当事者と企業から見た障がい者雇用!『テレワーク勤務導入で実感するメリット』~企業の視点~

今、私たちは新型コロナウイルスの影響により、様々な場面でこれまでのライフスタイルを変えることを求められています。
普段の生活であれば「3密の回避」「マスクの着用」「身体的距離の確保」など、新たな習慣として理解し身につけていかなければならなくなります。また、働く場面であれば「オンラインの活用」「時差通勤・ローテーション勤務」といったスタイルについて、企業は本格的に検討・導入を実施していくことが義務化されるなど、安全衛生・健康管理の実現に関わる新たな法律ができるかもしれません。

特に「テレワーク勤務」には大きなスポットが当たったのではないでしょうか。現在、テレワークを導入している企業は全国平均で30%程度となり、従業員規模の大きい企業ほど導入率は高くなっています。また、地域別で見た時に最も多いのは東京都になります。国が目標としているテレワーク導入率70%には満たない数値ではありますが、多くの可能性を示す事例報告があり、障がい者雇用に関連するメリットも見られます。

ミルマガジンでは、以前に「当事者の視点」と「企業の視点」から見た障がい者雇用についてのコラムを掲載しました。お陰様で色々なところから反響の声をいただきました。
障がい者雇用を実践している企業の中で起こる場面をそれぞれの立場から解説する内容は、企業の人事担当者や働く障がい者と支援者の方々にとって参考になったようです。

当事者と企業から見た発達障害者雇用!『業務説明に時間を掛けるべき理由』 ~当事者の視点~

2020.03.31

当事者と企業から見た発達障害者雇用!『業務説明に時間を掛けるべき理由』 ~企業の視点~

2020.04.07

今回は、「テレワーク勤務」をテーマに導入で実感する障がい者雇用のメリットについて「企業の視点」と「当事者の視点」からお話したいと思います。

テレワーク勤務により通勤時のリスクを回避


朝の通勤電車って辛くないですか。
出勤に通勤電車を利用している方は多いと思います。障がいの有無に関係なく、朝の通勤電車による心身への影響は非常に高いと感じています。通勤の時間帯は集中した時間に多くの人が移動をするため、色々なところで「ヒヤッ」とした場面を1度や2度経験した障がい者がほとんどではないでしょうか。また、電車の乗り換えや階段を使用した移動で不便・気遣いを感じる障がい者も多いでしょう。

普段の時間帯でなければ、困った状況にあっても手を差し伸べてくれる人もいますが、通勤の時間帯では周囲も余裕がないためピリピリとしがちです。事業主は障がい者の通勤に配慮をすることも義務だと考えています。
テレワーク勤務を導入した場合、通勤電車によるリスクや不便さから従業員を守ることができます。

【考えられるリスク】

  • 人が多い:人同士の接触が多くなり転倒・怪我のリスクが高くなる
  • 密閉密着:限定された空間に想定以上の人が重なることでストレス値が上昇
  • 体調悪化:通勤時の疲労・負荷の蓄積により状態が悪化
  • 周囲の目:乗降や移動時の周囲への気遣い              など

特性に最適な場所で働く

職場とは仕事をするための状態が整ったところです。しかし、障がいのある人たちにとっては職場にある環境(下記参照)がもとで体調の悪化や業務に影響が出ることも考えられます。
例えば、障がい者用トイレが未設置だったりフロアの移動が必要だと、トイレの利用がストレスになります。また、感覚過敏のある方にとっては普段の職場で見られる話し声・物音(聴覚過敏)、照明や人の動き(視覚過敏)のような意識しない情報が邪魔となり集中力を下げてしまいます。

しかし、テレワーク勤務であれば「行きたいときにトイレに行き」「意識しない情報をシャットダウン」させることで、業務に集中することができます。
様々特性の障がい者が企業で活躍しています。それぞれの障がい者が働きやすい環境を整えるのには限界がありますが、自宅であれば個々の特性に最適な状態で働くことになります。

求人対象が拡大


逆にテレワーク勤務が原因でストレス状態になる人も少なくないと聞きます。当然、テレワーク勤務が適していない障がい者もいます。
テレワーク勤務とは、これまでのような「会社に出勤して働く」というスタイルでは「採用できなかった」「仕事で成果を上げられなかった」という人材でも働くことができます。所謂、「働き方の選択肢を増やす」という考え方が当てはまります。「働き方の選択肢を増やす」ことで「採用できる人材の幅を広げる」ことができます。

以前に取材でお話を聞かせていただいた企業では、重度の身体障がい者をテレワーク勤務で雇用して大きな実績を上げていました。従業員が1,000名を超えるその企業の社内システム業務をその方が中心となって担当されていましたが、週一度の出勤以外はテレワーク勤務でも問題なく業務をこなしています。
テレワーク勤務による仕組みが定着したこちらの企業では、障がいの程度や特性ではなく、「自社が希望する業務」にマッチした人材かどうかで採用の判断をしています。そのため、業務で成果を上げる人材が多く、結果として離職率が低くなります。

現在は、国や厚生労働省では企業におけるテレワーク勤務の導入に積極的であり、各種助成金対象になっています。また地方自治体ごとに助成金を設けている場合もあり、東京都はオリンピック・パラリンピックの開催に伴ったテレワーク勤務の推進に力を入れていますので、経営者や人事担当者の皆さんは、是非各種HPで確認してみてください。
もし、障がい者の職場定着が進まずに法定雇用率がギリギリであったり、未達成になり罰金を支払っているような状況の解決になるかもしれません。

ABOUTこの記事をかいた人

上前 忠司 (日本障害者雇用総合研究所代表)

[障害者雇用コンサルタント]
雇用義務のある企業向けに障害者雇用サポートを提供し、障害者の雇用定着に必要な環境整備・人事向け採用コーディネート・助成金相談、また障害者人材を活かした事業に関するアドバイスを実施。障害者雇用メリットの最大化を提案。その他、船井総研とコラボした勉強会・見学会の開催や助成金講座の講師やコラム執筆など、障害者雇用の普及に精力的に取り組んでいる。

▼アドバイス実施先(一部抜粋)
・opzt株式会社・川崎重工業株式会社・株式会社神戸製鋼所・沢井製薬株式会社・株式会社セイデン・日本開発株式会社・日本電産株式会社・株式会社ティーエルエス・パナソニック株式会社・大阪富士工業株式会社・株式会社船井総合研究所・株式会社リビングプラットフォーム