取材レポート:群馬県産業経済部労働政策課就労支援係『障害者テレワーク支援事業』

障がい者雇用を推進している行政機関は厚生労働省だけではありません。地方自治体でも独自に企業の障がい者雇用を推し進める事業を行っています。
群馬県では障がい者のテレワーク雇用を促進するために、障がい者テレワーク支援事業をスタートさせました。
今回ミルマガジンでは、令和3年度にこの事業にエントリーした2社と群馬県の担当者に実施しました取材につきまして3回に分けてご紹介します。

【参考】障がい者テレワーク導入事例紹介|労働政策課|群馬県
https://www.youtube.com/watch?v=yfr5DIEF_F4


最後にご紹介するのは今回のモデル事業を実施した群馬県産業経済部労働政策課就労支援係になります。
群馬県は令和3年度から県内企業を対象にした障がい者のテレワーク導入モデル事業を実施した全国でも事例が少ない自治体となります。
今回は同係の係長 大嶋光子氏と主事 梅堀広基氏から取り組みについてのお話をお聞きしました。

群馬県の障がい者雇用状況

《話・大嶋氏、梅堀氏》

最新の群馬県の障がい者雇用状況としましては、令和3年6月1日時点の群馬労働局の調査によると、実雇用率につきましては全国平均よりも少し低い2.19%。一方、法定雇用率達成割合につきましては全国平均を上回る55.1%となり、しばらく50%を超える状況が継続できています。

「障がい者のテレワーク導入雇用モデル事業」を実施したきっかけ

平成30年度に入り「障がい者雇用促進プロジェクトチーム」の構成員から精神障がい者の雇用促進のひとつとしてテレワークによる雇用を企業で導入できないかとの声が挙がったことで本格的な検討に進むことになりました。

令和元年からテレワークによる障がい者雇用を議題にし、議論も経て、令和2年度から労働政策課の事業として企業を対象にしたテレワーク障がい者雇用促進セミナーを実施。他にも障がい者就労支援機関向けセミナー、求職活動を行なっている障がい者には企業説明会をzoomによるオンラインで実施しました。

翌令和3年度になりまして、今回の事業である「障がい者のテレワーク導入モデル事業」を開始し、数社のエントリーの中から株式会社クリハラと株式会社物流サービスの2社が採択されました。
モデル事業を開始する時期はコロナによる社会的な影響が大きいタイミングでもありましたが、テレワークによる障がい者雇用導入の後押しになった印象もあります。
昨年度に続き今年度も2社の公募が終わり、オンラインの会社説明会を実施したところです。



テレワークによる障がい者雇用を実践してみて

最初は「テレワーク」と「障がい者雇用」の両方を同時に実施することに難しい印象を持っていました。昨年度の2社(株式会社クリハラと株式会社物流サービス)は中小企業でもあり、また業種(製造業・物流業)から考えても導入はかなりハードルが高いと思っていました。
しかし、実際に事業がスタートすると両社のチャレンジする意欲が高く、また事業のアドバイザーでもある株式会社テレワークマネジメントのサポートにより、事業が進むにつれて「障がい者のテレワーク雇用の導入の実現」を実感することができました。(※今年度よりモデル事業のアドバイザー企業が株式会社asokkaに変更)

実際、導入された2社の進捗を見て通常業務と並行しての新たな取り組みは大変だが、障がい者雇用導入の他にも、業務改善につながる取り組みだということを感じました。
一方で、県内の企業数からすると障がい者のテレワーク雇用の関心度は低いと思っています。おそらく「テレワーク」と「障がい者雇用」の両方に難しさを感じている企業が多いのでしょう。しかし、昨年の実績を知っていただいた企業の中には、「中長期的な取り組みであれば検討できそうだ」と言った声を耳にしています。

今後の目標として、雇用率を全国平均以上の数字にしたいと思っています。テレワークによる障がい者雇用の導入を雇用事例のひとつとして推進したいです。



3回に渡ってご紹介しました群馬県でのテレワークによる障がい者雇用のモデル事業を取材して、変化を受け入れることで得られる効果は高いということを改めて感じました。

群馬県は県内の企業に向けて「障がい者の雇用をテレワークで実践」という変化を求めました。
昨年度エントリーした2社はテレワークによる障がい者雇用を導入することで「従来の当たり前を見直す」変化を受け入れた結果、新たな障がい者雇用の形を生み出すことができました。

この経験は両社にしっかりと浸透し、今後も継続した取り組み発展していくと強く感じました。
ご協力ありがとうございました。

【群馬県産業経済部労働政策課就労支援係】
群馬県前橋市大手町1-1-1
https://www.pref.gunma.jp/07/g2200092.html

【群馬県 「県内企業で障がい者テレワークを実施している企業を紹介します!」】
https://www.pref.gunma.jp/06/g22g_00256.html

【株式会社asokka】
千葉県柏市新柏3-1-4 ルミエールII
https://asokka.co.jp/

ABOUTこの記事をかいた人

[障害者雇用コンサルタント]
雇用義務のある企業向けに障害者雇用サポートを提供し、障害者の雇用定着に必要な環境整備・人事向け採用コーディネート・助成金相談、また障害者人材を活かした事業に関するアドバイスを実施。障害者雇用メリットの最大化を提案。その他、船井総研とコラボした勉強会・見学会の開催や助成金講座の講師やコラム執筆など、障害者雇用の普及に精力的に取り組んでいる。

▼アドバイス実施先(一部抜粋)
・opzt株式会社・川崎重工業株式会社・株式会社神戸製鋼所・沢井製薬株式会社・株式会社セイデン・日本開発株式会社・日本電産株式会社・株式会社ティーエルエス・パナソニック株式会社・大阪富士工業株式会社・株式会社船井総合研究所・株式会社リビングプラットフォーム