取材レポート:特例子会社『MCSハートフル株式会社』

今回ミルマガジンでは、認知症高齢者グループホーム事業を中心に介護事業を運営するメディカル・ケア・サービス株式会社の特例子会社である『MCSハートフル株式会社』を取材してきました。
親会社であるメディカル・ケア・サービス株式会社は、教育事業でご存知の方も多いと思いますが、『学研』でおなじみの株式会社学研ホールディングスのグループ会社であります。

特例子会社とは
障がい者の雇用に特別な配慮をし、障害者の雇用の促進等に関する法律第44条の規定により、一定の要件を満たしたうえで厚生労働大臣の認可を受けて、障がい者雇用率の算定において親会社の一事業所とみなされる子会社です。
※MCSハートフル 企業紹介パンフレットより

今回の取材は、『MCSハートフル株式会社』の窓口担当である総務グループにお話を聞かせていただきました。

企業の紹介

設立は2010年10月1日で、今年でちょうど10歳になりました。(取材当日は設立記念である10月1日)
当社は特例子会社としての認定を受けておりますので、当然のことですが企業の義務である法定雇用率を達成させることが大きな目的であります。また、親会社との関係性も重要な点となる一方で、「企業としての自立」も目指しております。

特例子会社の多くは、親会社が持つ業務の一部を切り出し事業として請け負ったり、グループ会社から仕事を受注したりして売り上げを形成しています。当社も同じような仕事の切り出しをしているのですが、その部分に頼りすぎてしまっては本当の意味での自立とはいえません。当社の「企業としての自立」とは、親会社との内部取引を減らし外部取引を増やしていくこと(経済的自立)を実現しています。






業務内容、独自の特徴

当社の業務は多種多様で、大きく6つの仕事に分けられています。

①事務系業務

PCセットアップ、ヘルプデスク、データ入力、電子(PDF)化、FAX一斉送信、発送業務他

②印刷業務

名刺、IDカード、封筒、伝票、チラシ、記念誌等

③広告宣伝

ホームページ作成

④各種販売

あんしん保険、ICT治具、オーラルピース、家電

⑤清掃業務

介護施設:室内、トイレ、窓、床、手すり、除草等
アパート・マンション:共有部清掃
特別:エアコン本体、フィルター、床ワックス、まごころ洗車隊、社宅等の退去室
清掃

⑥伝票整理

MCS人事労務部関係:財務部関係書類

これは、先ほどもお話しました様に「企業としての自立」を実現させるため、当社でできる仕事は意欲的に取り入れ、事業化させてきました。これだけ多くの仕事がありますので、様々な特性の障がい者であっても十分に戦力として活躍することができます。

また、当社では障がいのある従業員が健康な状態で仕事に就けるために、社内に定着支援グループを設置しています。産業医や精神科医などの医療機関との連携はもちろん、常駐している精神保健福祉士による健康管理やストレスチェックなどの定着業務を実施しています。

具体的には、

  • モニタリング面談

(自己管理用モニタリングシートの振返り面談、体調の変化・生活習慣・対人関係等の項目)

  • 日常観察・声掛け
  • グループワーク

(1クール12回実施、当事者社員の相互交流・コミュニケーションスキル向上・他者を通じた自己理解促進)

  • 上長・支援員への助言
  • ストレスチェック

(当事者社員の体調、配慮事項の共有・業務割り振り、指示の出し方の統一)

  • SPiS(エスピス・就労定着支援システム)

(体調を自己管理するための日報システム、web上で上長・支援員と共有できる)

があります。

特に当社ではSPiSを活用しています。これは、精神・発達障がいを持つ方やメンタル不調の方向けの雇用管理システムです。
個人の特性に合わせて評価項目を設定できる日報形式のシステムになっており、はたらく当事者それぞれの個性に合わせて項目設定した日報をweb上で、関係者間で共有することができます。このシステムの導入により細かく本人の状態を記録・確認することができますので、支援する上司や同僚が状態を理解することはもちろん、自己理解を深めることにもつながった結果として、職場定着を実現させることができました。

他にも障がい者の方たちの中にはことばや文章よりも写真やイラストを活用しながら、指示や守ってもらいたいことを理解してもらう工夫なども日頃から実践しています。





現在の取り組み

当社は特例子会社ですので、障がいのある従業員がたくさんはたらいています。従業員の皆さんには仕事だけではなく余暇も含めた生活の場面も豊かに暮らしてほしいと願っています。
それらの一環として、様々な行事やイベントを開催したり、生活に関わる勉強や試験なども実施しています。

「行事やイベント」

  • 月例ボウリング大会(第3水曜日開催)

・毎回の成績をもとに翌日表彰
・スコアだけではなく、ストライク数やスペア数、スクラッチ・ハンデなど、それぞれの項目などを設けて表彰
・過去には全国障がい者スポーツ大会に2年連続出場(2017年大会、2018年大会)

  • 埼玉県障がい者雇用企業ティーボール交流大会

・第一回大会から連続8回優勝




他にも当社は、国内では珍しく子会社に「就労継続支援A型事業所」を持つ特例子会社になります。(法定雇用率に算定)今後、法律改正により状況も変化することが考えられますが、障がい者就労福祉サービスの良いところを活用しながら専門性高い支援を実現していきたいと考えています。

今回の取材で感じたことは、お話を聞かせていただきました総務グループをはじめ障がいのある従業員の方々から活力のようなパワーを感じました。与えられた仕事をこなすだけの職場よりも、仕事を通してたくさんのことを学ぶ機会を与えられていると感じる職場では、成長したいという意欲が湧き上がってくるのではないでしょうか。

「障がい者を支援する立場である我々が障がい者から学んでいます」ということばを総務グループから聞かせていただきました。このことばに似たことばは、熱心に障がい者雇用に取り組んでいる企業からよく聞こえてきます。

「支援の困難な障がい者こそ我々の先生」
しっかりと心の刻んでおきたいことばです。

MCSハートフル株式会社の皆さんご協力ありがとうございました。

『MCSハートフル株式会社』
埼玉県さいたま市北区吉野町2-189-14
URL:https://www.mcsg.co.jp/mcshf/index.html

『メディカル・ケア・サービス株式会社』
埼玉県さいたま市中央区新都心11番地2 ランド・アクシス・タワー 29階
URL:https://www.mcsg.co.jp/

『株式会社学研ホールディングス』
東京都品川区西五反田二丁目11番8号
URL:https://ghd.gakken.co.jp/

ABOUTこの記事をかいた人

上前 忠司 (日本障害者雇用総合研究所代表)

[障害者雇用コンサルタント]
雇用義務のある企業向けに障害者雇用サポートを提供し、障害者の雇用定着に必要な環境整備・人事向け採用コーディネート・助成金相談、また障害者人材を活かした事業に関するアドバイスを実施。障害者雇用メリットの最大化を提案。その他、船井総研とコラボした勉強会・見学会の開催や助成金講座の講師やコラム執筆など、障害者雇用の普及に精力的に取り組んでいる。

▼アドバイス実施先(一部抜粋)
・opzt株式会社・川崎重工業株式会社・株式会社神戸製鋼所・沢井製薬株式会社・株式会社セイデン・日本開発株式会社・日本電産株式会社・株式会社ティーエルエス・パナソニック株式会社・大阪富士工業株式会社・株式会社船井総合研究所・株式会社リビングプラットフォーム