助成金を知る『障害者雇用安定助成金 障害者職場定着支援コース』

障害者法定雇用率を目指すためには、新たな求人を募って障害者を採用する方法と現在雇用している障害者が退職しないための策を講じることが必要です。

「障害者」とひと言でいっても、その特徴や症状は様々で、障害者手帳に記されている障害名が同様であっても、その人に適した配慮であったり周囲が気を付ける点が違うというのは、障害者雇用の現場ではよくいわれていることです。このように一定の方法の取りにくさが、障害者雇用にとってブレーキとなり進みを悪くしてしまいますし、障害者雇用の邪魔をしている理由のひとつだと感じています。

今後、障害者の雇用定着には、こういった個々の障害特性に応じて、「雇用のマネジメント」「雇用形態の見直し」「働くスタイルの工夫」をするといったことが事業主や人事担当者に求められています。 実は、このような障害者の雇用定着のために職場で講じる色々な措置に対して、助成をしてくれる法律があります。もしこの助成金の対象となるのであれば企業にとってもメリットになるでしょう。 今回は『障害者雇用安定助成金 障害者職場定着支援コース』といわれる助成制度をご紹介したいと思います。

障害者雇用安定助成金 障害者職場定着支援コースとは

『障害者雇用安定助成金 障害者職場定着支援コース』

【概要】

実はこの制度、職場で講じる措置を大きく6つのタイプに分けて設けられています。 ひとつひとつの措置を説明すると非常に長くなってしまいますので、ここでは要約してご説明していこうと思います。

【詳細】

管轄:各地域の労働局

条件:① 雇用保険適用事業所の事業主 ② 過去に不正受給などをしていない事業主 ③ 計画期間内に職場定着に係る措置に取り組んだ事業主であること など

支給額:
《短時間労働者以外(週の労働時間が30時間以上)の雇い入れ》
・大企業は「50万円(1年間・第一期25万円 第二期25万円)」
・中小企業は「135万円(1年6ヶ月・第一期45万円 第二期45万円 第三期45万円)」
《短時間労働者(週の労働時間が20時間以上30時間未満)の雇い入れ》
・大企業は「30万円(1年間・第一期15万円 第二期15万円)」
・中小企業は「90万円(1年6ヶ月・第一期30万円 第二期30万円 第三期30万円)」

注意点:職場定着支援計画は、計画の開始日の前日から起算して1か月前までに管轄労働局に提出してください。

厚生労働省HP  「障害者雇用安定助成金 障害者職場定着支援コース」のご案内

【各措置の紹介】

《措置1》柔軟な時間管理・休憩取得

内 容:「①労働時間の調整」「②通院や入院のための通常の有給休暇以外の有給休暇の付与」に該当する措置を継続的に講じた場合
支給額:最長1年間で8万円(6万円)〔4万円(3万円)×2期〕
※1期は6ヶ月
※()は中小企業以外の事業主が該当(以降も)

《措置2》 短時間労働者の勤務時間延長

内 容:「①週の労働時間20時間未満の労働者について、週の労働時間20時間以上30時間未満または30時間以上に延長」「②週の労働時間20時間20時間以上30時間未満の労働者について、30時間以上に延長」に該当する措置を継続的に講じた場合
支給額:「重度身体障害者、重度知的障害者および精神障害者」の場合
『20時間未満→30時間以上』
最長1年間54万円(40万円)〔27万円(20万円)×2期〕
『20時間未満→20時間以上30時間未満』
最長1年間27万円(20万円)〔13.5万円(10万円)×2期〕
『20時間以上30時間未満→30時間以上』
最長1年間27万円(20万円)〔13.5万円(10万円)×2期〕
「重度身体障害者、重度知的障害者および精神障害者以外」の場合
『20時間未満→30時間以上』
最長1年間40万円(30万円)〔20万円(15万円)×2期〕
『20時間未満→20時間以上30時間未満』
最長1年間20万円(15万円)〔10万円(7.5万円)×2期〕
『20時間以上30時間未満→30時間以上』
最長1年間20万円(15万円)〔10万円(7.5万円)×2期〕

《措置3》正規・無期転換

内 容:「①有期契約労働者を正規雇用労働者または無期雇用労働者に転換」「②無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換」に該当する措置を継続的に講じた場合

支給額:「重度身体障害者、重度知的障害者および精神障害者」の場合
『有期雇用→正規雇用』
最長1年間120万円(90万円)〔60万円(45万円)×2期〕
『有期雇用→無期雇用』
最長1年間60万円(45万円)〔30万円(22.5万円)×2期〕
『無期雇用→正規雇用』
最長1年間60万円(45万円)〔30万円(22.5万円)×2期〕
「重度身体障害者、重度知的障害者および精神障害者以外」の場合
『有期雇用→正規雇用』
最長1年間90万円(67.5万円)〔45万円(33.5万円)×2期〕
※中小企業以外の2期目は34万円
『有期雇用→無期雇用』
最長1年間45万円(33万円)〔22.5万円(16.5万円)×2期〕
『無期雇用→正規雇用』
最長1年間45万円(33万円)〔22.5万円(16.5万円)×2期〕

《措置4》職場支援員の配置

内 容:業務の遂行に必要な援助や指導を行う職場支援員を「①雇用」「②業務委託」「③委託」のいずれかの方法で配置した場合

支給額:「短時間労働者以外」の場合
最長2年間(精神障害者は3年)で月額4万円(3万円)〔24万円(18万円)×4期(6期)〕
「短時間労働者」の場合
最長2年間(精神障害者は3年)で月額2万円(1.5万円)〔12万円(9万円)×4期(6期)〕

《措置5》職場復帰支援

内 容:中途障害者等(雇用後に事故や病気による障害)に対して、職場復帰後の本人の能力に合わせて、「①時間的配慮等(労働時間の調整等)」「②職務開発等(職域開拓や職種の転換等)」の措置を講じた場合

支給額:最長1年間で月額6万円(4.5万円)〔36万円(27万円)×2期〕

《措置6》社内理解の促進

内 容:障害者の就労の支援に関する知識等を習得させるため、次の①および②のいずれにも該当する講習を申請事業主の雇用する労働者に受講させた場合

① 講習時間が1回につき1時間以上であること(対象者が同一であり、内容に連続性のある講習については、当該講習の初回から最終回までの全回で1回 とみなします)
② 次のイ~ハのいずれかの講習方法・内容であること
イ、障害に関する知識や障害者と働く上での配慮事項等の障害者の就労の支援に関する 知識を習得させるための、次の(イ)~(ホ)のいずれかによる講習方法・内容であること
(イ) 医師、精神保健福祉士、臨床心理士、臨床発達心理士、社会福祉士、作業療法士、 看護師または保健師
(ロ) 障害に関する専門的知識及び技術を有する学識経験者
(ハ) 障害者の就労支援に係る経験を3年以上有する者
(ニ) 障害者の雇用管理に係る経験を3年以上有する者
(ホ) 事業所で雇用されている障害者
ロ、現に雇用されている障害者に係る障害特性や配慮事項等の共有等のための講習
ハ、 当該事業所以外の機関が実施する障害者の支援に関する講習

支給額:「経費が5万円以上10万円未満」の場合
最長1年間で3万円(2万円)
「経費が10万円以上20万円未満」の場合
最長1年間で6万円(4.5万円)
「経費が20万円以上」の場合
最長1年間で12万円(9万円)

障害者雇用安定助成金 障害者職場定着支援コースのポイント

当然のことながら、上記にご説明してきましたような措置を講じる予定のある企業にとっては、メリットになる内容だと思いますので、一度労働局へご相談ください。

受給される金額は、講じる措置により大きく違いがありますが、不足している時には納付金(罰金)を支払う義務があるのであれば、障害者の雇用定着のために活用できる助成金を受給する義務もあります。少しでも企業の負担を軽減することは、障害者雇用の邪魔となる障壁を下げてもくれます。 是非、人事担当者の方々は法定雇用率を達成させるための色々な情報を取得する網を張っていてください。

当ミルマガジンでは、なるべく分かりやすく解説をするつもりですが、受給を検討される際は必ず管轄の労働局や各種助成制度の窓口に問合せしてください。

ABOUTこの記事をかいた人

上前 忠司 (日本障害者雇用総合研究所代表)

[障害者雇用コンサルタント] 雇用義務のある企業向けに障害者雇用サポートを提供し、障害者の雇用定着に必要な環境整備・人事向け採用コーディネート・助成金相談、また障害者人材を活かした事業に関するアドバイスを実施。障害者雇用メリットの最大化を提案。その他、船井総研とコラボした勉強会・見学会の開催や助成金講座の講師やコラム執筆など、障害者雇用の普及に精力的に取り組んでいる。