インタビュー:就労継続支援B型事業所「ワークプレイスアミカ」

今回、ミルマガジンのインタビューにご協力いただきましたのは、東京都北区の「就労継続支援B型事業所 ワークプレイスアミカ」です。
こちらの事業所では施設を利用する障がい者によるアート制作や自主製品の販売を行いながら、ひとりひとりが働きながら生き生きとした人生を送るための支援を大切にしています。
インタビューにお答えいただきましたのは、同事業所の生活支援員である古賀 奈津子氏です。

1.読者向けに施設の紹介をお願いします。

ちぎり絵を中心としたアート制作や軽作業を行いながら、安心して仲間と活動することを大切にしている就労継続支援B型事業所です。同時に、利用者様が主体的に施設の運営に関わり、より自立した社会参加ができるよう支援しています。

精神・知的障がいを抱えた方全般を対象としていますが、中でも発達障がいやその他の精神障がいを同時に抱え、依存症からの回復を目指す方が多く利用されています。また、サポートセンターオ´ハナ(自立訓練・生活訓練)に併設されている多機能型施設となっています。

2.施設で提供している支援の内容とその流れを教えてください。

  • ①もの作りと軽作業:


ちぎり絵を用いたカレンダーやステーショナリー、UVレジン雑貨の制作など、オリジナル商品の開発・販売を行っています。軽作業はクラシックやジャズ、ポップスを聴きながら落ち着いた雰囲気の中で、シンプルに目の前の仕事に集中します。PCでのチラシ作成にも取り組んでいます。

ちぎり絵制作は、元々利用者さんたちの発案でスタートしました。
一つ一つの作品には、過去を振り返り生き方を変えて行きたいという想いが込められていたり、自分にとってかけがえのない家族や仲間がいることを表現の過程でゆっくりと再発見する機会にもなっています。

そのような変化を作品と一緒にインスタグラムで発信していますが、今後はより多くの方にアミカの活動を伝えて行けたらと思っています。

  • ②利用者様同士で施設運営について話し合う「アミカビジネス」を定期的に開催:

施設内の環境改善や新しい活動の提案を通じて主体的に物事を考え発言し、自分とは異なった意見を持つ人の話に耳を傾ける貴重な時間です。

  • ③レクリエーション:

年に数回、季節の行事やレクリエーションを開催しています。例えば、クリスマス会では参加者全員でゲームの企画やケーキ作りなど調理をしたりと準備から全てを皆で楽しみます。

  • ④個別のプログラム:

定期的な面談と振り返りを通して、今後の目標を一緒に立てます。必要に応じて、セミナーや自助グループへの参加を提案しています。

  • ⑤依存症ミーティング:

スタッフも司会や一メンバーとして参加し「昔は○○だったけれど、最近こんな風に変わってきた」といった具体的な体験談や、今現在悩んでいること等を分かち合っています。

御利用者には、アルコール依存症や薬物依存症、摂食障がいからギャンブルやネットに依存する行動嗜癖まで、さまざまな依存行為を止めたいと思っていてもなかなか止められず居場所をなくして来た方が少なくありません。依存症は問題行動が止まったからといってそれで終わりではなく、人間関係のトラブルや自身の気質が見えてきたり、むしろ止め続ける中で困難が立ちはだかります。アミカで同じ悩みを抱える仲間と出会い、共に体験を積みながら「飲まない・使わない」今日一日を過ごしています

また、依存症支援が必要な方に対しては、自分と向き合い生き方そのものを変えて行く原理に基づいた12ステッププログラムでの関わりを主軸とする支援も行っています。利用者様ごとに異なる変えられないものと変えられるものを一緒に整理しながら、対話を重ね信頼関係を築いて行きます。

3.支援に関して、今後力を入れていきたいことはありますか?


昨年度、東京都のB型マネジメント事業に参加し、看板商品である「やる気の鍵キーホルダー」を、ちぎり絵を活かしバージョンアップさせることができました。それにより事業所全体が感化され、利用者さん同士で自主製品についての意見が交わされる場面が格段に増えたのを実感しています。

新年度に向けた新しい商品のアイデアも生まれました。
企画や販売にもどんどん参加してもらい「職員が」ではなく「利用者様が」考え行動できる場所であることを第一に、働きかけて行きたいと思っています。

4.現在の障がい者の就労・就職全般に感じる問題点・困っていることはありますか?

事業所から障がい者雇用でステップアップして行く方を送り出すようになり、明るい兆しが見えてきている印象ですが「一度、依存症になると回復は難しい」といった社会的な偏見が未だになくならないと感じることはあります。自分を見つめ直し、より良く働けるようになった当事者の方はたくさんいます問題そのものよりも「回復する彼らが如何にして立ち上がるのか」に注目してもらえたら何よりです。そのためにも、自分たちの活動をもっと発信して行かなければと思います。

5.障がい者の受け入れに悩んでいる企業へのエールをお願いします。

障がい者雇用は、単なる社会貢献ではなく、多様な価値観を受け入れることで組織の可能性を広げる大きなチャンスだと思います。実際に、アミカの利用者さんたちはとてもユニークで大事な視点を私たちに投げかけてくれることがあり、大切なものは何かを考えるヒントを日々与えてもらっています
企業にとっても大きなメリットが生まれるはずです。

6.就職準備中・求職活動中の障がいを持った方へのエールをお願いします。

障がいと共に歩むことは、決してたやすい道のりではなかったと思います。その困難を強みに変えて一歩前に踏み出せることを願い、応援しています!!

施設名:ワークプレイスアミカ(サポートセンターオ′ハナ多機能B型)
代表者名:岡田 昌之(特定非営利活動法人 ジャパンマック)
設立日:令和2年7月1日
業種:就労継続支援B型事業所
所在地:東京都北区滝野川6-76-9エスポワール・オチアイ4階
ホームページ:就労継続支援B型事業所 アミカ|依存症など就労が困難な方の「働きたい」を叶える
インスタグラム:ワークプレイス アミカ(@amicart.tokyo5) ・ Instagram写真と動画

ABOUTこの記事をかいた人

[障害者雇用コンサルタント]
雇用義務のある企業向けに障害者雇用サポートを提供し、障害者の雇用定着に必要な環境整備・人事向け採用コーディネート・助成金相談、また障害者人材を活かした事業に関するアドバイスを実施。障害者雇用メリットの最大化を提案。その他、船井総研とコラボした勉強会・見学会の開催や助成金講座の講師やコラム執筆など、障害者雇用の普及に精力的に取り組んでいる。

▼アドバイス実施先(一部抜粋)
・opzt株式会社・川崎重工業株式会社・株式会社神戸製鋼所・沢井製薬株式会社・株式会社セイデン・日本開発株式会社・日本電産株式会社・株式会社ティーエルエス・パナソニック株式会社・大阪富士工業株式会社・株式会社船井総合研究所・株式会社リビングプラットフォーム