【上前のひとり言】障がい者雇用で障がい者の成長をコミットする企業が法定雇用率を達成する理由

企業が人材を採用する理由は「足りない労働力を補う」ことが第一の目的になります。
今よりも時代を遡り、戦後の好景気により高度経済成長を迎えた日本は敗戦国ではあるものの、社会に活気があり仕事が溢れていました。求職者にとっては簡単に仕事を探すことができ、求人募集を掛ける企業にとってもすぐに人を採用することができた時代です。少し乱暴な表現になりますが、「生活費を稼ぐために働く、仕事を提供する」といういたってシンプルな関係性で雇用契約を結ぶことに疑問の余地がない時代だったと思います。

それから時代が大きく進みました。もちろん上記の時代にもあったと思いますが、現代では仕事に対しての捉え方が大きく変化したと感じます。人材について単なる労働力として見るのではなく、企業が掲げるパーパスやMVVを実現させるための理解者・協力者として採用する企業が増えてきました。
これから社会を担うであろう世代の人たちにとって、自分の価値・目指すもの・叶えたい夢が自分たちの活動によって手にすることができたり、または実感できることが大切な要素なのだと思います。

仕事も同様に、入社したい会社に対して「社会に何を提供する会社なのか」「仕事を通じて価値を感じられるか」「成長できる組織か」といったところを重要視しています。就職活動で企業の採用担当者からのPRや企業のHPを参考にエントリーし、書類選考・面接・試験等を経てようやく入社となります。
しかし、昨今のニュースを見ると努力と苦労の末に入社した会社を早期に退職する人が増えているということです。中には早計なものもあったと思いますが、退職を選んだ理由の中には入社してから感じるギャップに戸惑ってしまった人も少なくないと想像します。逆にこのギャップがゼロに近い企業は求める人材を採用し、企業の成長へと繋げることができるということです。

最近は特に強く感じるのですが、これまでは企業“に”人材“が”合わせていましたが、今は企業“が”人“に”合わせる時代へと変化しました。
ご存知の通り、国内の生産年齢人口低下により今後さらに労働力不足が深刻化します。そのような中で「人材」というリソースをどのように捉えるかによって企業の方針が変わり、その存続に大きく影響するというのは大袈裟な表現ではないと考えます。企業は人材を選ぶ側から選ばれる時代にあることを認識するのも間違いではありません。人は働くことで対価をもらうだけでなく価値と成長も得たいと考え、それが提供できる企業は従業員の成長とともに事業を発展させられるのだと思います。

障がい者雇用の場面も同様だと感じています。
障がい者雇用を実践されている企業にとって「障がい者も仕事を通じて成長させたい・成長できる」と思い、取り組んでいるかどうかで業務成果に大きな影響があると考えます。障がい者の雇用では、個々の特性・経験・能力等による違いが大きいために職場によっては本人が求める配慮の提供を拒んでしまう企業も残念ながら存在します。障がいがある方でもスムーズに業務に就くことができる方がいる一方で担当業務を身につけるために時間や個別のプロセス・工夫といった配慮が必要な方もいます。
理想としては採用した人材がすぐにでも戦力として働いてもらいたいと思うところですが、スピード・クオリティといった成果がより強く求められる職場において障がいのある人を戦力化するためには時間を掛けその人自身が成長する環境づくりが必要だと考えます。結果的に障がい者であっても、会社が求める成果を生み出す人材へと進化します。
ひいては障がい者だけでなく多様な人材を成長させ、活躍させられる組織となります。

しかし、就職を目指す全ての障がい者を対象にして、企業は仕事を通じて成長させられることが望ましいと言っているのではありません。もちろんのことですが、採用活動時の人選は障がい者の雇用を通じて得る企業の成長や法定雇用率の達成に向けて重要なプロセスとなります。この採用活動時の人選とは、障がい者を選り好みするという意味合いではなく、企業が掲げるミッションを実現させる上で必要となる人材に求める基準を明確にした上で自社にマッチするかどうかを判断して欲しいということです。

企業が障がい者の成長を望む場合、何を持ってして成長を測れば良いのか。
障がいの有無に関係なく、人と比較されることで受けるプレッシャーを前向きに捉えることは難しく、比べられる双方にとってプラスの面は生まれにくく、叱咤激励と捉えてほしいと感じるのは企業側のエゴだと思います。一方で過去の自分との比較は、自分をライバル視することができ、できるようになったことを素直にプラスに捉えられます。敢えて厳しい言い方をするならば、自分に対して目を逸らさず事実を受け止めることができますので、管理者や支援者としては過去の自分と対峙できるためのフォローに注力することで良好な関係性を構築することができます。

ABOUTこの記事をかいた人

[障害者雇用コンサルタント]
雇用義務のある企業向けに障害者雇用サポートを提供し、障害者の雇用定着に必要な環境整備・人事向け採用コーディネート・助成金相談、また障害者人材を活かした事業に関するアドバイスを実施。障害者雇用メリットの最大化を提案。その他、船井総研とコラボした勉強会・見学会の開催や助成金講座の講師やコラム執筆など、障害者雇用の普及に精力的に取り組んでいる。

▼アドバイス実施先(一部抜粋)
・opzt株式会社・川崎重工業株式会社・株式会社神戸製鋼所・沢井製薬株式会社・株式会社セイデン・日本開発株式会社・日本電産株式会社・株式会社ティーエルエス・パナソニック株式会社・大阪富士工業株式会社・株式会社船井総合研究所・株式会社リビングプラットフォーム