【上前のひとり言】取り組み方で成果が変わる:障がい者雇用の『ありたい姿』

久しぶりにひとり言です 。
肩の力を抜いて執筆していますので、仕事の合間に、ながら程度にご一読いただければ幸いです。

私たちは日々の生活を送る中で、仕事でのスキルアップやプライベートでの健康管理など、数多くの事柄に取り組んでいます。
仕事であれば、

プライベートであれば、

など、挙げるとキリがありません。
当然のことながら、これら日々の活動には必ず「理由」や「目的」が存在します。しかし、単に「理由・目的」があるだけでは、その取り組みは一時的な実施だけで終わってしまうことが少なくありません

【ダイエットの罠:なぜ「目標達成」がリバウンドを招くのか】


以前、ダイエットとリバウンドについて興味深い話を聞きました 。多くの人が「体重を〇kg減らす」という目標を立て、懸命な努力の末にそれを達成します。しかし、目標を達成した途端、徐々に体重が戻り、最終的にリバウンドしてしまうケースは珍しくありません 。

なぜこのようなことが起きるのでしょうか。
人間は、あらかじめ決めた目標をクリアすると、強い達成感に包まれます。すると脳は「ミッション完了」と判断し、それまでの緊張感を解いて気を抜いてしまう性質があるからです 。短期的な数値目標をクリアしたとしても、長期的な視点で見れば、それは真の成功とは言えませんここで重要になるのが、目標の先にある『ありたい姿』を明確に設定することです。

【『ありたい姿』が行動を継続させる】

長期的にダイエットを成功させる人は、目標を単なる数値(体重〇kg)に置きません 。彼らが目指すのは、「理想とする自分自身のあり方」です。
例えば、「お気に入りの服を着たい」「モテたい」といった理由や目的だけでは、不完全な場合があります。服が着られた、あるいは誰かに褒められた瞬間に、欲求が満たされて行動が止まってしまうからです。

しかし、ここに『ありたい姿』を加えるとどうなるでしょうか。「モテるために体重〇kgを維持し、日頃から自分を律して努力を積み重ね、周囲から憧れられる存在であり続ける」という姿を定義するのです 。すると、日々の食事制限や運動は「目標のための苦行」ではなく、「理想の自分でいるための当然の習慣」へと変わります。この意識の変革こそが、成果を維持させる鍵となります。

【障がい者雇用における「数合わせ」からの脱却】

この考え方は、ビジネス、特に私が日頃携わっている「障がい者雇用」の現場においても全く同じことが言えます。
現在、多くの企業の経営者や担当者とお会いしますが、皆様がどのような理由や目的で雇用を進めているかには非常に敏感になります 。最も分かりやすい目的は「法定雇用率の達成」です 。2026年7月1日からは法定雇用率が2.7%に引き上げられ、企業にはさらなる雇用が求められます 。

しかし、「率を守ること」だけを目的化してしまうと、組織はどうしても「数合わせ」の活動に終始してしまいます 。とりあえず人数を確保する、とりあえず仕事を作る。こうした姿勢では、雇用した障がいのある方が十分に力を発揮できず、結果として現場に負担感だけが残り、定着率が低下するという「雇用におけるリバウンド」が起きかねません。

【障がい者雇用の先にある「本来あるべき組織の姿」】

障がい者雇用を、単なる義務の履行から、本質的な組織改革へと昇華させるためには、その先にある『ありたい姿』を明確に描く必要があります。本来あるべき障がい者雇用の姿とは、以下のようなものではないでしょうか。

  • ①強みの活かし方

障がいの有無に関わらず、個々の特性や強みを正確に把握し、それを最大限に発揮できるフィールドを用意すること。

  • ②戦力化

「福祉的な配慮」で終わるのではなく、企業の一戦力として期待し、責任ある役割を担ってもらうこと。

  • ③相互承認と成長

周囲の社員がその貢献を認め、本人もまた「自分が役に立っている」という自己有用感を抱きながら、プロフェッショナルとしての成長を目指せる環境。

これらが実現した先にある『ありたい姿』とは、「多様性を活かした、強靭で付加価値の高い組織づくり」だと思います。

【多様性がもたらす企業の利益】


『ありたい姿』を「多様性を活かせる組織」に設定すると、障がい者雇用はコストや義務ではなく、企業の成長戦略そのものになります。

異なる視点や特性を持つ人々が協働することで、既存の業務フローの見直しが進み、生産性が向上したり、これまでにないアイデアが生まれたりします。一人の「働きにくさ」を解消するための工夫が、実は他の社員にとっても働きやすい環境(ユニバーサルデザイン)につながることは多々あります。
目先の「雇用率達成」という数字に一喜一憂するのではなく、障がい者雇用を通じて組織がどのように進化したいのか、どのような企業文化を築きたいのか。その『ありたい姿』へ向かって邁進すること自体が、結果として企業に持続的な利益と競争力をもたらします。

最後に
ダイエットも障がい者雇用も、大切なのは「達成した瞬間」ではなく「その後どうあり続けるか」です。
今一度、自社がなぜ障がい者雇用に取り組むのか、その理由や目的の「さらに先」を見つめてみてください。数合わせの苦労を、組織が輝くための本質的な取り組みへと変えていく。そんな『ありたい姿』を共に描いていければ幸いです。

ABOUTこの記事をかいた人

[障害者雇用コンサルタント]
雇用義務のある企業向けに障害者雇用サポートを提供し、障害者の雇用定着に必要な環境整備・人事向け採用コーディネート・助成金相談、また障害者人材を活かした事業に関するアドバイスを実施。障害者雇用メリットの最大化を提案。その他、船井総研とコラボした勉強会・見学会の開催や助成金講座の講師やコラム執筆など、障害者雇用の普及に精力的に取り組んでいる。

▼アドバイス実施先(一部抜粋)
・opzt株式会社・川崎重工業株式会社・株式会社神戸製鋼所・沢井製薬株式会社・株式会社セイデン・日本開発株式会社・日本電産株式会社・株式会社ティーエルエス・パナソニック株式会社・大阪富士工業株式会社・株式会社船井総合研究所・株式会社リビングプラットフォーム