取材レポート:特例子会社『The Links株式会社』

今回ミルマガジンの取材にご協力いただきましたのは、以前も障がい者雇用企業インタビューでご紹介しましたサラヤ株式会社の特例子会社『The Links株式会社』になります。

雇用企業インタビュー:サラヤ株式会社

2019.01.17

詳しくお話しを聞かせていただいたのは、The Links株式会社の代表取締役 長澤良行氏と取締役 笹さとみ氏になります。

〇『The Links株式会社』のことを教えてください

《話・長澤氏、笹氏》
親会社であるサラヤ株式会社で取り組んでいました障がい者雇用が原点になります。私どもでは「衛生・環境・健康」の向上のための商品サービス提供を通じて、より良い社会づくりに貢献してまいりました。多様性を理解し、誰もが健康で豊かな生活を送ることができる世の中を目指すものです。これは私どもの組織も障がい者雇用を積極的に取り組んでいくことがミッションのひとつだと考えています。

そのような中、本格的に障がい者雇用に取り組み始めたのが2014年になります。当時は法定雇用率が達成できていない状況にあったのですが、障がい者雇用に対して強い想いを持つ担当役員が人事部も兼務していたため、当社として大きな一歩を踏み出すきっかけの年になりました。
丁度その頃、全国にある営業部隊が取引先の情報を個々で登録していたために、均一に情報を共有できる点について課題を抱えていました。そこで、この顧客データを整理し、常に最新の情報をどこからでも取得できるようにする作業を新たに雇用する障がい者の方たちに担当してもらうことを計画し、新規採用活動を始めることになりました。

一方で、現在私どもが拠点を置く大阪市中央区のビルには、車いすダンスの活動を行う法人が同じフロアに入居していることも何かの縁だと感じました。この法人が入居していたことで、ビルの入り口のスロープや障がい者用トイレの設置が進むことにもなりました。

試行錯誤しながらも障がい者雇用に取り組み法定雇用率も達成し、社外の活動に参加したり、様々な情報を得る中で特例子会社制度のことを知りました。
それまでは特例子会社のことはよく分かっていなかったのですが、今まで以上に障がい者の雇用に取り組むことで、更なる組織の発展と成長を目指したいと考え、当社にとって最適な雇用の仕組みとなるのであればと今から2年半ほど前に具体的な検討に入ることとなりました。また、サラヤ株式会社の代表取締役である更家悠介からも全力で応援するとの言葉をもらい、2020年11月17日に当社を設立。2021年2月2日に特例子会社としての認定を取得することができました。



〇障がい者の仕事について教えてください

サラヤ株式会社での障がい者雇用で取り組み始めた顧客データメンテナンス業務を中心に基本データ入力、名刺登録・修正などの営業支援に関連した業務をおこなっています。
顧客データメンテナンス業務とは、全国にある営業部門で日々の顧客とのやり取りで得た情報を随時新しいものにアップデートする仕事になります。例えば、顧客先のキーマンに関する情報や取引状況が常に新しい状態にしてあることで営業の戦略や行動に良い効果が生まれます。非常にやりがいのある役割を障がい者の方たちが担ってくれています。
他には取り扱っています衛生用品などの商品画像を専用ソフトを使ってのメンテナンスも担当しています。

仕事の多くを本体であるサラヤ株式会社から受注しています。そのため、サラヤの従業員に我々がどのような仕事ができるのかを常に発信し、周知してもらうことが今後の売上につながってきます。そのため、月一回のペースで「Linksニュース」という社内ブログを発信し、私たちのことをもっと知ってもらう活動をしています。また、サラヤの社長も我々の仕事のことを定期的に取り上げ、社内に発信してもらっていることも大いに助かっています。


〇障がい者に関連した取り組みについて教えてください

今回、障がい者雇用理解に関する活動の一環として当社ビル1Fの商談スペースを使って、「阪和興業株式会社」さんと「株式会社革靴をはいた猫」さんが協業しています靴磨き事業の出張サービスを受入れ、手始めとして11月と12月に計3回の実施を行いました。
※取材の日は3回目の出張靴磨きの実施日でした。

当初、この企画を提案いただいたときは「期待に応えられるほど靴を集められないのではないか」と心配をしていました。ところが、始まってみるとひとりで何足も持ってくる方もいるぐらい従業員の関心も高かったのだと感じました。靴磨きをする職人が知的障がい者だということを聞いて驚いた従業員もいましたし、実際に靴を磨いてもらうことで感動した従業員が口コミで広めてくれたことなど、障がい者に対する理解を深める場としては大成功だったと思います。

実は、今回の取り組みは当社や阪和興業さん、革靴をはいた猫さんなど複数の企業で作った「日本障がい者雇用企業協議会」での活動がきっかけでした。この協議会は、障がい者雇用に取り組む「企業」が集まり持ち寄った雇用に関する課題や事例を共有することで、自社での取り組みをより良いモノにし、組織の成長を目指す会としています。他にも今回のように、企業同士のコラボレーションが生まれる場にもなっています。
今後ですが、協議会での活動も含めて新たな取り組みにチャレンジしていきたいと考えています。具体的なことはこれからですが、障がい者というテーマをベースとして企業同士のつながりを増やし、各企業の利益につながるような活動にしていきたいと思っています。

また、当事者の方たちにも「自分にもできることがあるのではないか」と感じてもらえるような活動を実現していきたいと思います。



取材にご協力いただきました長澤氏も笹氏も障がい者雇用に対して強い情熱を持っている方々で、取材のときにも熱のこもった話にたびたび脱線してしまうほど、盛り上がりました。
特例子会社の認定を受けてからもうすぐ1年となる同社の今後の活躍が期待されます。
ご協力ありがとうございました。

『The Links株式会社』
URL:https://thelinks.co.jp/
所在地:大阪府大阪市中央区備後町4-2-3

『サラヤ株式会社』
URL:https://www.saraya.com/index.html
所在地:大阪府大阪市東住吉区湯里2-2-8

ABOUTこの記事をかいた人

[障害者雇用コンサルタント]
雇用義務のある企業向けに障害者雇用サポートを提供し、障害者の雇用定着に必要な環境整備・人事向け採用コーディネート・助成金相談、また障害者人材を活かした事業に関するアドバイスを実施。障害者雇用メリットの最大化を提案。その他、船井総研とコラボした勉強会・見学会の開催や助成金講座の講師やコラム執筆など、障害者雇用の普及に精力的に取り組んでいる。

▼アドバイス実施先(一部抜粋)
・opzt株式会社・川崎重工業株式会社・株式会社神戸製鋼所・沢井製薬株式会社・株式会社セイデン・日本開発株式会社・日本電産株式会社・株式会社ティーエルエス・パナソニック株式会社・大阪富士工業株式会社・株式会社船井総合研究所・株式会社リビングプラットフォーム