職場定着の秘訣は、プライベートの充実度

今回のテーマは「職場定着」。

個人的にも気になるテーマであり、所属する就労移行支援事業所においてもスタッフ間で話題になることが多い内容です。

個人的に思う結論は、「プライベートの充実」
障がいのある人の取り巻く状況を振り返りながら、4つのポイントで考えていきたいと思います。

背景として

障がいのあるご本人の立場で考えると、特に就職活動中は「ゴールが就職」となってしまいがちになります。「就職したらこんな仕事がしたい」「就職したら○○を買いたい」というよりは、「早く就職したい」と願う人は多く、働いていないという現状から「早く抜け出したい気持ち」が強い人は少なくないように思います。

私たちの就労移行支援事業所においても、就職した人の話からは「就職後は自宅と職場の往復ばかり」となっている人が多く、いわゆるアフターファイブのような余暇はあまり充実されていないようです。

就職した当初は、仕事に慣れるのに時間がかかり、家に帰ったらぐったりしてしまう人も多く、1年、3年、5年と働く期間が長くなる中で「仕事以外の時間をどう過ごすか」は、仕事中のパフォーマンスにも影響しているように思います。

「仕事」に対する価値観は人それぞれですが、就労支援の現場感覚として思うことは、生活するために仕事をしている障がいのある人は多く、もちろん仕事が楽しくて「仕事のために頑張ってます」という人もおられる一方で、「仕事のための生活」よりも「生活のための仕事」と捉えている人のほうが多数派だと感じます。

また、就職は障がいのある人にとっては「社会参加」という側面もあり、学校を卒業後に新しく通う場を持つことは「社会に出て仕事に参加する」といった社会の一翼を担うという大きな意味もあります。

ただ、社会人として職場と繋がって役割期待に応えることは生活の質をより良くするように感じるものの、就職した障がいのある人と話していると「孤独」を感じている人は少なくないのも事実です。職場以外で人とのつながりが少なかったり、職場と自宅の往復になってしまい、休日に孤独を感じてしまうようです。

これは、あくまで仮設ではありますが、プライベートと職場定着に何らかの関係性があるのなら、障がい者雇用を担当する方には「プライベートの充実度」を探ってもらうのも大切
職場定着がうまくいく秘訣のひとつだと思います。

前置きが長くなりました。
以下、4つのポイントでもう少し具体的に書いていきます。

1、平日の過ごし方


平日の過ごし方と言えば、仕事終わりの習い事、買い物や食事、ジムで汗を流すなど、アフターファイブの楽しみ方はいろいろ。
どこかへ立ち寄ってから帰宅する人もいれば、真っ直ぐ家に帰り、自宅で自分の時間を大切にする人もおられると思います。

月曜日は、週の始まりということもあって、疲れやストレスの蓄積はまだまだ少ないのかもしれません。ただ、火曜日、水曜日と過ぎてく中で、疲れやストレスが溜まり、ちりと積もれば山となるといったこともあるように思います。
週の後半は疲れの蓄積が限界にきて、仕事の進み具合がよくないこともあるのではないでしょうか。

平日に少しでも楽しみがあり、日頃から自分の時間を確保できていることは、疲れの蓄積を和らげてくれます。仕事が終わった後はどのように過ごしているか、楽しめているか、自分の時間を持てているかなど、平日の過ごし方について聞いてみることをお勧めします。

2、休日の過ごし方


できるなら、休日は思う存分に自分の時間を持てると良いかと思います。
個人や家庭の事情は様々かと思いますが、趣味や好きなことに時間を使い、楽しい時間を多く持つことで平日の疲れを癒してくれます。

ただ、趣味や余暇がなかったり人との交流が多くない場合は、休日の過ごし方がなかなか充実しないのかもしれません。

休日をどのように過ごしているか、楽しめているか、支援機関が開催するOB会や当事者会のようなものに参加しているかなど、休日の過ごし方を探ってみてはいかがでしょうか。

3、人とのつながり

職場と自宅の往復のみとなる理由のひとつに、人とのつながりが少ないという背景があります。
知人や友人が少ないということもあれば、サードプレイスのような場所が少ないこともあると思います。また、コロナ禍で出かけることも少なくなり、余計に人とのつながりがなくなっていることもありそうです。

できればリアルで人とのつながりを感じれるとよいですが、SNSなどネット上でつながりを持つことも良いかと思います。

職場、家族、支援機関、医療機関など以外に、人とのつながりが持てているかとか、身近に相談できる人がいるかなど、日々の話の中で探ってみることをお勧めしたいと思います。

4、本人の満足度


上記の1.2.3に書いたことは、あくまで私の個人的な意見です。
人とのつながりの多い少ないは別にして、平日・休日ともに一人で楽しめている人もきっとたくさんおられると思います。

プライベートの充実度は、あくまで本人の「満足度」の中で成り立つものですので、今のプライベートの状況を本人がどう感じているかは聞いておいたほうが良いかと思います。

その際、満足度が低いのなら、1.2.3にあるようなことを聞いてみてください。
平日・休日の過ごし方を充実させたいとか、人とのつながりをより良くしたいと思っているのなら、話を聞く中で支援機関の人やご家族と相談していくことを本人に提案しても良いように思います。

4つのポイントは、以上になります。

当たり前の話ですが、職場は仕事をする場所ですから、プライベートのことを話題にすることはあまり適切ではありません。障がいのある社員のプライベートがどれくらい充実しているかは、職場にとってはそんなに関係ないことなようにも思います。

ただ、前述の仮設が正しければ、プライベートの充実によって仕事も少しは頑張ってくれることもあるかもしれません。

ですし、人生というか毎日の生活が楽しめていることで、仕事もプライベートも好循環することは多いように思います。日々の生活の充実が、仕事の充実につながることもきっとあるでしょうから…。

時々は、休憩のときや雑談するときなど、仕事以外について話題にすることをお勧めしたいです。

ABOUTこの記事をかいた人

▼プロフィール:
京都生まれ京都育ち。児童福祉の専門学校を卒業後、長野市にある社会福祉法人森と木で障害のある人の就労支援(企業就労の支援、飲食店での支援と運営管理等)に限らず、生活面(グループホーム、ガイドヘルプ等)の支援、学齢期のお子さんの支援などに従事。2013年に帰阪し、自閉症・発達障害の方を対象に企業就労に向けたトレーニングをする2つの事業所ジョブジョイントおおさか(就労移行支援事業・自立訓練事業を大阪市と高槻市で実施運営)にて勤務。2014年より所長(現職)。また、発達障害のある大学生に向けた就活支援プログラム(働くチカラPROJECT)の運営にも力を入れており、2016年より大阪にある大学2校のコンサルタントも務めている。

▼主な資格:
社会福祉士、保育士、訪問型職場適応援助者(ジョブコーチ)

▼主な略歴:
長野市地域自立支援協議会 就労支援部会 部会長(2011〜2013)淀川区地域自立支援協議会 就労支援部会 副部会長(2015〜)高槻市地域自立支援協議会 進路・就労ワーキング 委員(2016〜)日本職業リハビリテーション学会 近畿ブロック代表理事(2017〜)NPO法人ジョブコーチネットワーク、NPO法人自閉症eサービスが主催する研修・セミナー等での講師・トレーナー・コンサルタント等(2013〜)