全国では障がい者を対象とした就労系の福祉事業所の数が右肩上がりに増えてきています。特に就職が困難な障がい者が支援を受ける就労継続支援B型事業所は全国に約10,000件と、就労継続支援A型事業所や就労移行支援事業所と比べても2倍以上の事業所数が存在します。
一般的にB型事業所と聞いて想像するのは、内職などを行う作業所のようなところをイメージされると思います。
でも、近年では従来からのB型事業所とは趣が違い、新しい取り組みとして就労支援を形作る事業所ができて来ました。
今回、インタビューにご協力していただいたのは、千葉県富津市で「胡蝶蘭の栽培および販売」と障がい者の就労訓練とをマッチさせた『AlonAlonオーキッドガーデン』の理事長である那部様です。非常に興味深い内容となっています。
1.読者向けに施設の紹介をお願いします。
2.施設で提供している支援の内容とその流れを教えてください。
また次第に難しい作業にチャレンジする・先輩が後輩を教えるOJTを促す等により「社会で仕事をする」ことを学ぶ環境を整えております。
そして一連の作業を習得した利用者は「花屋で花を注文するのではなく障害者雇用をして自社で花を栽培する」企業へ就労いたします。
3.支援に関して、今後力を入れていきたいことはありますか?
AlonAlonは300億円以上と言われている胡蝶蘭マーケットを使って利用者をどんどん企業に就労させていきたいと思っております。胡蝶蘭の栽培技術はAlonAlonの利用者全員、私よりも遥かに「上」。
その健常者よりも「上」の技術を評価してもらえる企業を増やしていきたいと考えております。
4.現在の障がい者の就労・就職全般に感じる問題点・困っている事はありますか?
1.就労継続支援B型事業所利用者の月額平均工賃15,000円あまり。障がい者年金を合算しても生活保護の受給額にも満たない。
2.福祉従事者のワーキングプア。自らの人生設計もできない中の重労働で、不満が障がい者へ向き暴行傷害事件が多発。
3.法定雇用率達成企業は48.8%。障がい者法定雇用率は過半数の企業が未達成。身体障がい者の雇用は大きく進んでいるが、知的障がい者・精神障がい者の雇用が進まない。
4.就労継続支援B型事業所の就労率は1%。
これらの問題の解決に一石を投じたいと考えております。
5.障がい者の受け入れに悩んでいる企業へのエールをお願いします。
営業で一番を取る社員が経理部に回されたら「まったく使えない社員」になるかもしれません。
お叱りを承知で書かせて頂くと「障がい者の受け入れも同じこと」その特性に応じた役割が大切です。
なのでAlonAlonは皆様にわかりやすく「お花の栽培については一流の障がい者」を世に送り出すことを自らの役割としております。
個々の特性をしっかりと見極めれば必ず一緒に働く仲間として受け入れられる障害者雇用ができると考えております。
6.就職準備中・求職活動中の障がいを持った方へのエールをお願いします。
企業は皆さんの就労を真剣に考えはじめ様々なアイディアが生れてきております。
それぞれの特性に応じた多くの働き方が実現してきております。
そしてAlonAlonも含めて皆さんが「働く」ことを一生懸命サポートする施設も多くなってきております。
「将来こうなりたいな」そんな気持ちになったときがチャンスです、施設を大いに活用してみてください。
インタビューにご協力いただきありがとうございました。
施設名:AlonAlonオーキッドガーデン
代表者名:那部智史
設立日:2013年1月28日
業種:就労継続支援B型事業所
所在地:千葉県富津市西大和田1234-2
ホームページ:https://www.alon-alon.org
事業内容:胡蝶蘭の栽培及び販売
現在1000を超える企業様からの花の注文をカタログやネットで頂き、東京・横浜・名古屋・大阪・福岡の物流センターから全国に出荷しております。
利用者の月額工賃10万円を実現できる仕組みを構築するとともに、花の自社栽培により障害者雇用が実現できる貸農園の運営を行っております。
この貸農園により利用者の企業への就労がスムーズに行えます。