取材レポート:『ウィックカレッジ』

今回ミルマガジンの取材しましたのは、京都市中京区寺町通に2022年4月オープン予定の『4年生学校 ウィックカレッジ』になります。
詳しく話しをお聞かせいただいたのは、同校の運営元であるマコム・プラニング株式会社 代表取締役社長 鍵谷篤氏になります。

『ウィックカレッジ』事業を始めるきっかけを教えてください

《話・鍵谷氏》

当社の本業は広告や企画を行う会社になります。障がい者福祉の世界に関わるようになったのは自宅の堺市で18歳未満の障がいのある子どもたちを対象にした放課後等デイサービス「このこのアート堺」を開所したことでした。
当時、広告制作会社の知り合いから障がい者福祉事業を始めないかと勧められたものの、私自身が福祉の知識がなかったのですが、色々と調査してみると我々が障がい者福祉に参入することで、他の事業所と差別化した独自サービスの提供が出来ると考え、スタートさせることになりました。

放課後等デイサービスは高等学校を卒業する時期である18歳までしかサービスを受けることができません。この事業を進めていく中で、感じる現在の制度に対する疑問や放課後等デイサービス以降の支援についても、我々ができる支援のかたちを考えた結果生まれた企画が、「4年生の大学形式の福祉事業所『ウィックカレッジ』」になります。

一般的には高等学校を卒業した後の進路は「大学」「専門学校」などの進学や就職といった選択肢があるのですが、障がい者の場合はその選択肢が非常に限定的なものとなります。障がい者だからこそ就職も含めた進路を選択する前段階となる期間を健常者よりも長く取りたいにも関わらず18歳を迎えるまでには進む道を選ばないといけない社会を変えたいという思いがありました。
大学に進学すれば、学生生活や恋愛といったことを楽しむこともできます。我々が運営する放課後等デイサービス「このこのアート」「とろんこアカデミー」を利用する障がいのあるお子さんの保護者からももう少し学ぶ期間、進路を考える期間が欲しいといった声をいただいています。

「4年生の大学形式の福祉事業所『ウィックカレッジ』」について

『ウィックカレッジ』は障がい者福祉サービスの生活訓練と就労移行支援を組み合わせた多機能型の支援施設になります。
2022年4月京都市中京区寺町通に開校します。開校に先駆けてリモート説明会を1月30日に実施しましたが、参加者が多数あったことからも関心が高い分野であると改めて感じました。

我々の『ウィックカレッジ』では、障がい者支援で挙げられる課題のひとつである「途切れない支援」を提供することができます。運営している放課後等デイサービス「このこのアート」「とろんこアカデミー」でも、これまでは子どもたちが18歳を迎えると施設から送り出すばかりだったのですが、卒業してからは『ウィックカレッジ』で引き続き支援として関わることができるようになりますので、本人も親御さんも安心して通所していただくことができます。

当事業所では、1年生として入学した20名が2年生課程を修了するまでの2年間を生活訓練期間としています。その後就労移行支援期間となる3年生になった時期に次の新入生となる自立訓練利用者20名を迎え入れるスタイルとなっています。
『ウィックカレッジ』には放課後等デイサービスで勤務している経験豊富な専門スタッフを配置し、一般の大学生がキャンパスライフを謳歌するような環境を目指しています。
コロナ禍であるため、オンラインでも充実したサービスの提供ができるよう準備を整えていますが、なるべくなら学生たちが顔を会わせられるようにしています。一方でひきこもりの学生も参加ができるように考えて選択制にする事も検討しています。


これから目指す未来について

繰り返しになりますが、放課後等デイサービスで提供できるサービスは子どもが18歳になるまでです。特別支援学校に通う学生たちは高校2年生になると進路を考る時期になりますが、就職できる生徒たちはごく少数で、ほとんどが就労継続支援B型事業所や生活介護を受けることになります。
一方で障がい者雇用に熱心に取り組む企業は、必要と感じる人材をどんどん採用しています。我々支援者は支援を通して障がい者の可能性を見出し、さまざまな機会を与えてあげることが役割だと感じています。

障がいがあってもはたらく能力があり自立を目指したいのであれば、それを支援したいと思っています。そうすることで、障がい者も納税者になれます。就労支援を通して個人の輝いているところを強みとさせて次につないでいくことが大切なことであり、送り出す側の責任です。
今後も企業の障がい者雇用は進んでいくと感じます。今は法定雇用率の達成を目指すための雇用が多いと思いますが、近い将来には雇用の質を求める企業も増えてきます。そういった企業が雇用したいと思える個性を主張した人材をこの『ウィックカレッジ』からたくさん送り出していきたいと思っています。

今回の取材では代表の鍵谷氏が障がい者福祉サービス事業から感じた課題や将来性についてお話しを聞かせていただきました。今後も、『ウィックカレッジ』にような障がい者の視点に立った新たなサービスが出てくるのではないでしょうか。
ご協力ありがとうございました。

『ウィックカレッジ』(自立訓練•就労移行支援 多機能型)
URL :作成中
所在地:京都市中京区寺町通三条上ル天性寺前町530番地2階

「マコム・プラニング株式会社」
URL:https://toronco-academy.com/company/
所在地:大阪市北区東天満2-9-2 AXIS南森町ビル別館5階

ABOUTこの記事をかいた人

[障害者雇用コンサルタント]
雇用義務のある企業向けに障害者雇用サポートを提供し、障害者の雇用定着に必要な環境整備・人事向け採用コーディネート・助成金相談、また障害者人材を活かした事業に関するアドバイスを実施。障害者雇用メリットの最大化を提案。その他、船井総研とコラボした勉強会・見学会の開催や助成金講座の講師やコラム執筆など、障害者雇用の普及に精力的に取り組んでいる。

▼アドバイス実施先(一部抜粋)
・opzt株式会社・川崎重工業株式会社・株式会社神戸製鋼所・沢井製薬株式会社・株式会社セイデン・日本開発株式会社・日本電産株式会社・株式会社ティーエルエス・パナソニック株式会社・大阪富士工業株式会社・株式会社船井総合研究所・株式会社リビングプラットフォーム