企業交流会「株式会社障がい者つくし更生会」

アイデアや新しい企画などを考える時、「ゼロ」から創造するよりも「あるモノ(A)」と「あるモノ(B)」を掛け合わせて「新しいモノ(C)」を生み出すということがあります。これは、発明品や製品といった物質に限定された話ではなく、仕組みやシステムといった形のないものに関しても同様です。

【例えば】
〇コワーキングスペース:「古いビル」×「リノベーション」×「スタートアップ企業」
〇フリマアプリ:「スマートフォン」×「フリーマーケット」(メルカリ、ラクマなど)
〇配車サービス:「シェアビジネス」×「タクシー」×「スマートフォン」(ウーバー)
障がい者の雇用が「法定雇用率の達成を第一」とするあまり、人材の活用に課題を感じている企業の人事担当者は少なくないと思います。将来、企業で働く障がい者は増えていきます
現在、障がい者が主に担当する仕事の多くは付帯業務などの補助的な仕事ではないでしょうか。人事担当者が頭を抱えるのは、障がい者のメイン業務が付帯業務では、今後の法律改正などによる雇用の増加にどのようにして対応していけばいいのだろうということです。
まして、AIやRPAの普及により障がい者の仕事が減る一方だと感じているでしょう。(見方によっては、AIやRPAは障がい者の仕事をサポートするツールになり得、健常者の仕事量を減らす存在になるのではないかと考えることがあります)

自社の障がい者雇用を組み立てるにあたり、他社の障がい者雇用事例を参考にする企業はたくさんあります。その一方で、「当社では無理だ」「企業規模、業種が違う」「求人を出しても人が来ない」といった理由を挙げ、障がい者雇用に消極的な企業もたくさんあります。
実は、他社の障がい者雇用事例を参考にしている企業というのは、参考にしている会社の取り組みをそのまま自社に取り入れるというよりも、自社に合うように『カスタマイズ』しているように思えます。もう少し詳しくお話しすると、「企業規模」「業種」「雇用条件」など、全く同じ会社というのはそう簡単に見つかるとは思いませんので、自社と違っていて当り前です。参考にするのは、方法ややり方に加えて、マイノリティな存在である障がい者と一緒に働くためには周囲の意識が変わらないといけないと思っています。
それは、障がいのある人たちとも分け隔てない組織づくりであり、自社が実現させるために不足している点を見つけることではないでしょうか。

我々、日本障がい者雇用総合研究所では、これまで他社企業における障がい者雇用事例に触れることで自社での雇用の参考となる企業交流会の場を何度か設けてきました。
今回は、その企業交流会の報告をしたいと思います。

企業交流会「株式会社障がい者つくし更生会」

2019年11月、場所は大阪市内。障がい者雇用事例企業として企業交流会にご登壇いただいたのは、『株式会社障がい者つくし更生会』専務取締役 那波和夫氏。
那波氏は、年間に多くの講演会に登壇のため、全国を飛び回っています。また、福岡にある職場の見学希望者が後を絶たず、たくさんの会社が先行事例企業として参考にしています。
当日は、関西を拠点としている日本障がい者雇用総合研究所が日頃からお世話になっていたり、お付き合いのある企業や支援機関・団体を中心にそれぞれの組織に所属されている人事担当者・経営者・現場責任者など、色々な立場の方々にご参加いただきました。

雇用企業インタビュー:株式会社障 がい者つくし更生会

2018.07.17

企業交流会は、那波氏より障がい者つくし更生会のご紹介からスタートしました。こちらの特徴を一言で言い表すことが非常に難しいのですが、

  1. 39名の従業員のうち障がいのある人は34名!
  2. すべての従業員が正社員として雇用!
  3. 一般的に重度の障がい者も適性が合えば雇用!
  4. 障がいがある方も業務の責任者として配置!

などが挙げられます。

那波氏は創業間もない頃から事業に携わったため、たくさんの障がい者と接してきました。
これまでの経験では当然のことながら多くの苦労や問題にも直面したと聞きます。障がい者の中には、特性や疾患名が同じであっても状態や特徴は様々です。そのため、個々の強味を見極めることが非常に重要だといいます。その上で、「物心両面の環境が整えば障がい者であっても一人前の仕事ができるんです。」と力強いお話しを聞かせていただきました。
また、障がい者が仕事で成果を上げるには、その仕事に興味を持ってもらい、自分の役割をしっかりと認識してもらうことも重要だということです。そのために、実際に職場ではひとり一人の声に耳を傾けながら、それぞれの障がい者に対して時間と手間を惜しまない努力を忘れないようにしているということです。

交流会の後半では、那波氏へ参加者の皆さんからの質問の時間となりました。たくさんの質問があったのですが、そのひとつをご紹介します。

《質問》
本人は仕事に対して前向きだが、実際には気分の落ち込みがあり欠勤している状況。どのようにすればいいか。

《回答》
普段からの本人との対話により気付くことが多くあります。障がいの有無に限らず、人の精神状態には「良いとき」と「悪いとき」が必ずあります。どうしても「悪いとき」というのは、目立つのでその時のことを覚えているものですが、状態の「良いとき」を自覚させることを意識するようにしています。
「良いとき」の状態を覚えておくことで、その時の「体調」「人間関係」「職場」「プライベート」の状況と比較して何が原因なのかを見つけやすくなります。そうすると、「良いとき」の状態に戻し易くなります。

他にも、現在の職場で抱えている課題や問題に関する質問も多く、交流会が終了してもしばらく途切れることはありませんでした。それは、障がい者雇用に関する課題の多さと同時に関心の大きさだと感じました。
今後も不定期ではありますが、企業交流会の場を設けていきたいと思います。

ABOUTこの記事をかいた人

上前 忠司 (日本障害者雇用総合研究所代表)

[障害者雇用コンサルタント]
雇用義務のある企業向けに障害者雇用サポートを提供し、障害者の雇用定着に必要な環境整備・人事向け採用コーディネート・助成金相談、また障害者人材を活かした事業に関するアドバイスを実施。障害者雇用メリットの最大化を提案。その他、船井総研とコラボした勉強会・見学会の開催や助成金講座の講師やコラム執筆など、障害者雇用の普及に精力的に取り組んでいる。

▼アドバイス実施先(一部抜粋)
・opzt株式会社・川崎重工業株式会社・株式会社神戸製鋼所・沢井製薬株式会社・株式会社セイデン・日本開発株式会社・日本電産株式会社・株式会社ティーエルエス・パナソニック株式会社・大阪富士工業株式会社・株式会社船井総合研究所・株式会社リビングプラットフォーム