This is my WAY ~ヒロくん第2章~

クロフネファームの看板息子、高知県からやってきたヒロくんのエピソードの第2章です。

This is my WAY ~ヒロくん第1章~

2020.01.07

仕事現場では大活躍のヒロくんが、仕事以外でがんばっているエピソードをひとつ紹介します。

ある日、会社にヒロくん宛の荷物が届きました。それも、次から次に全国各地からいろんな荷物が届きます。合計6箱届きました。ヒロくんに渡して、『何が届いたの?』と聞くと、ネットでポチポチやって自分の趣味の買い物をしたそうです。『何買ったかちょっと見せてよ。』と、お願いして中身を見せてもらうと、アニメのフィギアやゲームソフトなどが盛りだくさん。『これ全部でいくらしたの?』と訊ねると、なんと合計5万円以上でした。

ん~と悩んでお母さんに電話しました。
『ヒロくんがこれこれこういう買い物をしました。彼の働いて得たお金なので、基本的には彼の自由に使ってもいいと思うんですが、お金の使い方について僕らが口出ししていいものですか?』
するとお母さんは
『私たちではなかなか言いにくいところもあります。ぜひよろしくお願いします。』
との返答でした。

次の日、仕事終わりにヒロくんとお金の使い方について話をしました。

案浦『今日はお金の使い方について勉強しよう。基本的にはヒロくんのお金だから自分の好きに使っていいと思うよ。その上で今回の買い物で喜んだのは誰だろう?』

ヒロ『僕ですかね。』

案浦『そうだね、自分の好きなもの買えるようになるってうれしいことだもんね。ヒロくんの楽しみの幅が増えることは僕もうれしいことだと思う。
ところでヒロくんが今まで一番お世話になった人って誰だろう?』

ヒロ『それはやっぱりお母さんでしょうか。』

案浦『そうだね。それじゃあヒロくんのお給料でお母さんを旅行に連れて行ってあげるとしたら、お母さんはどうだろう、喜ぶかな?』

ヒロ『とても喜ぶと思います。』

案浦『きっと泣いて喜ぶかもね。このとき喜ぶのは誰だろう?』

ヒロ『僕とお母さんと2人ですね。』

案浦『そうだね。同じ5万円でも使い方によって1人だけが喜ぶ使い方と、2人も3人も喜ばせる使い方とあるね。どうせならたくさんの人に喜んでもらう使い方のほうがお金の使い方ってよくない?』

そんな話をしました。

ヒロくんの目標

ヒロくんも納得して、今、自由に使えるお金の一部を『お母さんを旅行に連れて行く計画』として貯金をすることを決めました。
月に2万円ずつです。一年で24万円!結構贅沢な親子2人旅ができると思います。1週間ぐらい海外で楽しむこともできると思います。お母さんにもお話して、旅行の計画を立てといてください、とお伝えしました。

ヒロくんの人生は、今まで人から『してもらう』方が圧倒的に多かったと思います。ヒロくんの障がいでは当然のことです。来た当初、ヒロくんは『ありがとうございます。』がすぐに出てきませんでした。『してもらう』ことが当たり前だった人生だから、これも仕方のないことです。しかし今では、周りから助けてもらうことがあると、ちゃんとお礼を言ったり、今度はその人の手助けが出来るようにもなりました。とても大きな成長だと思います。

自分のできることを増やし、今度は誰かに『してあげる』ことが増えると、彼の人生はもっともっと豊かなものになります。プライベートにまで口を出すこんなお節介は、障害福祉事業所としては少しやり過ぎなのかもしれませんが、僕はひとりの友人として、彼の人生に関わったひとりの人間として、ヒロくんの人生が少しでも豊かなものになればと願っています。

最近、ヒロくんに大きな目標ができました。
それは将来、地元の高知県に帰ってクロフネファーム高知店を作り、その店長になることです。自分と同じように仕事に困っている障がい者の方がまだまだたくさんいる。ここでの経験を活かして、今度は自分がその方たちの働く場所を作りたい。そんな思いを胸に、今日もヒロくんはホールの中を走り回っています。
これまで『してもらう』ことが当たり前だったヒロくんは、これからは『してあげる』ことを探して動いています。彼の人生がもっともっと多くの人からの感謝であふれるものになるように、これからも一緒に歩んでいこうと思います。

“This is my WAY!”

これがヒロくんの歩む道です。

ABOUTこの記事をかいた人

案浦 豊土(株式会社クロフネファーム 代表取締役)

1978年5月9日生まれ。福岡県糟屋郡粕屋町出身。同志社大学経済学部卒業。1998年度生。

▼現在:
野菜を中心としたビュッフェレストラン『クロフネファーム(就労支援A型施設)』を経営。接客業での障がい者の方が働く場所を作り、仕事の楽しさを共に分かち合っている。『地元の食』と『障がい者就労』という演題で講演活動も行っており、障がい者就労に対する意識や見解を広く伝えている。将来の目標は、『47都道府県クロフネファーム化』であり、一人でも多くの障がい者の方が働ける場所を広げることに努めている。

▼これまでの道のり:
大学卒業後、憧れていたウエディング業界へ就職する。海外ウエディングの会社やイベント会社を渡り歩きながらたくさんの経験を積む。2005年、東京から転職で三重の地へ。
有限会社クロフネカンパニーに入社し、ウエディングの勉強をする傍ら、講演会で全国を飛び回る同社代表中村文昭のマネージャーを務める。彼の思いや考えたことを具現化することが仕事となる。
あるとき、中村が出張先の仙台で、障がい福祉事業所としての野菜ビュッフェレストラン『六丁目農園』に出会う。『この料理を障がい者さんたちが作っているのか!』と、その料理のクオリティの高さと美味しさに感動し、このモデルを伊勢でもやろうと提案がある。その運営責任者を任せられる。当時は飲食の経験がわずかにあっただけで、障がい福祉に関しては知識や経験は一切なく、全くのド素人。文字通り1からのスタートとなった。
2016年12月12日、クロフネファーム~伊勢からやさしい風が吹きますように~がオープン。連日たくさんのお客様にご来店いただいている。オープン当初は3名だった障がい者スタッフも、現在では25名まで増え、みんなで一緒にお客様に喜んでいただくための新メニューの考案や、様々なイベントを企画している。ひとりひとりの個性・能力と向き合いながら、可能性を信じて日々新しいことに挑戦している。
2019年8月、オンラインサロン『47都道府県クロフネファーム化計画!!』を開設。全国各地のメンバーと共に、新しい形の障がい福祉事業を47都道府県すべての地区に開設する目標を掲げている。