前回の続きから。
では企業規模ごとの内訳を見てみましょう。
- 40.0~100人未満:67,885社 / 1.94%(前年1.96%)
- 100~300人未満 :37,052社 / 2.18%(前年2.19%)
- 300~500人未満 :7,083社 / 2.27%(前年2.29%)
- 500~1,000人未満:4,843社 / 2.41%(前年2.48%)
- 1,000人以上 :3,568社 / 2.69%(前年2.64%)
大きな特徴としては算定基礎となる労働者数「1,000人以上」の企業のみが前年の実雇用率を上回る結果となりました。それ以外の企業規模は全て前年を下回る実雇用率であり、特に「40.0~100人未満」の企業規模については実雇用率が2.0%を割り込む数値となってしまいました。
これは、雇用義務のある企業全体で見ると障がい者の雇用実数は増加しているものの、雇用率2.5%を達成する水準まで雇用数は伸びていないことが分かります。「1,000人以上」の企業では、法令遵守に対する意識の高さが窺えるとともに、障がい者雇用が「多様な人材活躍の実現」「DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)活動の推進」等、社会課題の解決に向けた具体的な取り組みに直結した活動であるとの認識が組織に浸透していることの表れであると考えられます。
一方で企業規模が「500〜1,000人未満」「300〜500人未満」「100〜300人未満」「40.0〜100人未満」の層では障がい者雇用に取り組むためにあたって組織に対して推進するはたらきかけが未整備なのではないでしょうか。
しかしながら、企業規模が小さい組織ほど障がい者雇用に目を向け、投資する価値があると考えます。現在、少子高齢化が進み労働者確保が大きな社会問題となっている我が国で、はたらく意欲が高く、能力のある障がい者は新たな働き手になる可能性が非常に高いと思います。実際に障がい者を多く雇用する企業は国内にも増えており、障がい者の能力を実感している経営者も増えています。
次に法定雇用率達成企業の割合について見てみましょう。
法定雇用率達成企業の割合とは法定雇用率2.5%を達成している企業の割合を示しており、企業規模ごとに公表されていることから組織の大きさによって障がい者雇用に対する意識の濃淡を確認することができます。企業全体では対象となる企業数は前年よりも増加した120,467社中、法定雇用率を達成している企業数は55,434社となり、達成割合は46.0%となっています。
企業規模ごとの内訳は下記の通りです。
- 40.0~100人未満:67,885社中30,630社が達成 / 達成率44.7%(前年44.3%・0.3ポイント)
- 100~300人未満:37,052社中17,992社が達成 / 達成率48.6%(前年49.1%・▲0.5ポイント)
- 300~500人未満:7,083社中2,855社が達成 / 達成率40.3%(前年41.1%・▲0.8ポイント)
- 500~1,000人未満:4,843社中2,156社が達成 / 達成率44.5%(前年44.3%・0.2ポイント)
- 1,000人以上 :3,604社中2,071社が達成 / 達成率57.5%(前年54.7%・2.8ポイント)
前年の令和6年の法定雇用率達成割合46.0%と変動がありませんでした。一昨年の令和5年に法定雇用率の達成割合50.1%が過去最高でした。
それ以外ではほとんどが50%を下回る結果となり、大きな壁となっている法定雇用率の達成割合50%を超える水準がスタンダードになるよう、企業規模に関わらず障がい者雇用数の底上げが求められています。これは、法定雇用率未達成企業の数が65,033社あります。そのうち障がい者の数が「0」人である企業(雇用ゼロ企業)は37,262社あり、未達成企業の57.3%を占めています。これら雇用ゼロ企業は企業規模が小さくなるにつれ多くを占めています。ということはこれらの企業がひとりでも障がい者を採用することで法定雇用率の達成ができる状況下にあります。雇用ゼロ企業を1社でも減らすことができれば、法定雇用率の達成割合も改善されることになります。
③「就労継続支援A型事業所」「特例子会社」における障がい者雇用状況

令和4年の「障がい者雇用状況の集計結果」から就労継続支援A型事業所での障がい者雇用状況も公表されることになりました。就労継続支援A型事業とは、障がい者を対象にした福祉サービスである一方で事業所に通所する障がい者と雇用契約を結び労働の対価として最低賃金の保障など、福祉と就労の両面を兼ねた事業となります。
今回の報告では全国1,447ヶ所のA型事業所で雇用される障がい者の数は33,535.5人となり、前年の同公表数30,983.5人より2,552人増加したことになります。(※2024年時点で国内のA型事業所数は約4,472ヶ所)
近年では、障がい者福祉サービスに関連した法律の見直し等があり、事業所運営に少なからず影響が見られました。特にA型事業所においては経営が厳しくなり事業を廃業するところや、大阪では不正受給の疑いがあるA型事業所の運営が原因となり、違った意味で注目を浴びることとなりました。そのような中、A型事業所で雇用される障がい者の数が前年よりも2,000人以上増加したというのはどのような意味があるのでしょうか。私個人の考えになりますが、国からの報酬をもとに運営する福祉サービス事業者に求められる役割が何なのかを改めて考え直すタイミングのように思われます。
特例子会社の現状についても公表されています。
令和7年現在、全国に631社の特例子会社があります。同年だけで17社の特例子会社が新たに新設されました。参考までに10年前となる平成27年の特例子会社数は422社となり、この10年の間に209社が増えたことになります。令和7年の特例子会社による障がい者雇用数は53,710.5人となり、前年の50,290.0人から3,420.5人増加しました。
今後、法定雇用率の引き上げ等の法改正や社会課題の解決等の観点から企業による障がい者の雇用が増えるため、特例子会社の役割のひとつである新規採用も比例して増加することが今回の数値を見ても明らかです。一方で特例子会社に障がい者の雇用を肩代わりしてもらう立場である親会社及びグループ会社での雇用状況がどのような取り組みとなっているのかが気になるところです。
障がい者雇用の多くを特例子会社に任せてしまうことは多様性社会の推進や自分と違う他者の受容から掛け離れた組織を生む恐れがあり、見る方向からは分断のようにも感じられます。こういった点も今後障がい者雇用を進める企業に求められる課題のひとつだと感じています。
最後に。障害者雇用促進法では「全ての事業主は社会連帯の理念に基づき、適当な雇用の場を与える共同の責務がある」と定めています。





