今回、支援施設インタビューにご協力いただいたのは、社会福祉法人北摂杉の子会が運営している「ジョブジョイントおおさか」様です。
こちらの事業所では、自閉症や発達障がいの特性を持つ障がい者に特化した就労支援を実施。障害者雇用に取り組む企業への支援にもちからを入れており、たくさんの事例にも対応しています。インタビューにお答えいただきましたのは、日々精力的に活動されている施設長の星明様です。
1.読者向けに施設の紹介をお願いします。
2.施設で提供している支援の内容とその流れを教えてください。
就職までの流れとしては、事業所内で基礎訓練をした後、3〜5社の企業へインターンシップに行かせていただいています。そこで様々な業務を体験し、経験したことを活かしてハローワークでの就職活動をし、約2年で就職を達成できるよう支援しています。就職後においても、定期的に企業訪問や本人との面談等のフォローアップ支援を行い、本人らしく長く安定的に働いていけるよう本人・企業の双方への支援を行っています。
3.支援に関して、今後力を入れていきたいことはありますか?
ただ、ハローワークと連携して企業開拓をしていますが、アポをとってお伺いしてみると、企業の方も障害者雇用を進めるにあたって不安や悩みも多いとお聞きしています。今後は、企業の方を対象に障害者雇用や障がい特性、雇用管理、人材育成等に関するミニ勉強会を私たちの地元の高槻市で開催していきたいと考えています。企業の方の不安や悩みを少しでも解消し、企業にとって価値のある障害者雇用が進んでいくよう取り組んでいきたいと考えています。
4.現在の障がい者の就労・就職全般に感じる問題点・困っている事はありますか?
障害者雇用においても、「採用の質」、「ジョブマッチングの質」はとても大切です。採用時にミスマッチが起こることで、雇用管理や人材育成で無理が生じ、なかなか思い通りに勧められないように感じます。追い風であれ、向かい風であれ、企業側が考える「業務内容」「配置予定の職場環境」と、障がいのある人の「業務スキル」「障がい特性」等、双方の情報(事情)のマッチング精度を高めることで、より戦力となる障害者雇用が生み出せると感じています。その際には、面接選考に限らず、「実習選考」も加えて、障がいのある人の働きっぷりを見てから採否を判断することでミスマッチは防ぎやすくなるため、私たちとしては「実習選考」の実施をできるだけ企業の方にお願いするようにしています。
5.障がい者の受け入れに悩んでいる企業へのエールをお願いします。
理想は、企業にとってメリットのある仕事を障がいのある人に担ってもらうことです。そのことで、周囲の社員の方が「めっちゃ助かる」「採用してよかった」と思える姿が望ましいです。もしかすると、障害者雇用とは全く関係のない、経営課題や新規事業、残業の多い部署(人)などのキーワードから、障害者雇用の推進に向けたヒントを見出すことも可能かと感じます。どうせやるなら、嫌々やるより理想像に向けて取り組んでみるのも悪くないと思います。そんな場合は、ぜひご相談いただければ幸いです。私たちでよろしければ、一生懸命お手伝いさせていただきます。
6.就職準備中・求職活動中の障がいを持った方へのエールをお願いします。
でも、就職はゴールではなくスタートという意味もあるので、あまり内定という結果にこだわらず、就職後どんな風に働けると自分らしく社会人生活を送れるかについてもしっかりと考え、就職に向けて動いてもらえればと思っています。就職活動は「自己分析が大事」とよく言われますが、自分のことを少しずつ理解していくことは、自分らしく働き続ける上でもとても大切なことです。ただ、自己分析は自分のことを客観視しながら進めると効果的なため、自分のことをよく知ってくれている人、信頼できる人、理解してくれる人などを頼りながら、自己分析を進め、自分らしく無理なく働けるように取り組んでもらえればと思っています。
インタビューにご協力いただきありがとうございました。
オフィスワーク
企業研究講座
施設名:社会福祉法人北摂杉の子会ジョブジョイントおおさか
代表者名:理事長 松上利男
設立日:2011年4月1日
業種:障がい福祉サービス
所在地:大阪府大阪市淀川区十三東1-1-6
ホームページ:http://www.suginokokai.com/facilities/jj_osaka.html
事業内容:
・就労移行支援事業と自立訓練事業の運営
・発達障がいやコミュニケーションが苦手な大学生のため就職支援プログラム「働くチカラPROJECT」
・障害者雇用に関するご相談等の企業支援サービス
・福祉事業所や大学等へのコンサル(SV)事業
利用している自閉症や発達障がいの方は、平均年齢が26歳ほどで、男性の方が多く、高校卒業後は大学等の高等教育機関へ進学された方が多く、障がい者手帳は精神障がい者保健福祉手帳の2〜3級を皆さん所持されています。就業経験のない方が多いですが、真面目で、素直で、何事にも手を抜かず、一生懸命に取り組む方が多いです。また、発達障がいやコミュニケーションに苦手さのある大学生向けに『働くチカラPROJECT』「就活のススメ」「就活のハジメ」も提供しています。(株式会社エンカレッジと協働)