そのあとのことだが、病状は一気に回復し、一年間引きこもり生活した後、またいろんなところに出かけた。旅行にも行ったしライブにも行ったし、みるみる回復して通常の生活が送れるようになった。
微々たるものだが、エステで稼いだお金で一年間過ごしお金がそろそろ尽きてきたころ、アルバイトをしようと考えた。アルバイト経験はコンビニのほかにもさまざま経験しており、さほど抵抗はなかった。
しかし、事務の仕事がなかなか私の住んでる近くになく、接客の仕事だったら今までもしたことがあるしとスーパーの仕事に就いた。そのスーパーで働く人は主婦さんがほぼで、わたしが一番年下みたいなところだった。そのスーパーでの第一印象はとてもいいものだった。
すれ違う人すれ違う人挨拶してくれる。ここならやっていけそうと直感的に思った。そこからは病気の症状もまったくなく、お客さんの声も気にならなかった。レジとサービスカウンターの往復でその時は全くしんどくならなかった。基本、一緒に働いてる人もお客さんも優しい人たちばかりで何の文句も出なかった。
そこでわたしは、5年以上も働くことになる。
今まで働いていたところは一年半が最長だった。アルバイトを転々とし、就職を失敗し、引きこもり生活から自分でもそんな持久性があったなんて驚いた。
長くなれば長くなる分、一緒に働いている人とは仲が良くなり、一緒にご飯に行く先輩もいたり仕事中でも関係のない話をしてるくらい仲良くなったり、仕事のことや容姿や振る舞いを褒めてくれたり嬉しいことが多かった。お客さんからも頑張ってるね!とか可愛いね!とか褒められることが多くなり私のファンが増えていったり、そこが一番今までになかったから嬉しかった。
きっと今までやってきたバイトや就職の中でも一番に楽しかったかもしれない。2,3年ぐらいは普通に楽しく働けていた。しいて不満があるなら忙しい時にしんどいくらいだった。
3年目に差し掛かり、人間関係ですこしいろいろあり、仕事に支障がでた。
その頃からだった。異変を感じたのは。
今まではなかった。感情にむらがあるようになり、今思うと何故か知らないが、一人の(女性)の人に執着するようになった。その人のことを憧れていてそういう人になりたい!から仲良くなりたい!になってしまい、ラインを教えてもらい、ラインがないと怒ってしまったり、何度もあいさつしに行ったり、なんだか私が私じゃなくなってるような気がした。だいぶ怖くなった。でもその倍、その人は嫌悪感から恐怖感に変わりわたしを避けるようになってしまった。
周りもおかしいとわかりながらも一生懸命フォローしてくれていた。最後のほうなんて私がその人のことで泣きじゃくり仕事にならず、違う部屋で上の先輩方が休ませてくれた。わたしが泣くならとシフトをその女性のいないところに変えてもらったりしていた。
怒ったり泣いたり。とにかくその人のことになると頭の中がおかしくなる。
鬱病だと思っていた私にこれが双極性障がいだということを心療内科の先生が教えてくれた。
どうやら一つのことに執着なるとそうなるらしく、その人のことしか考えられなくなってまるで子供の様に相手が優しくしてくれたら嬉しくなり、相手に怒られると悲しくなって泣いてしまう。
一番たちが悪いのは今まで大人しかったわたしが親にも怒鳴るようになった。今までの自分が嘘のように違う私が出てきて本当に怖くなった。多分自分が自分じゃなくなるのが一番怖かった。
母親や父親に怒鳴ったときには、わたしはおかしくなったんだと確信した。その女性に距離を置かれ、わたしも距離を置くようになった。そしたら自然と仕事がはかどる。このままでいいんだと思った。
挨拶はしようと心がけた。そしたら向こうからもしてくれるようになった。嬉しかった。でもそれまで。下手に仲良くなろうとしない。この関係で一番いいんだと思った。
しかしそのあとも泣いたり怒ったりが続き、苦しい毎日が続くようになった。そういった状態で仕事するのも疲れてしまっていたのでいつ辞めようか模索していた。
そんなとき、ある先輩が鬱病はしんどいやろ?って話しかけてくれて「わたしの病気はちょっと違うくて、双極性障がいという浮き沈みな病気なんですよ。」と言ったら、知っていたらしく、その方がしんどいやんか!と言ってくれた。
その先輩の周りにもそういう人がいるらしくわかってくれたそう。
フォローしてくれる先輩はたくさんいたが、わかってくれる人がいなかったから正直嬉しかった。これからがんばろう!というときに心だけじゃなく、今度は体にガタが来た。
心が疲れていたのでその影響かレジやお客さんの前に立つと胸が苦しくなってしまい、息もしづらくなってしまう。また休憩室で休ませてもらう日々。
わたしはそれでも優しくしてくれている一緒に働いている人たちに申し訳ない気持ちになり、仕事を辞めることを決意した。きっとそこで辞めてしまったのが良かったのか悪かったのかはわたしにもわからない。それでもわたしの気持ちは変わらなかった。