今回、インタビューにご協力いただきましたのは、医療法人栄仁会が運営している就労移行支援事業所「ワークネットきょうと」様です。
こちらの事業所は、主に精神障がい者のサポートをメインに就労支援を行っています。また、母体である医療機関としての専門性を強みとし、これから増加する企業での精神障がい者の雇用定着を後押ししています。インタビューにお答えいただきましたのは、サービス管理責任者をご担当されています金森様です。
1.読者向けに施設の紹介をお願いします。
2.施設で提供している支援の内容とその流れを教えてください。
また、個人の目的に応じたパソコン講座等もスポットで必要に応じて行っています。基本的にはスタッフの担当制となっており、1週間〜2週間に1回の面談を通して、就職までの進捗状況や、訓練全体を通して、職業の適性や障害者雇用で働く際に必要な配慮事項等をご本人と明確にしていきます。そのうえで職場開拓をスタッフが中心に企業開拓をハローワークと連携して行い、雇用前の実習でマッチングをはかったうえで企業側と本人側の双方の合意のうえで就職に至ります。
その後は、6ヶ月間はジョブコーチによる職場定着への集中支援を行い、7ヶ月目以降は就労定着支援事業を適応し、継続的に企業と本人の双方へのニーズに応じた支援を行っていきます。
3.支援に関して、今後力を入れていきたいことはありますか?
一つは、母体が医療機関であり、就労以外の生活面や医療面に関しても解決できるスキルやツールを持っていることが強みです。働くスタッフも就労支援のスキルだけでなく、医療機関で精神保健福祉士、臨床心理士、作業療法士としての経験もあり、就職後の支援の中で障害者雇用を企業だけで支えきれない生活面や医療との連携で支えながら、定着に関する課題解決に取り組みたいと思っています。
もう一つは、利用されている方の一般就労や、就職後の定着支援は、一定の成果は上がっています。しかし、本人の希望に沿った雇用形態や業種、職種に沿った働き方がどこまでできているのかという点において、はっきりとした指標はないですが、不十分な点があります。その部分を解決するためにも効果的な支援の在り方や、京都府内で利用者が選択できる職域の幅を広げることができるような活動を日々の支援の中で行いたいと思っています。
4.現在の障がい者の就労・就職全般に感じる問題点・困っている事はありますか?
確かに、精神障がい者の方は仕事の中だけでなく、生活面や他者との対人関係、また、環境の変化も含めて、病状の波や悪化による休職や退職のリスクはありますが、個々の就労継続に関する課題点を共有し、支援者側と企業側で就労定着に関する棲み分けを行い、連携を取ることで必要なタイミングでの支援をはかり、一定の時間をかけて環境に慣れることができれば、解決することは可能です。
そのことを経験を通して広めていくことが個々の事業所の役割として問題点の解決につながるのではないかと思っています。
5.障がい者の受け入れに悩んでいる企業へのエールをお願いします。
そのためにも就労支援や定着支援の経験が豊富な就労移行支援事業所等の就労系の支援機関と連携したり、雇用前実習といった形で雇用前に丁寧にマッチング(関わる事業所が本当に就労後も求められる協力をしてくれるのかも含めて)することで、ミスマッチを防ぎ、継続や安定した雇用はできると思います。しかし、継続して働くためにはそれだけではなく、キャリアパスやナチュラルサポート、戦力となる働き方などの職場の中で現場スタッフもご本人も負担にならない環境づくりは大切です。そのためにはこれまでに就労関連のノウハウを持っている事業所に相談をしていただくことが近道だと思います。もし、ご希望頂ければ、ワークネットきょうとにご相談していただければご協力させていただきますのでよろしくお願いいたします。
6.就職準備中・求職活動中の障がいを持った方へのエールをお願いします。
長く働くためには、相談できる人や場所をたくさん持つことと、自分自身のワークライフバランスやセルフケアもできるとよりよいと思います。一人一人で状況は違います、長期的な視点で自分に合った職場を探してください。
また、ワークネットきょうとでご協力できることもあると思います。その際にはぜひ、相談に乗れると嬉しいです。
インタビューにご協力いただきありがとうございました。
施設名:ワークネットきょうと
代表者名:金森 翔
設立日:2010年4月1日
業種:障がい福祉サービス
所在地:京都府宇治市五ヶ庄新開11-23
ホームページ:http://www.eijinkai.or.jp/group/welfare/worknet.html
事業内容:就労移行支援・就労定着支援・自立訓練(生活訓練)の多機能型事業
京都府宇治市(利用定員14名)で運営をしており、利用者は、平均年齢が30代前半で、時期により変動はありますが現在は男性の方が多く、障がい者手帳は2級〜3級をお持ちの方が多いです。精神障がいの方は後天的な障がいであるために、ご病気を発症前あるいは、発症後にも職業経験のある方が多く、学歴や職歴も様々です。多くの方がこれまでの病気や人生の体験を通したうえで、改めて社会の中で働くことで、自分自身のリカバリーや他者の役に立ちたい、あるいは社会参加されたいと考えておられ、真面目で素直で、何事にも一生懸命取り組む方が多いです。