企業から頼りにされる就労系福祉事業所3つの特徴

日頃から、企業の採用担当者の方々を前にして障害者雇用に関するお話しをさせていただく時に、『これから、障害者の雇用定着を進めていくためには「障害者就労移行支援事業所」などの支援機関のような専門性の高い社外資源の活用が必須になります。』とお伝えしています。

これまでの主要な障害者採用のターゲットといえば身体障害者でしたが、現在求職活動をしている障害者の多くは精神障害者や発達障害者となります。

過去に精神障害者や発達障害者の雇用定着実績を持つ企業はまだまだ少なく、これから本格的な雇用を始めるには、従業員の理解と協力が重要なリソースとなってきます。

従業員の理解と協力を得るためには、会社が障害者雇用に必要な知識習得や経験値を伸ばすための取組みを始めていくことになります。現実問題として、企業が自力でこれらの取組みをするには非常に厳しいと言わざるを得ません。

そのため、社外にある資源を有効に活用することが必要となってきます。

社外資源の中でも、近年事業所数が増加している「就労移行支援事業所」は、国や厚生労働省が企業の障害者雇用を促進させるため、障害者総合支援法のもと平成20年から開始した福祉サービスのひとつで、企業と密接な連携を取りながら、雇用経験の少ない企業であっても専門性の高いサポートで雇用定着を実現してくれます。

特に最近は、法律の改正により従来からの社会福祉法人だけではなく株式会社が母体となる法人でも設立が可能となり、株式会社LITALICOさんにいたっては株式上場をするなど、全国的な展開により知名度も大きい福祉事業所ができてきました。福祉事業としての認知度が高くなるのは非常にいいことだと感じています。

2018年度を転機に企業と就労移行支援事業所の関わりが増加することを想定したときに、企業の担当者の気持ちとしては自社の要望や状況に応じた協力をしてもらえるところにサポートをしてほしいと考えるはずです。

私のような立場の人間がお話をするには大変恐縮ではありますが、一昔前と比べて企業理解の進んだ福祉事業者が、企業だけではなく利用者となる障害者からも選ばれていると強く感じています。今回は、事例に基づいて企業に選ばれている福祉事業所の3つの特徴をお話ししたいと思います。

① 企業理解が進んでいる

企業の職場環境や人事担当者の抱える悩みは、詳細なところまで見ると個々で違いがあります。障害者本人だけではなく、一緒に働く従業員への気配りも重要な部分だと改めて感じています。

私も企業向けに障害者雇用のサポートをしておりますが、人が関わる繊細な部分のお話しにもなりますから、力技を使って根付かせることは適切ではない方法だということを強く実感しています。

企業理解の進んだ福祉事業所はしっかりと汲み取っていただけるような対応をしていただけますので信頼してご相談してください。

② 企業と並走してくれる

上記①のように、障害者雇用の取組みを始めた企業は、ペースをつかめるまでじっくりと慎重に進むことが多いです。

例えば、企業への紹介実績やサポート経験のある福祉事業所さんの中には企業の歩調ではなく、福祉事業所の歩調やルールを守ろうとするあまり企業との歩幅が合わなくなることがよくあります。これまでの実績をもとにしたサポートや障害者に軸足を置いた考え方は当然ではあるのですが、知識も経験値も不足した状態の企業にとっては負担と不安を感じてしまうのではないでしょうか。

企業も障害者雇用を通じて変化をしようと努力しているのですから、福祉事業所側も柔軟な姿勢で対処をしてくれるところが、多くの企業に支持されると思います。障害者雇用における企業と福祉事業所は二人三脚が理想です。

③ 時には企業をリードする存在として

とはいえ、知識や経験値で見れば、福祉事業所は圧倒的に教える立場となります。企業の歩調に合わせたニーズを聞くだけではなく、時には導く存在として障害者雇用を企業に根付かせるためのアドバイスを提供してほしいと感じます。

障害者雇用の取組みが上手く進んでいない企業は「ダメ」なのではなく、「知らない」または「間違った思い込み」が原因だと考えます。近年、企業における障害者雇用に対する取り組みは、関心度合いの高さや数字の面から見ても大きく前進していると感じています。ただ、誰かから改めて教えてもらうような場面は少なく、過去の経験で蓄積されたデータやイメージをもとに取組みをしているのではないでしょうか。

企業側からの要望に応えるだけではなく、従業員向けの勉強会や雇用に役立つ情報提供なども積極的にお話ししてくれる事業所があれば、非常に心強い存在だと思いますよ。

昔、企業から福祉事業所へ相談する場面でしばしば見られたのが、事業所の方が企業に対して信頼を持たずに対応しているなぁと感じる雰囲気でした。現在、そういった福祉事業所は少なくなってきました。(まだ、時々いらっしゃいますが)おそらく、これまでの企業と福祉事業所の関係性を象徴していると感じました。企業は、障害者雇用に向き合おうとして障害者理解を進めています。次は、福祉事業所が企業理解に努めてもらえると、結果として働く障害者が増えるのではないでしょうか。

ABOUTこの記事をかいた人

上前 忠司 (イルネス障害者雇用総合研究所代表)

[障害者雇用コンサルタント]
企業向けに障害者雇用サポートを提供し、障害者の雇用定着に必要な環境整備・採用コーディネート、また障害者人材を活用した事業に関するアドバイスを実施。その他、船井総研とコラボした勉強会・見学会の開催やコラム執筆など、障害者雇用の普及に精力的に取り組んでいる。講演のご依頼や雇用に関する相談は、当サイトお問い合わせからお願いします。