就職活動を長引かせないために妥協に妥協を重ねた話

「障がい者枠なら就職は楽勝だな!」なんて完全に天狗な状態で、僕は就職活動をはじめました。

大学時代は障がいを隠した状態でも就職できたし、スキルやマナー、年齢、学歴なんかを考えると、障がい者枠で採用されない方がおかしいとさえ思っていました。加えて、就職に求める条件がやたらと高く、障がい者枠の現状について何も知らない状態でもありました。今思えば、本当に天狗ですし、置かれている状況を何も理解していないただのバカでした。

おバカな天狗だった僕は、ものの見事に書類選考で落ちます。採用はおろか、面接選考にすら進むことができません

数社の書類選考に落ちたときに「このままでは就職活動が長引いてしまう…」と僕は危機感を感じました。就職活動は長引けば長引くだけ不利ですし(障がい者ならなおさら)、モチベーションも下がります。そうなってはもうダメだと思い、僕は心を入れ替えました。

心を入れ替えた結果が「妥協に妥協を重ねること」でした。

今回は、障がい者枠での就職活動を長引かせないために「妥協」に「妥協」を重ね、二ヵ月弱で就職活動を終えた話について書いてみようと思います。

就職先に求めた高すぎる理想

まず、僕が実際に就職(希望)先に対して抱いていた理想について挙げてみます。

  • 正社員
  • 月収20万円以上+賞与
  • 勤務地は自宅から30分圏内
  • 特例子会社は嫌
  • 福利厚生がしっかりしている
  • 有休が取りやすい
  • ブラック企業ではない
  • やりたいことを仕事にしたい
  • データ入力とか単純すぎる仕事はしたくない
  • スーツ着たくない
  • 電話対応への配慮

という感じです。

「は?」と思うかもしれませんが、就職活動をはじめるまでは、心の底から上記の条件を望んでいましたし、それらを概ね満たす企業を探していました。

これは僕の思い過ごしかもしれませんが、障がい者枠で就職活動をしている人の多くは、僕と同じではなくても近しい理想を掲げて就職活動をしているのではないかと思います。(「正社員がいい」「給料は〇〇円以上」「勤務地は大阪市内」みたいな)

理想を求めるのは悪くないけど…

僕は何も「理想を求めることが悪いことだ!!!」なんていうつもりはありません。

僕は、障がい者であっても仕事に対して「こうしたい!」「ああしたい!」など、理想を持っていいし、理想を追い求めてもいいと思います。

ただ、「理想を実現するためには、それなりに経験を積み、それなりのスキルがないと難しい」ということだけは、認識しておかなければならないと思っています。

障がい者を雇うというのは、健常者を雇うのとはわけが違います。仕事内容や仕事環境、業務体系について配慮をしなければなりません。また、上長となる人や人事の人は、雇用した障がい者の障がい状況や特性についても理解をしなければなりません。

これは企業にとって負担なんですよね。

この負担を背負って企業は障害者雇用をするわけなので、雇ってもらう側だけが理想を実現しようなんてどだい無理な話なんです。
もし、「理想を実現したい」ということであれば、障がい者であっても企業に対してそれなりの対価を示さなければいけません。そのためにはそれなりの経験を積み、それなりのスキルがないとダメなんです。

障がい者であっても仕事に対して理想を掲げることは決して悪いことではありません。ですが、理想を実現するためには、それ相応の努力をしなければならない、そして結果を出していないといけないということだけは肝に銘じておくべきでしょう。

就活を長引かせないために妥協したこと

高々と理想を掲げ就職活動をしていた僕ですが、危機感を感じ妥協に妥協を重ねました。

その結果就職(希望)先に求めることは、以下のように変わりました。

  • アルバイトでもいい (妥協)
  • 給料は生活ができれば文句はいわない (妥協)
  • 多少遠くてもがんばろうかな (妥協)
  • でも特例子会社は嫌
  • 障がいへの配慮があるなら福利厚生に有無はいわない (妥協)
  • 週に二回休めれば、有休なんてなんのその (妥協)
  • やりたいことなんて仕事に求めません! (妥協)
  • やりたくない仕事でもやってやろうじゃないか!できる範囲で(妥協)
  • スーツもやっぱり着たくない!
  • 他はがんばるから、電話対応だけはどうにか配慮してほしい!

という感じです。

「よくここまで妥協できたな!」と自分でも感心しています(笑)

僕としては「今すぐ働けるのであれば!」という気持ちで妥協できるところは妥協しました。

「ここまでしなくてもよくない?」と思う人もいるかもしれません。ですが、ここまで妥協しないと就職活動は確実に長引いたのではないかと今でも思いますし、就職活動が長引いている他の障がい者の人を見ても同じように感じます

就職活動が長引く予感がしたら、すぐにでも「妥協」した方がいい

僕は就職活動が長引くことがすべて悪いことだとは思っていません。体調が悪いこともあるでしょうし、方向性が変わることで長引いてしまうこともあります。

ですが、ずーっと同じやり方をしていてうまくいかないのであれば、すぐにでも妥協した方がいいのではないかと思います。
正社員採用だけを求めているのであれば、アルバイトやパートにまで門戸を広げるべきです。給料についても、まずは無収入の現状から抜け出すことを考えた方がいいのではないかと思います。勤務地や福利厚生、有休、仕事内容、業種などについても同じです。妥協できるポイントはたくさんあります。

「そこまでして就職したくない!」と思うかもしれませんが、就職活動の期間に比例して増加するのは離職期間(無職期間)だけです。そして、働いていない期間が延びることは、就職活動に対してデメリットしかありません

もし、体調が整い、働けるスキルや自信がついているのであれば、むやみやたらと就職活動を長引かせず、妥協点を見つけてすぐにでも就職した方がいいのではないかと思っています。

さいごに:就職先から提示された条件について

僕は就職(希望)先に求める条件について妥協に妥協を重ね、いろいろと諦めて就職活動をしました。

その結果、とんとん拍子で就職が決まったわけですが、就職先から提示された条件はどうだったか?というと、最初に掲げた理想をほとんど実現できちゃっていました(笑)唯一叶わなかったのは給与くらいですね。あとはすべて理想の通りになりました。

不思議です。

理想を求めて就職活動をすればうまくいかないのに、理想を求めるのをやめ、妥協しまくって就職活動に乗り出した途端、就職が決まる。それも条件は理想通り。なんとも不思議な話です。

僕は無駄な欲がなくなり、素直に就職活動に挑めたことが要因だと思っています。

就職先に理想を求めて就職活動を進めるのは決して間違っていませんし、実現できるスキル・経験があるなら、それに越したことはないでしょう。でも、もしそれでうまくいかないのであれば、妥協した方がいいと思います。

理想に近づくために最初の一歩は妥協するくらいの気持ちでもいいのではないかと思います。

ABOUTこの記事をかいた人

▼プロフィール:
就労移行支援を経て、大手電機メーカーに障害者として就職。診断名はADHD(注意欠陥多動障害)。吃音症と糖尿病も併せ持ちます。集中力のなさと、物忘れが多い半面、情報処理は異常に速い。言ってはいけないことを言ってしまい怒られることもしばしば。ミルマガジンでは、障害者として就職活動をしたこと、就職している実体験について主に書いています。