今回、ミルマガジンのインタビューにご協力いただきましたのは、社会福祉法人向陵会が運営する「Cafe樹林」です。
こちらのカフェは京都にあります龍谷大学のキャンパス内にある障害者就労継続支援B型事業所になります。
全国でも珍しい大学キャンパス内にある事業所。なぜ、大学の中に事業所を作ることになったのでしょうか。また、それはどのような成果を生みだしたのでしょうか。
インタビューにお答えいただきましたのは、Cafe樹林で支援員をされている小谷 美貴子さんです。
1.読者向けに施設の紹介をお願いします。
2.施設で提供している支援の内容とその流れを教えてください。
まず座学の「メソッド」ですが、就職のためだけではなく、自分の人生をより良くするため、人の土台、人格を磨くための学びです。何よりも原理原則を大切にし、「自分自身が変わること」で周囲に良い影響を与えられる人間になることを目指しています。
次に実践です。実践はCafé樹林での「飲食」と「靴磨き」の2種類があり、どちらもメソッドでの学びを実際の業務の中で経験し、振り返り、自らに深く落とし込むためのものとなっています。
飲食では接客、調理、雑用まで皆で全て行います。業務内容に上も下もなく、全てがお客様により良いものや空間を提供するために必要だからです。このようにお客様第一を心がけ自分の苦手なことにもチャレンジします。「人とのコミュニケーションが苦手」と言っていた者も、経験を積む中で自分から進んで接客を行ったり、「こうしたらどうか」といった様々な案を出したりなど、主体的に取り組んでいます。
靴磨きでは「靴磨き職人になりたい」というメンバーが取り組んでいます。皆様の思う靴磨きのイメージはどのようなものでしょうか。汚い?格好悪い?いえいえ、実際はその様なものではありません。スーツに身を包み、専用の道具を使い革靴をピカピカに磨き上げる姿は大変格好良いものとなっています。是非ご覧いただきたいです。「靴磨きは心磨き」と言い、靴を磨く者の心がそのまま磨き終わった靴の光具合に現れます。一切妥協はせず、より良いものをお客様に提供できるよう、毎日靴磨きのスキルを高めると共に、マナー講座を通して接客のスキル向上にも取り組んでいます。
午前中に座学と飲食実践、午後からは飲食と靴磨き実践を行っています。
3.支援に関して、今後力を入れていきたいことはありますか?
4.現在の障がい者の就労・就職全般に感じる問題点・困っている事はありますか?
5.障がい者の受け入れに悩んでいる企業へのエールをお願いします。
まず、障がいを持っていようがいまいがひとりの人間であることには変わりありません。私たちにも苦手なことや得意なことはあるでしょう。相手を知り、ひとりの人間として関わること。その中には優しさだけでなく厳しさも必要でしょう。しかしながら、本当に相手を想った上での厳しさであれば、時間は掛かるかもしれませんがいつかきっとその人を活かすものになります。人が活きれば、会社が活きます。会社が活きれば、社会が活きます。より良い社会づくりのために一緒に頑張りましょう。
6.就職準備中・求職活動中の障がいのある方へエールをお願いします。
インタビューにご協力いただきありがとうございました。
設問「2」にあります就労訓練のひとつの「靴磨き」から生まれたのが、以前にミルマガジンでご紹介しました『株式会社 革靴をはいた猫』になります。
是非、こちらの取材レポートもご覧になってください。
施設名:社会福祉法人向陵会 Café樹林
代表者名:小野 哲(おの さとる)
設立日:1999年(社会福祉法人向陵会)
業種:福祉
事業内容:就労継続支援B型
所在地:〒617-0006 京都府向日市上植野町五ノ坪11-1(社会福祉法人向陵会)
〒612-8577 京都市伏見区深草塚本町67龍谷大学深草キャンパス内(Trimtab College Café樹林)
ホームページ:http://himawarien.net/
カフェですのでもちろん学生、職員の方々、地域の方々といった多くのお客様が出入りされる場所となっています。また、龍谷大学チーム・ノーマライゼーションという学生団体の皆さんがCafé樹林でのアルバイト含め、トリムタブ・カレッジに関わっています。このような多くの方々と接する環境の中で、障がい者健常者関係なく、「若者が共に学び合い、高め合い」そして「社会に貢献できる人材」の育成を行っています。