自社を診断!あなたの会社が「障がい者雇用健康企業」か判断する6つのポイント①

気付けば2019年も残すところあと少しとなってきました。
仕事もプライベートも、なるべく積み残しのないように年内のうちに済ませておきたいという気持ちにさせられる時期になりました。その一方で、年が明けると年度末がそろそろ見えてきますので、当然のことですが新年度に向けた支度や計画が始まります。

障がい者雇用に関連したものですと、「今年度の法定雇用率達成状況の確認」「次年度に向けた採用計画」など。また、毎年12月~1月のタイミングで厚生労働省から「障がい者雇用状況の集計結果」が公表され、一般企業や行政機関の障がい者雇用状況を見ることができます。例えば、直近の10年は一般企業による精神障がい者の雇用数が大きく伸びていることが分かります。昨年は中央省庁による「障がい者の水増し雇用」が発覚し、大きなショックが広がりました。
幸か不幸か、その影響で障がい者雇用というものが世間から大きな注目を浴び、ここ数年高まっている障がい者採用が更に活発化したのがこの2019年だったのではないかと思います。私も例年に比べても企業からのご相談の多い年だったと実感しています。

現在、法律により障がい者法定雇用率2.2%を義務付けられている従業員数45.5人以上の企業は全国に10万社以上あり、そのうちの約半数が法定雇用率を下回った状態です。
最近の企業からのご相談や動向を見ていて気になることがあります。障がい者雇用を義務的な視点から捉えている企業が多いため、目の前に掲げられている法定雇用率を達成するというところにばかり意識を集中しているように感じているという点です。
そのため、「障がい者を雇用する」という本質から遠ざかっているように感じてしまいます。障がい者の雇用は企業が存続する以上、切り離すことのできない役割となっています。その範囲は企業規模に関係なく、今後も広がっていくと考えます。そのような時代に企業が目指す障がい者雇用の姿というのはどのようなものでしょうか。

これまでの「障がい者の仕事=補助業務」のようないずれなくなる可能性のある仕事をしていては、業務のRPA化やAI化が進んだ時にしてもらう仕事がなくなってしまい、企業が自分で自分の首を絞めることになってしまいます。これからは「障がい者の仕事=主要業務」のように欠くことができない仕事へとシフトしていくことを視野に近い将来を見据えた採用・雇用計画が必要になります。(障がい者雇用をメリットとするかでメリットとするか)

そこで、自社の障がい者雇用がこれからの時代に沿った取り組みができている企業(『健康企業』)なのか、そうでない企業(『不健康企業』)なのかを6つポイントと照らし合わせながら診断してみましょう。

6つのポイント

①身体障がい者以外の雇用実績

「現在、あなたの企業は身体障がい者以外の雇用にも力を注いでいますか?」

徐々に減少傾向にあると思いますが、未だに「身体障がい者しか雇用しません」と頑なな姿勢を崩さない人事担当者に出会うことがあり驚かされます。そういった企業は障がい者に対する思い込みが邪魔をしてしまっているのでしょう。

仮に今後も身体障がい者の雇用だけで企業間の採用競争の激しいこの時代に法定雇用率を達成できるほど魅力ある企業なのであれば問題はないでしょう。そうでなければ、求人活動に割く人事担当者の努力が成果を伴わない結果になることは目に見えています。
成果を伴わないと分かっている努力を続けるぐらいなら、戦力として知的障がい者や精神障がい者・発達障がい者を雇用する方向に舵を切る努力の方が、会社の未来に目を向けた取り組みだといえます。

現在、精神障がい者の雇用を後押しするための制度があります。

【新たに精神障がい者の採用をした際に受給できる助成金

助成金を知る『特定求職者雇用開発助成金』

2018.01.30

助成金を知る『発達障がい者・難治性疾患患者雇用開発コース(特定求職者雇用開発助成金)』

2018.02.20

2018年4月から「短時間労働の精神障がい者の雇用も1カウント」ってご存知ですか?

2018.04.17

②不安定な状態の雇用状況


「現在、取り組んでいる障がい者雇用は5年先まで見据えた計画ですか?」

昨今、景気の上昇に合わせて、企業は従業員の採用数を増やしています。人事担当者は新規採用した従業員数に応じて雇用する障がい者の数も把握しています。多くの企業は法定雇用率通りの障がい者を雇用していますが、本来であればプラス0.2~0.4カウントを目指してほしいと考えます。
理由は、障がいのある方たちの中には、健康そうに見えていても日々の生活で体調を管理・維持することが難しい人たちも少なくありません。会社側が定年までと願っていても早期退職を希望する方も出てきます。
また、最近は障がい者の求人情報も簡単に目にすることができるようになりましたので、働きながら転職活動をする障がい者も珍しくありません。安心していたら、急に「来月で退職します」と申し出てくるかもしれません。

そのような不測の事態が発生しても法定雇用率が下回らないような採用計画を立てている企業であってほしいと思います。私の肌感覚ですが、法定雇用率を達成した状態から未達成となり納付金(罰金)を支払う状態になった場合、労働局からの指導が厳しいように思います

付け加えて、現在雇用している障がい者の年齢層を見た時に50代以上が60%以上を占めている企業ではないですか。その場合、最低でも5年先には上記のような法定雇用率を達成できるだけの採用計画が必要になってきます。

次回へ続く。

ABOUTこの記事をかいた人

上前 忠司 (日本障害者雇用総合研究所代表)

[障害者雇用コンサルタント]
雇用義務のある企業向けに障害者雇用サポートを提供し、障害者の雇用定着に必要な環境整備・人事向け採用コーディネート・助成金相談、また障害者人材を活かした事業に関するアドバイスを実施。障害者雇用メリットの最大化を提案。その他、船井総研とコラボした勉強会・見学会の開催や助成金講座の講師やコラム執筆など、障害者雇用の普及に精力的に取り組んでいる。

▼アドバイス実施先(一部抜粋)
・opzt株式会社・川崎重工業株式会社・株式会社神戸製鋼所・沢井製薬株式会社・株式会社セイデン・日本開発株式会社・日本電産株式会社・株式会社ティーエルエス・パナソニック株式会社・大阪富士工業株式会社・株式会社船井総合研究所・株式会社リビングプラットフォーム