上司必見!障がいを持つ部下の言いなりになっていませんか[1/2]

今日は職場で見られる障害者雇用に関するトラブルについてお話しをしたいと思います。

企業で新たに障がい者が働く場面が増えるに伴い、トラブルが発生する率も増えています。

これまでの生活で障がい者と接する機会のなかった人たちからすると、障がいを持っているというだけでどのように接すればいいのか分からないと感じることも多いと思います。また、障がいの特性や特徴によっては物事の伝え方や周囲での振る舞いにも注意が必要なこともあり、できる事なら避けて通りたいという気持ちも非常によく分かります。

これが、障がいを持つ人たちと一緒に働く場面を創造すると改めてコミュニケーションの難しさを感じてしまいます。

例えば、一緒に働く従業員の方たちとすれば、「障がいのことを聞いて良いんだろうか。」「どの程度配慮すればいいんだろう。」と日々の仕事を通じて考えているかもしれません。

また、会社側とすれば、「従業員にはどの範囲まで障がいのことを伝えておけばいいんだろう。」「プライバシーの侵害にはならないのだろうか。」といった心配を抱いてしまいます。

このような状態ですと、周囲は障がいを持った従業員のことを“腫れ物にでも触るかのような”接し方をしてしまい、場合によっては本人が会社に居づらくなって退職してしまうということは決して他人事ではありません。

障がいを持つ従業員を部下に持った時にもいくつかの問題が発生します。職場のマネジメントをする上ではしっかりと対処しておきたいことではないでしょうか。ここでは、それらの問題を例に挙げ、どのようにすれば問題が起こらないようにできるかをお話ししていきます。あなたは障がいを持つ従業員の言いなりになっていませんか?

① 「障がい者に注意できない」

当然のことですが、障がいを持つ方たちの中には健常者と比較して日常生活において多かれ少なかれ不便さを感じて生きています。睡眠が上手く取れないので薬に頼っている人。通院先が片道1時間以上掛かる人。1時間おきに10分間の休憩が必要な人。他にも障がいを持つことがなければ、必要のない行動を彼ら彼女らは生活の中に組み込まないといけないのです。

これらのような行動は職場にも少なからず影響を与えてしまいます。ある程度は仕方のないことですし、おそらく採用時に両者でしっかりと確認をしていることだと思いますが、役割として与えた業務支障が出てしまっているのはどうでしょう。もしかして、障がいだから仕方ないと放置状態になっていないでしょうか。仮に周囲の理解があり、問題となっていないのであれば良いのですが、周囲からの理解と協力のもと成り立っていることを本人にも知ってもらうように働きかけられる関係性を持てているのかが重要となります。

② 「障がい者と従業員との間に挟まれてしまう」

障がいを持つ従業員を部下に持った時、一緒に働く周囲の従業員が理解と協力を示してもらえる組織というのは、地盤のしっかりした土地に家を建てるのと同じぐらい安心できる状態にあります。

しかし、上記①の状態にある障がい者がいた場合に周囲の理解や協力がないとどうなるでしょう。服薬による遅刻や通院による早退、就業規則以外の休憩について周囲の従業員からクレームが上がってくることもあります。「あの人だけ特別扱いしているのは納得できない。」「締め切りのある業務なのに休憩から戻ってこない。」などについて、会社が何も対処しないことを詰め寄ってくるのではないでしょうか。元々、障がいがあることは周囲にも伝えてあり、従業員も分かっているのですが、感情が優先されてしまい、このような声を挙げることになります。

当の本人は、そんな周囲のことを知ってか知らずか、意に介さず障がいである自分の行動を貫いていきます。

周囲の従業員の言うことも理解できるし、障がい者への配慮も必要だしと両方の立場に挟まれてしまい、職場のマネジメントに悪い影響を与える結果を出してしまいます。

③ 「障がい者からの申し出を煙たがる」

 障がいを持つ人材の採用活動時は、両者がお互いを必要としているタイミングで、いわばお見合いのようなもので、頭の中では夢を描きがちです。

 会社側は、「この人が採用できれば雇用率が達成できるぞ。」「働く意欲も強そうだから職場の理解も早そうだ。」と前向きな感情が出てきます。

 また、障がい者側も「自分の障がいのことも理解してもらえたようだ。」「一日でも早く合格して働きたいな。」と仕事に対するポジティブなイメージで面接を受けていると思います。

 いよいよ、採用が決まり職場に配属され働き始めます。特に大きな波風もなく時間が過ぎていくと、障がいがあることをどこか頭の隅っこに置いてきてしまいます。

 本人も障がい者枠として採用されたことや周囲からの配慮のもと働いていることを忘れがちになることがあり、周囲の障がいのない従業員と自分を比較してできる部分に対する評価を求めてくることがあります。

 このような場合、採用時のことを改めて指し示して、本人が納得のいく説明をするべきなのですが、それを避けようとするあまり火種が大きくなってしまうことがあります。

 当然、評価すべきところは評価しないといけませんが、健常者の採用との違いや障がい者としての配慮や周囲からのサポートがどのような状態なのかをしっかりと説明しましょう。

 次回は、どのような対処をすることで問題を予防することができるのかをお話しします。

ABOUTこの記事をかいた人

[障害者雇用コンサルタント]
雇用義務のある企業向けに障害者雇用サポートを提供し、障害者の雇用定着に必要な環境整備・人事向け採用コーディネート・助成金相談、また障害者人材を活かした事業に関するアドバイスを実施。障害者雇用メリットの最大化を提案。その他、船井総研とコラボした勉強会・見学会の開催や助成金講座の講師やコラム執筆など、障害者雇用の普及に精力的に取り組んでいる。

▼アドバイス実施先(一部抜粋)
・opzt株式会社・川崎重工業株式会社・株式会社神戸製鋼所・沢井製薬株式会社・株式会社セイデン・日本開発株式会社・日本電産株式会社・株式会社ティーエルエス・パナソニック株式会社・大阪富士工業株式会社・株式会社船井総合研究所・株式会社リビングプラットフォーム