障がい者雇用が失敗となる共通点を考えてみた

これは、あくまで私の就労支援者としての経験から感じることを書いたものです。
根拠はあまりなく、あくまで経験則なので、読者の方にとってどれくらい参考になるかと言われたら、ちょっと微妙かもしれないです。

ただ、20年近く福祉の仕事をしてきて、障がいのある人の側で関わらせてもらい、以下にまとめたことはなんとなく共通点として感じることでもあります。

3つの共通点。軽い感じで読み進めてもらえたら幸いです。

1.担当者に任せっきり


これは、一番よくある話な気がしています。
「障がい者雇用の担当者」と職場内に位置付けて、指導者でもあり、先輩(もしくは上司)でもあり、メンターのような立場も含んだ担当者制は、障がいのある社員にとってはキーパーソンとなって相談しやすいことはあるものの、担当者が一人だけの社内体制であればその人に何でも任せっきりになってしまい、担当者の負担が大きくなることは容易に想像できます。

障がい者雇用が特別な雇用ということではないですが、障がい特性に応じた配慮や工夫、環境はとても大切です。そこに、職場の理解は不可欠で、担当者一人が対応できることには限界があると思います。
メインの担当者が一人であったとしても、サブとしての担当者を配置したり、担当者をフォローする上司がいてこそ、障がい者雇用担当者はちゃんと成り立つものと思います。

2.本人との定期面談がない(少ない)

これは、支援者という立場で感じることが多いことですが、障がい者雇用がうまく進まず、本人の不適応や職場の不満感が増す理由の一つに、「本人との関係性」が要因としてあるよう思います。
関係性というのは、簡単に表現すると「本人と職場(もしくは担当者)の信頼関係」のことで、関係性の不成立が様々なことを大きくさせ、不適応や無理解を助長させているように思います。

では、どうしたら関係性を良くできるかというと、シンプルに「定期的な面談を続けること」にあると思います。
月一回程度の面談を続け、本人の言い分も聞き、お互いの立場を少しずつ理解していくことで関係性は築けるはずです。詳しくは、以前のコラムにも書かせてもらいましたので、ご覧いただけたらと思います。

部下との定期面談が人材育成の秘訣

2018.01.24

コラムにもあるように、「ご本人は、話をたくさん聞いてもらうことで職場に対して安心感や信頼感を感じることができるようになる」と思います。それがベースにあるからこそ、職場定着と戦力化が成り立つんだと思います。

3.職場の要求水準や期待値が高い


私も管理職ではあるので、同じように思うことはよくあります。
チーム内スタッフの働きぶりを見て、「もう少しこうしてほしい」「どうしてここまでできないのか」など、自分の経験や価値観で評価してしまいがちです。
障がい者雇用においても、職場の要求水準や期待値はどうしても高くなりがちで、「何度もやったことある業務だからこれくらいはできるだろう」「働いて数年経つなら、これくらいはできて当たり前」と思う職場の気持ちはある意味自然なことなようにも感じます。

ただ、これは要求水準や期待値が本人の能力や障がい特性に適していればの話でもあります。
業務上での経験や勤続年数による成長で本人のできることが増え、業務範囲が広がることはあると思いますが、障がいのある人は他の人より成長がゆっくりなこともあるので、こちらの想定よりできないことは起こりうるものです。

「思ったたよりもできていない」「成長が感じられない」「期待通りに動いてくれない」などは、もしかすると「本人の今」をきちんと評価できておらず、本人に求めすぎたために起こった現象なのかもしれません。たまには評価の視点を改め直し、振り返ってみることも大事なように思います。

3つの共通点は以上です。
失敗の共通点から感じることは、担当者に任せっきりにせず、チームで障がい者雇用に取り組むことが理想のように思います。

それに、理想に近づけるためにまずは担当者と上司の二人体制で本人と定期面談して信頼関係を作り、そこから徐々に関わる人を増やしていくなど、関係者を増やしながら理解の輪を広げることがうまくいく秘訣なように思います。

ABOUTこの記事をかいた人

[ 社会福祉士・保育士・訪問型職場適応援助者(ジョブコーチ) ]

障害福祉・就労支援の現場に20年以上携わり、障害のある方の就職活動から職場実習、就職後の定着支援まで幅広く実践している。

2013年より社会福祉法人北摂杉の子会「ジョブジョイントおおさか」に勤務し、2014年より所長。現在は法人の就労支援部門のマネジメントにも携わる。就労支援の実践とあわせて、企業の障害者雇用支援にも力を入れている。企業への訪問や相談を通じて、障害者雇用の体制づくり、業務の切り出し、採用、職場実習、合理的配慮、職場定着などを企業担当者と一緒に考えながら支援している。

また、就労支援・障害者雇用・発達障害支援・就労アセスメント等をテーマに、研修講師、執筆、研究活動などにも取り組む。日本職業リハビリテーション学会、NPO法人ジョブコーチ・ネットワーク、全国就労移行支援事業所連絡協議会等でも活動。

個人では、「就労支援をもっと面白く。働くことを社会の力に。」をテーマにnoteで情報発信を続けている。就労支援者向けの記事に加え、障害者雇用に取り組む企業の人事・総務担当者や現場管理職に向けて、業務の切り出し、採用、合理的配慮、職場定着、人材育成など、現場で実践できる内容を発信している。
note|Satoshi Hoshiaki/障害福祉×未来志向
https://note.com/s_hoshiaki

研修・講師、事例検討、企業向け研修などのご相談も受け付けている。


WebSite:https://note.com/s_hoshiaki