支援施設インタビュー:NPO法人ディーセントワーク・ラボ

今回、ご紹介します企業は、「NPO法人ディーセントワーク・ラボ」様です。

こちらの企業では、企業を対象とした「雇用した障がい者の職場定着となるサービス」と障がい者の支援事業所を対象とした「個々の障がい者が持つ表現力をモノづくりに活かせるサービス」を提供。2018年度以降、活発化する障害者雇用を促進する活動をしています。インタビューにお答えいただきましたのは代表理事の中尾様です。

1.読者向けに施設の紹介をお願いします。

NPO法人ディーセントワーク・ラボは、「働くすべての人に喜びと安心を」をミッションとして、日々活動しています。
ディーセント・ワーク(Decent Work)とは「働きがいのある人間らしい仕事」と訳され、ILO(国際労働機関)の21世紀の主目標にもなっている大切な考え方です。働くことには、お金を稼ぐといった「経済的な側面」と誰かの役に立つ、自己表現をする等といった「社会的、精神的な側面」があり、片方だけが満足していても生活できません。両方をバランスを取りながら一緒に高めていくことがとても大切です。
ディーセントワーク・ラボは、特に障がいのある方が「働きがい」「働く喜び」を感じながら、長く働き続けられるような仕事や職場環境・待遇、組織をつくれるよう、主に企業や福祉事業所の方をサポートしています。

2.施設で提供している支援の内容とその流れを教えてください。

障害者雇用コンサルについては、準備段階から業務計画、採用、定着までをトータルにサポートします。コンサルタントはソーシャルワーカーなので、障がい者と企業の双方の困りや課題から必要なニーズを明らかにし、それを解決&サポートできるよう、外部の支援機関も含めて取り組んでいきます。
福祉事業所コンサルについては、障がい者のある人のユニークさやオリジナリティを活かせるデザインや手作りにこだわってモノづくりをしています。コンセプトづくり、付加価値のあるモノづくりのデザイン、製造、販売をサポートしています。

3.支援に関して、今後力を入れていきたいことはありますか?

2018年の4月から、障がい者の法定雇用率(一定数以上の従業員がいる国、地方公共団体、民間企業に義務付けられた障害者雇用の最低比率のこと)が2.0%→2.2%に引き上げられます。そのため、障がいのある人と一緒に働く企業が増えることになりますが、企業等は「これまで障がい者を雇用したことがない」「同僚の理解がない」「障がい者の仕事の作り方がわからない」といった様々な課題に直面することも少なくありません。今後は特に企業に対して、企業の困りや課題に対応しながら、障がいのある方が自分らしく、働きがいを持って働けるようにサポートすることを強化したいと考えています。
また、障害者雇用に成功している企業は、組織自体が柔軟で、変化への対応力が高く、試行錯誤を繰り返していける組織であることも分かってきています。障がい者が働きやすい環境は障がいのない人にとっても働きやすい職場であり、障害者雇用を通して組織を活性化することも可能です。これは、現在、企業が力を入れている「働き方改革」にもつながるものです。そういった組織の仕組みについても調査研究し、実践に結びつけていきたいと考えています。

4.現在の障がい者の就労・就職全般に感じる問題点・困っている事はありますか?

働きたいと思っている障がい者がいて、雇用したいと考えている企業がいるにもかかわらず、双方の考えをふまえてマッチングしていく仕組みが、まだ日本では少ないように思っています。お互いのニーズが上手くマッチし、長く働き続けるためには、そのための仕組みをしっかり作り込む必要がありますが、それができれば働く障がい者は増えると考えています。

5.障がい者の受け入れに悩んでいる企業へのエールをお願いします。

障がい者は「できないことが多い」という考えを、「環境を整えさえすればできる」という考えへ実感を伴いながら変えていくことがとても重要だと考えます。そのために、まずは障がい者が戦力となり、働きがいをもって働いている職場を見学してみるのが近道です。そのエッセンスを実際の職場で活かし、小さな成功体験を組織全体で共有していくことが大切だと思います。

6.就職準備中・求職活動中の障がいを持った方へのエールをお願いします。

障障害者雇用はこの8年で大きく変わってきたという印象があります。もちろん、課題や困難はまだたくさんありますが、以前に比べて企業の「障がい者と一緒に働く」という気持ちは高く、特に人事の方の考えは柔軟であると感じます。
まずは障がい特性を含めた自身の特性、強み、得意なこと、苦手なことを家族、友達や支援者と一緒に考えてみることが第一歩だと思っています。

インタビューにご協力いただきありがとうございました。

施設情報
施設名:NPO法人ディーセントワーク・ラボ
代表者名:中尾文香
設立日:2013年6月
業種:障害者雇用コンサル、福祉コンサル
所在地:東京都大田区北千束2-36-20-205
ホームページ:http://www.decentwork-lab.org
事業内容:障害者雇用コンサルティング、福祉事業所コンサルティング、調査研究

ABOUTこの記事をかいた人

[障害者雇用コンサルタント]
雇用義務のある企業向けに障害者雇用サポートを提供し、障害者の雇用定着に必要な環境整備・人事向け採用コーディネート・助成金相談、また障害者人材を活かした事業に関するアドバイスを実施。障害者雇用メリットの最大化を提案。その他、船井総研とコラボした勉強会・見学会の開催や助成金講座の講師やコラム執筆など、障害者雇用の普及に精力的に取り組んでいる。

▼アドバイス実施先(一部抜粋)
・opzt株式会社・川崎重工業株式会社・株式会社神戸製鋼所・沢井製薬株式会社・株式会社セイデン・日本開発株式会社・日本電産株式会社・株式会社ティーエルエス・パナソニック株式会社・大阪富士工業株式会社・株式会社船井総合研究所・株式会社リビングプラットフォーム