支援施設インタビュー:社会福祉法人北摂杉の子会 ジョブジョイントおおさか

今回、支援施設インタビューにご協力いただいたのは、社会福祉法人北摂杉の子会が運営している「ジョブジョイントおおさか」様です。

こちらの事業所では、自閉症や発達障害の特性を持つ障害者に特化した就労支援を実施。障害者雇用に取り組む企業への支援にもちからを入れており、たくさんの事例にも対応しています。インタビューにお答えいただきましたのは、日々精力的に活動されている施設長の星明様です。

1.読者向けに施設の紹介をお願いします。

ジョブジョイントおおさかは、「自閉症スペクトラムのある人たちと職場をつなぐ」をミッションに、自閉症・発達障害の方を対象とした企業就労に向けた職業訓練、インターンシップ、就職活動、就職後のフォローアップ支援等を行っている事業所です。事業所は、大阪市淀川区(利用定員20名)と大阪府高槻市(利用定員40名)の2箇所で事業運営をしています。
利用している自閉症や発達障害の方は、平均年齢が26歳ほどで、男性の方が多く、高校卒業後は大学等の高等教育機関へ進学された方が多く、障害者手帳は精神障害者保健福祉手帳の2〜3級を皆さん所持されています。就業経験のない方が多いですが、真面目で、素直で、何事にも手を抜かず、一生懸命に取り組む方が多いです。また、発達障害やコミュニケーションに苦手さのある大学生向けに『働くチカラPROJECT』「就活のススメ」「就活のハジメ」も提供しています。(株式会社エンカレッジと協働)

2.施設で提供している支援の内容とその流れを教えてください。

提供している職業訓練のメニューとしては、PC等の練習をする「オフィスワーク」や軽作業・清掃等の練習を行う「トライワーク」、体力づくりを目的とした「体力アップ」、スケジュール通りに課題をこなすことを目的とした「自立活動」等があります。また、障害特性の理解や自己理解・他者理解などを目的とした「自分を知る勉強会」、ビジネスマナー等を学ぶ「就活実践講座」・「マナー講座」、大人として必要なスキルを学ぶ「ライフスキル倶楽部」等、グループワークやロールプレイの参加型スタイルで学習する時間も設けています。その他には、個別目標の進捗確認をする定期面談(週1回)や工場見学・企業見学、企業での職場実習等、多くの経験ができるよう20種類以上のプログラムを提供していす。
就職までの流れとしては、事業所内で基礎訓練をした後、3〜5社の企業へインターンシップに行かせていただいています。そこで様々な業務を体験し、経験したことを活かしてハローワークでの就職活動をし、約2年で就職を達成できるよう支援しています。就職後においても、定期的に企業訪問や本人との面談等のフォローアップ支援を行い、本人らしく長く安定的に働いていけるよう本人・企業の双方への支援を行っています。

3.支援に関して、今後力を入れていきたいことはありますか?

ジョブジョイントおおさかでは、支援員による独自の企業開拓を行っています。利用している自閉症や発達障害の人たちは、住まいも違えば、障害の特性や得意苦手も十人十色であるため、一人ひとりに適した企業を常に探すことを心がけています。
ただ、ハローワークと連携して企業開拓をしていますが、アポをとってお伺いしてみると、企業の方も障害者雇用を進めるにあたって不安や悩みも多いとお聞きしています。今後は、企業の方を対象に障害者雇用や障害特性、雇用管理、人材育成等に関するミニ勉強会を私たちの地元の高槻市で開催していきたいと考えています。企業の方の不安や悩みを少しでも解消し、企業にとって価値のある障害者雇用が進んでいくよう取り組んでいきたいと考えています。

4.現在の障害者の就労・就職全般に感じる問題点・困っている事はありますか?

来年は精神障害者の雇用義務化や法定雇用率のアップなど、就労支援の業界としては追い風になればと願ってはいますが、企業の方とお話をしていると向かい風と感じている企業も多く、障害のある人に適する仕事のイメージが湧かない、コストとマンパワーを充てられない、過去に失敗した経験もある等、心配や不安も多いようです。私は管理者という立場でもあるので、当法人の新卒の採用面接にも携わっていますが、「採用の質」をどう上げていくかはいつも悩ましく感じています。
障害者雇用においても、「採用の質」、「ジョブマッチングの質」はとても大切です。採用時にミスマッチが起こることで、雇用管理や人材育成で無理が生じ、なかなか思い通りに勧められないように感じます。追い風であれ、向かい風であれ、企業側が考える「業務内容」「配置予定の職場環境」と、障害のある人の「業務スキル」「障害特性」等、双方の情報(事情)のマッチング精度を高めることで、より戦力となる障害者雇用が生み出せると感じています。その際には、面接選考に限らず、「実習選考」も加えて、障害のある人の働きっぷりを見てから採否を判断することでミスマッチは防ぎやすくなるため、私たちとしては「実習選考」の実施をできるだけ企業の方にお願いするようにしています。

5.障害者の受け入れに悩んでいる企業へのエールをお願いします。

障害者雇用は、コンプライアンスやCSRの観点から推進が必要な一方で、心配感や不安感が多いとお聞きしています。ただ、障害のある人に雑務を与えるような雇用は、必ずと言っていいほどうまくはいかないと思っています。
理想は、企業にとってメリットのある仕事を障害のある人に担ってもらうことです。そのことで、周囲の社員の方が「めっちゃ助かる」「採用してよかった」と思える姿が望ましいです。もしかすると、障害者雇用とは全く関係のない、経営課題や新規事業、残業の多い部署(人)などのキーワードから、障害者雇用の推進に向けたヒントを見出すことも可能かと感じます。どうせやるなら、嫌々やるより理想像に向けて取り組んでみるのも悪くないと思います。そんな場合は、ぜひご相談いただければ幸いです。私たちでよろしければ、一生懸命お手伝いさせていただきます。

6.就職準備中・求職活動中の障害も持った方へのエールをお願いします。

就職活動は、企業とのご縁もあるため、内定をもらうまでは見通しが持ちにくく、大変な道のりだと思います。
でも、就職はゴールではなくスタートという意味もあるので、あまり内定という結果にこだわらず、就職後どんな風に働けると自分らしく社会人生活を送れるかについてもしっかりと考え、就職に向けて動いてもらえればと思っています。就職活動は「自己分析が大事」とよく言われますが、自分のことを少しずつ理解していくことは、自分らしく働き続ける上でもとても大切なことです。ただ、自己分析は自分のことを客観視しながら進めると効果的なため、自分のことをよく知ってくれている人、信頼できる人、理解してくれる人などを頼りながら、自己分析を進め、自分らしく無理なく働けるように取り組んでもらえればと思っています。

インタビューにご協力いただきありがとうございました。

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施設情報
施設名:社会福祉法人北摂杉の子会ジョブジョイントおおさか
代表者名:理事長 松上利男
設立日:2011年4月1日
業種:障害福祉サービス
所在地:大阪府大阪市淀川区十三東1-1-6
ホームページ:http://www.suginokokai.com/facilities/jj_osaka.html
事業内容:
・就労移行支援事業と自立訓練事業の運営
・発達障害やコミュニケーションが苦手な大学生のため就職支援プログラム「働くチカラPROJECT」
・障害者雇用に関するご相談等の企業支援サービス
・福祉事業所や大学等へのコンサル(SV)事業

ABOUTこの記事をかいた人

上前 忠司 (イルネス障害者雇用総合研究所代表)

[障害者雇用コンサルタント] 企業向けに障害者雇用サポートを提供し、障害者の雇用定着に必要な環境整備・採用コーディネート、また障害者人材を活用した事業に関するアドバイスを実施。その他、船井総研とコラボした勉強会・見学会の開催やコラム執筆など、障害者雇用の普及に精力的に取り組んでいる。講演のご依頼や雇用に関する相談は、当サイトお問い合わせからお願いします。