フェーズは、求人活動(求人応募者を集める段階)のみです。

企業の相談にも、障がい者個人の相談にも乗り、双方に役立つサービスを提供しており、立ち位置は中立と言えます。

ご存知の通り、ハローワークを利用するのに費用はかかりません。無料なのは大きなメリットです。しかし、無料だからといって侮ってはいけません。

ハローワークには障がい者用の義務のある企業の人事担当者が利用できる特別窓口やガイダンスなども用意されており、多くの障がい者紹介の実績があります。また、その実績を元にハローワークの障がい者窓口担当者は、「この人なら株式会社◯◯を勧めてみよう」や「◯◯株式会社は早期退職者ばかりだから、この人には勧めれないな」、「この企業は面接に呼ぶだけで一向に採用しない」と判断している為、求職中の障がい者にとっても良き味方となっています。今後、ハローワークは障害者雇用推進へさらに力を入れていく為、求人活動で利用する価値もますます高まるでしょう。

ただ、取り扱う求人数が多い為、自社の求人が埋もれてしまい、人の目にあまり触れない可能性があります。日付だけ更新して常時求人を出し続けている企業もあり、どの地域も障がい者求人数は多い事が多いです。さらに、一向に採用しない企業や短期退職者が多い企業など「いい加減な雇用体制だ」とハローワークの担当者に判断されたことは、応募者確保に不利に働きます。もし、貴社がそれに当てはまる様でしたら、早期に体制を改めてハローワークへの印象を良くすることによって、紹介して貰える人数も変わるかもしれません。手間を掛ければ、その分メリットが大きくなる為、しっかり対応するようにしましょう。

2.求人広告

利用フェーズは、ハローワーク同様に求人活動(求人応募者を集める段階)のみです。

企業側が依頼をして掲載をする為、立ち位置は企業寄りといえるでしょう。

費用については、求人広告の媒体に寄りますが、1回の掲載につき3〜30万円位が一般的です。

求人広告のメリットは、幅広く応募者を集める事が出来る点にあります。求人内容の説明もハローワークのように少ない項目に文字を敷き詰めるだけではなく、写真や動画や独自のコンテンツを作ることが出来るところもあり、努力と費用次第で多くの人の目に触れることが可能というメリットがあります。特に若い世代の応募者確保に強く、ハローワークと併用して求人広告を使うというケースが法定雇用率を達成している企業の中では最も多いのではないでしょうか。

反面、対象外と思えるような応募者が集まりやすく、その対応が必要となります。みんなが求人内容を100%理解して応募して来る訳ではないので、受け入れできない障がい(階段しかない会社で車椅子利用者)などを明記したにも関わらず応募が来たというのはよくある話です。求人広告を利用する場合、事前の電話問い合わせ時などに応募条件に適合するか確認するなどして、応募後の対応を減らす工夫を用意しておく必要があります。

また、就職活動ならリクナビ、転職活動ならenというような障がい者利用率の高い媒体がまだない為、各企業が媒体との相性を見ながら求人広告を出しているというのが現状です。今後、障がい者求人広告といえばコレという様なものが出てくることに期待しましょう。

人事担当者が利用する障がい者求人サービスとそのメリット・デメリット[2/2]

2017.02.20

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