職場の不協和音は、愚痴って調整する

不協和音というと、去年の紅白に出場した欅坂46の2年ぶりのパフォーマンスが思い出されます。
私は観れていないですが、ネットでは話題になっていたようですね。

不協和音とは、コトバンク(大辞林 第三版の解説)で調べると、「①同時に鳴らした二つ以上の音が、協和しない状態にある和音。 ②転じて、二者の間が調和しない状態にあること。」 と書かれています。

障害者雇用の現場で考えると、障がい者と健常者の二者の間が調和しない状態(不協和音)になることは、個人的にはあまり嬉しいことではないですが現実には多いように思います。
今回は、職場の不協和音というか、人間関係や職場の雰囲気がうまく保てないことについて書いてみたいと思います。

不協和音が起きる理由


起きる理由は、いろいろあると思いますが、代表的なことを3つほど取り上げてみたいと思います。

1つは、価値観の違いです。

障がいのない人たちは、お互いの価値観のズレに対して空気を読みつつ柔軟に応じていることが多いですが、障がいのある人は、苦手なことへの抵抗感、自己評価のズレや低さ、新しい仕事へのチャレンジ意欲の低さなど、十人十色ではありますが、障がい特性の理由もあって見通しが持てず、自分の思いが優先されることがあります。
価値観の違いは、お互いが適度に価値観を押し付け合いながら、少しずつ分かり合う中でやりとりしていくものですが、どちらかの価値観が一方的に押し付けられると不協和音は起こりやすくなるものです。

2つめは、排除の理論です。

諸説あると思いますが、日本人は、人との和を重んじたり、人への気配りを大切にするなどの文化があります。多様性の少ない日本は、日本人同士の共通点が多いこともあり、暗黙の了解やあうんの呼吸、空気を読むなどは日常的に起こっていることです。
排除の理論は、日本の文化や職場の雰囲気に馴染まない言動を取り除こうとする方で、障がいのある人の言動や振る舞いがその考え方に当てはまってしまう場合があるように思います。

最後の3つめは、余力のなさです。

少子高齢化の日本は、変化のスピードが早く、日本・世界経済も多様に変化していることもあって、職場によっては従業員一人ひとりのゆとり(余力)が無いことも少なくありません。
一人ひとりの仕事は忙しく、職場内の人を気遣う余力も少ないため、不協和音が芽生え始めることはあるものです。
忙しい中でも精神的なゆとりがあり、他者を気遣う余力があれば良いですが、必ずしも職場の全員がそうとは限らないため、不協和音が起きてしまうのかもしれません。

解決ポイントは「愚痴ること」

不満やストレスが溜まると、人は誰でも愚痴りたくなるものです。
これはとても自然な現象ですし、溜まったものは愚痴って発散するか、ランニングや筋トレなどで肉体的な疲れで発散したほうが健康的にもよいものです。
前述の不協和音が起きる3つの理由は、どの職場でも起こりうることで、色々な立場の人が多様に働く職場で人間関係を意識しながら働く上ことを考えると、ある意味で自然に起こってしまうことでもあると思います。

ここでのポイントは、「溜まった愚痴」は発散したほうが良いということです。
発散しないと、愚痴はどんどん溜まっていき、どこかで爆発してしまうかもしれません。
溜まったものは愚痴を言ってもらい、適度に発散してもらうことがポイントです。

愚痴の聞き方(進め方)


愚痴は、誰かが聞いてあげることで発散できます。
ただ、注意点もあって、「誰のことを愚痴る」かについて明確にしておいたほうがよいということです。
愚痴の対象となる人の前でみんなが揃って愚痴を言ってしまうと、ただ単に悪口となってしまい、対象となる人を傷つけ、ハラスメントになってしまいます。
ここは、一番の注意点です。

愚痴を聞くときのポイントをまとめてみました。

  • 誰のことを愚痴るかを明確にする
  • 愚痴の対象となる人がその場にいないことを確認してから愚痴る
  • できれば職場の上司やリーダーに愚痴を聞いてもらう
  • 愚痴って適度に発散することがポイント
  • 愚痴ったあとは、お互い様の気持ちで精神的ゆとりが持てるとなお良し

最近は、1on1ミーティングなど職場内での定期面談も増えてきたように思いますので、その時間を使って愚痴を言うこともよいと思います。
また、会議やミーティングなど形式的な場面でも愚痴を言い合う意見交換会の時間を設けることも良いですし、どちらにしても時間を決めて愚痴を言うことと、その時間が終わったら言わないように心がけるなど、メリハリつけて進められると職場内の雰囲気も悪くならないように思います。

職場の不協和音は、自然な現象だと思います。
でも、放置しておくと不協和音はだんだんと大きな音に変わり、職場の雰囲気を悪くしてしまいます。
不協和音は小さなうちに発見して、定期的に発散・調整することを心がければ、職場内の多様な音が調和され、きっと気持ちの良い音を奏でてくれると思います。

ABOUTこの記事をかいた人

星明 聡志 (社会福祉法人北摂杉の子会ジョブジョイントおおさか 所長)

▼プロフィール:
京都生まれ京都育ち。児童福祉の専門学校を卒業後、長野市にある社会福祉法人森と木で障害のある人の就労支援(企業就労の支援、飲食店での支援と運営管理等)に限らず、生活面(グループホーム、ガイドヘルプ等)の支援、学齢期のお子さんの支援などに従事。2013年に帰阪し、自閉症・発達障害の方を対象に企業就労に向けたトレーニングをする2つの事業所ジョブジョイントおおさか(就労移行支援事業・自立訓練事業を大阪市と高槻市で実施運営)にて勤務。2014年より所長(現職)。また、発達障害のある大学生に向けた就活支援プログラム(働くチカラPROJECT)の運営にも力を入れており、2016年より大阪にある大学2校のコンサルタントも務めている。

▼主な資格:
社会福祉士、保育士、訪問型職場適応援助者(ジョブコーチ)

▼主な略歴:
長野市地域自立支援協議会 就労支援部会 部会長(2011〜2013)淀川区地域自立支援協議会 就労支援部会 副部会長(2015〜)高槻市地域自立支援協議会 進路・就労ワーキング 委員(2016〜)日本職業リハビリテーション学会 近畿ブロック代表理事(2017〜)NPO法人ジョブコーチネットワーク、NPO法人自閉症eサービスが主催する研修・セミナー等での講師・トレーナー・コンサルタント等(2013〜)