部下との定期面談が人材育成の秘訣

去年、ヤフー人事部トップの本間さんが書かれた書籍「ヤフーの1on1」が発売されました。「部下を成長させるコミュニケーションの技法」に興味を持ち、私も早速購入して熟読しましたが、参考になることがとても多く、最近読んだ本で一番気に入っています。

今回は、書籍の紹介…ではなく、「1on1ミーティング」、つまりは上司と部下の定期面談についてです。

1on1ミーティング

ヤフーは週1回、30分の「部下のための時間」が人を育て、組織の力を強くすると考えているようです。これは私も同感で、「定期面談が人材育成の秘訣」であると考え、部下(特に正社員)と月に2回程度の定期面談を行っています(面談時間を確保するのがなかなか大変ですが…)。

私の経験談も交えながら「障害者雇用の現場で活用できる定期面談」について考えてみたいと思います。

私は正社員の部下8名と定期的に面談を実施しています。面談と言っても、業務の進捗を確認する、業務内容を指示する、助言するなどの指示的アプローチの面談スタイルではなく、ねらいは、「部下の話をたくさん聞く」ということです。これを自分自身に言い聞かせ、少しでも聞き上手になれるようがんばって面談をしています(と言っても、ついつい話しすぎてしまいますが…苦笑)。

面談をしていていつも感じますが、上司と部下の目線は同じではないということです。

例えば、部下ととある業務の話をしていても、業務内容に対する理解の仕方や進め方に捉え違い(ズレ)があり、業務を進める中で感じる疑問点や相談のポイントにも違いがあると感じます。また、部下一人ひとりによっても目線に違いがあり、部下は部下なりの考えや事情があることを感じさせられます。

そのため、頭ごなしの指導やトップダウンだけでは部下なりの事情にうまくフィットせず、結果的に上司の思い通りに部下が動いてくれなかったり、指示内容を再度伝え直す必要性が出るなど、結果的に余計な労力がかかっているように思います。

できれば部下には自分で考えて行動したり問題解決したりと、能動的に業務を進めてほしいものです。ただ、そこにたどり着くには部下をしっかりと育てる必要があり、それには部下なりの事情も聞いていく中で一人ひとりの部下にフィットした指導・育成方法を考えていったほうが結果として効果的であり、お互いにとってストレスも少なく済むかと思います。

さて、話が長くなってしまいましたが、ここからは本題である障害者雇用の現場で活用できる定期面談についてです。

障害者雇用の現場で活用できる定期面談とは

まず、結論から言うと、上司と部下で行う定期面談は、障害者雇用の現場においても効果的であるということです。ただ、いくつかのポイントを押さえて実施したほうがより効果的であると思います。

Point1「アクティブリスニングを意識する」

定期面談では、できるだけ部下の話をたくさん聞くことが大切です。傾聴ではなく多面的に質問をし、深掘りするようにアクティブにリスニングしていくことで本音を引き出すことを意識します。理想は、いろいろな質問を繰り返していく中で部下が自分なりにできそうな「次のアクション」を自ら導き出すことですが、なかなか難しいのも現実です。まずは、部下のことをよく知ることを意識し、聞き上手を目指せるとよいと思います。

Point2「障害特性に配慮して面談する」

感覚面の敏感さがある場合は面談室の環境(音や明るさ、におい等)を気にかける、ゆっくり・簡潔に話したり声量を気にかける、1対1の面談が苦手な場合は複数(上司2:部下1など)で面談する、または就労支援機関に同席してもらうなど、面談をよりスムーズに進めるためには障害特性を気にかけておくことも大切です。

ただ、適切な配慮事項は考えてもキリがないため、部下本人に聞いたり、就労支援機関に助言を求めるなかで話しやすい雰囲気づくりが意識できるとよいと思います。

Point3「面談場面で視覚的なツール(資料)を活用する」

面談では、部下が業務上で経験したことが話題の中心になると思います。その際、部下は「記憶」をもとに発言するかと思いますが、できれば記憶ではなく「記録」のほうが情報は正確です。そのため、部下に書いてもらう「業務日報」や「週報」、月単位や四半期・年単位などで記載するような「自己評価シート」や「目標管理シート」などを見ながら面談するほうが効果的です。部下には面談前にそれらの資料を見直したり、経験したことを振り返っておいてもらうことで面談での話題もよりスムーズになると思います。

冒頭の書籍でも述べられていましたが、定期面談は「部下のための時間」、「人材育成を進めるヒントを見出す時間」と考え、「部下の成長のための面談」として実施することが大切です。

人材育成はそう簡単にはうまくいかないですが、部下は自分の話をたくさん聞いてもらうことで「安心感」や「信頼感」を感じることができます。そのことで上司との関係性が少しずつ良くなり、上司依存ではなく自律的に行動する力が育まれていくと思います。

まずは、「時間」を大切に使い、部下のことをよく知るためにコミュニケーションをとっていけるとよいのではないでしょうか。

ABOUTこの記事をかいた人

星明 聡志 (社会福祉法人北摂杉の子会ジョブジョイントおおさか 所長)

▼プロフィール: 京都生まれ京都育ち。児童福祉の専門学校を卒業後、長野市にある社会福祉法人森と木で障害のある人の就労支援(企業就労の支援、飲食店での支援と運営管理等)に限らず、生活面(グループホーム、ガイドヘルプ等)の支援、学齢期のお子さんの支援などに従事。2013年に帰阪し、自閉症・発達障害の方を対象に企業就労に向けたトレーニングをする2つの事業所ジョブジョイントおおさか(就労移行支援事業・自立訓練事業を大阪市と高槻市で実施運営)にて勤務。2014年より所長(現職)。また、発達障害のある大学生に向けた就活支援プログラム(働くチカラPROJECT)の運営にも力を入れており、2016年より大阪にある大学2校のコンサルタントも務めている。 ▼主な資格: 社会福祉士、保育士、訪問型職場適応援助者(ジョブコーチ) ▼主な略歴: 長野市地域自立支援協議会 就労支援部会 部会長(2011〜2013)淀川区地域自立支援協議会 就労支援部会 副部会長(2015〜)高槻市地域自立支援協議会 進路・就労ワーキング 委員(2016〜)日本職業リハビリテーション学会 近畿ブロック代表理事(2017〜)NPO法人ジョブコーチネットワーク、NPO法人自閉症eサービスが主催する研修・セミナー等での講師・トレーナー・コンサルタント等(2013〜)