インタビュー：女性専用就労移行支援事業所 ＠flower天神

今回ミルマガジンでご紹介するのは福岡市中央区にあります女性専用就労移行支援事業所の「@flower天神」です。全国でも初の女性を対象とした就労移行支援事業所になります。

今回、ミルマガジンのインタビューにご協力をいただいたのは、同事業所の管理者である清水良樹（しみず かずき）氏です。
これまでになかった女性専用の就労移行支援事業所のご紹介・特徴についてお聞きしました。

１．読者向けに施設の紹介をお願いします。

＠flower天神は全国初の”女性専用”就労移行支援事業所として福岡の中心地天神にて2024年2月に開所いたしました。女性の方はどなたでもご利用いただけます。

障がいにより男性に精神的・身体的苦痛を受け苦手意識や恐怖心のある方、障がいを持ちながらもシングルマザーとして奮闘されている方々にも、安心して過ごせる場所になればと思っています。

「花」は人の心を和ませる素敵な花を咲かせますが、そこまでには冷たい土の中で耐え、芽を出したかと思えば雨風に耐えながらそのときを待ちます。
障がいをお持ちのあなたも雨風に耐えるような経験をされてきたかもしれません。そんなあなただからこそ、あなただけの素敵な花を咲かせるためのお手伝いをさせていただければと思っています。

＠flower天神は女性のみなさんの居場所となるため、スタッフ同士で日々アイデアを出し合い、また利用者さんの声も反映しながら、よりよいものにしようとしています。
＠flower天神がどんなところか、一度遊びに来られてください。

２．施設で提供している支援の内容とその流れを教えてください。

最大の特徴は
『ChatGPT』と『登録販売者資格（ドラッグストアや薬局で活躍できる資格）』です。

“女性専用”とは少し関連づかないかもしれませんが、これからの時代はAIをどう利用していくか、欲しい情報をどうやって手に入れるかだと思います。
ChatGPTの使い方をお伝えし、実際の生活の中で利用しながら慣れていただき、就活にも役立てていただけたらと思います。

また登録販売者資格も増えていくドラッグストアの中で需要の多いものだと考えています。
難しい資格ではありますが、登録販売者資格を持ったスタッフがおりますので、学習方法や要点やアドバイスといったことをお伝えしながら合格に向かいたいと思います。
障がい者雇用ではありながら資格手当などをもらい、収入の確保と安定を目指します。

もちろん行っている支援はこの2つだけではありません。パソコン学習や就職対策、履歴書添削、ソーシャルスキルトレーニングなど就労に向けた様々な取り組みを行っています。
有料級の支援を無料にて受けれることは就労移行の最大の売りだと思いますので、ぜひともご自身の人生に役立てていただけたらと思います。

また女性専用ならではの、女性に楽しんでもらえるカリキュラムやイベントも試行錯誤中です。
メイクや身だしなみ、立ち振る舞いなどの所作や、女性だけだからこそ開放して行えるエクササイズなど。
たくさんのリクエストを形にしていきます。

３．支援に関して、今後力を入れていきたいことはありますか？

全国初の女性専用だからこそやりたいことがたくさんあります。
女性の方が楽しんでもらえるイベントやカリキュラムを形にしていきたいですし、居心地よく過ごしていただける環境作りもより進めていきたいです。
ただ、そんな明るいことばかりではなく、DV被害を受けている方やジェンダーに悩まれる方、シングルマザーとして奮闘されている方などいろんな悩みを抱えている女性の方はたくさんいらっしゃいます。
そういった方々を支援していくため、関係機関と連携を取りながら、私たち自身も障がい福祉だけにとどまらない知識と経験を増やしていきたいと思います。

そして今はまだ福岡に1事業所ですが、九州、全国と広げていき、日本中の女性の方への居場所となれるように力を入れていきたいと思います。

４．現在の障がい者の就労・就職全般に感じる問題点・困っている事はありますか？

私たちが本来力を入れるべきは利用者さんの支援はもちろんのこと、障がいをお持ちの方を受け入れる環境づくりだと思っています。
利用者さんに対して就職先での立ち振る舞いを伝えることも大切なことだと思いますが、受け入れる体制の整っていない社会を変えていくことが利用者さんにとって安心した就労につながるのではないかと思います。これは社会、企業を批判しているのではなく、ただ相互の理解、コミュニケーションがないだけの問題だとも考えています。「障がい者」だからと特別扱いするのではなく、出来ること出来ないことへの区別と理解が大切だと思います。

ジェンダーレスということが広まっていますが、障がいをお持ちの方に対してもボーダレスになるよう、利用者さんだけでなく、企業側へも支援を行っていきたいと思っています

５．障がい者の受け入れに悩んでいる企業へのエールをお願いします。

「障がい」と名がついてしまうばかりに、「どのように対応したら…」「どんな風に声掛けしたら…」など難しく考え込み、悩まれるかもしれません。障がい者のみなさんはたまたま「障がい」に分類される病名がついてしまっただけで、私たちとなんら変わりはありません。「頑固な方」や「引っ込み思案の方」と同じです。配慮していただくことはありますが、「特別扱い」することはございません。他の従業員の方と同様に、その方が出来ることをその方のペースで一所懸命にしていただけます。

会社という組織がたまたま「健常者」と呼ばれる人が多く、その中の少数として「障がい者」がいるかもしれませんが、反対に「障がい者」の多い組織の中に入れば、「健常者」は少数派になります。
そのときどのように接してもらえたら居心地悪くないかの視点だけ持っていただければ、なんら難しいことはなく受け入れていただけるのではないかと思います。

必要なのは「特別扱い」などではなく、誰に対しても行う「思いやり」で十分です。
どうか難しく考えないでいただきたいですが、「0」から「1」を生み出そうとするときはなかなかそうはいかないかもしれません。
機会があればまずは私たち支援事業所のものと会話をしていただければ、モヤモヤが明確になることも、そんな簡単なことかと気付くこともあると思います。
受け入れない理由ではなく、どうしたら受け入れることが出来るかの視点になっていただき、私たち支援機関とも連携していただけたらと思います。

６．就職準備中・求職活動中の障がいを持った方へのエールをお願いします。

「私は障がい者だから」と「やりたいこと」ではなく「できること」で就職の選択をされている方もいます。「できること」から探すことは問題はないですが、そこに「諦め」が入ってしまうとそれは話が変わると思います。
あなたがやりたいことは何か？どんな人生にしていきたいのか？そのためにはどうしたらいいのか？
もう一度「諦め」ではなく、「希望」という視点から考えていただきたいです。

そして一人で悩んでしまったら、ぜひ相談に来ていただきたいです。
それは「私たちに」という訳ではなく、全国にはたくさんの支援機関があります。
まずはそこを頼っていただけたらと思います。
みんなで一緒に考えていきましょう！

ご協力ありがとうございました。