助成金を知る『障がい者トライアル雇用』

2017年12月に厚生労働省から発表されました「平成29年 障害者雇用状況の集計結果」の中に企業の障がい者法定雇用率の実雇用率状況の報告という項目があります。これは、平成29年時の法定雇用率である2.0%の雇用義務の対象となる企業約91,000社の実際の雇用率を表しています。こちらの数字を見てみますと、全体では実雇用率が1.97%となり前年の1.92%を0.05ポイント上回っていますので障がい者の雇用が増えていることを示しています。次にこの実雇用率を企業規模別に見てみると下記のような数値が見えてきます。

「従業員数1,000人以上」      2.16%
「従業員数500~1,000人未満」   1.97%
「従業員数300~500人未満」    1.82%
「従業員数100~300人未満」    1.81%
「従業員数50~100人未満」     1.60%

各企業規模共に前年よりも実雇用率は同数以上となっているのですが、「従業員数1,000人以上」「従業員数500~1,000人未満」を除く企業規模では、障害者雇用の実雇用率が全体の数値よりも下回っており、従業員数が少ない企業になるほど実雇用率が悪くなっています。「従業員数50~100人未満」の企業に関しては、納付金制度(罰金)の対象となっていないですから、不足していても積極的に障がい者求人を出そうとはならないのが現実です。

このように障がい者の雇用実績がなかったり、採用に躊躇している企業が活用することでメリットのある助成金制度をご存知でしょうか。

もしご存知ない人事担当者がいらっしゃるのであれば必見です。これから障がい者の求人を出そうか迷っているタイミングであれば、今回ご紹介する助成金制度『障がい者トライアル雇用』の活用を検討してみてはどうでしょうか。

障がい者トライアル雇用とは

『障がい者トライアル雇用』

【概要】この制度は、これから障がい者の雇用に取り組む企業が原則として3ヶ月間の試行雇用をすることで、「本人の適性や能力の見極め」をした上で、継続した雇用に移行することができます。これは、実際に働いている様子を確認してから判断をすることになりますから、障がい者の雇用時に発生しやすい、ミスマッチを防ぐことができます。また、トライアル期間を設けることで障がい者の雇用に躊躇する企業の不安解消にもつながります。

【詳細】

管轄:各地域の労働局

条件:① ハローワークや特定の民間職業紹介事業者からの雇い入れ ② 雇用保険適用事業所の事業主 ③ 過去に不正受給などをしていない事業主

支給額:通常「月額4万円」
・重度身体障がい者、重度知的障がい者、精神障がい者
・トライアル期間3ヶ月×週20時間以上
・初めて精神障がい者の雇用時は「月額8万円」を支給
短時間「月額2万円」※障がい者短時間トライアル雇用
・精神障がい者、発達障がい者
・トライアル期間3~12ヶ月×週10時間以上

注意点:下記に該当する場合は支給を受けることができません。

  1.  トライアル雇用を開始した日の前日から起算して6ヶ月前の日から障がい者トライアル雇用期間を終了する日までの期間に当該事業所において会社都合による退職者がいる場合
  2.  過去3年間に自社で働いた経験のある人材の場合
  3.  代表者などの3親等以内の障がい者を雇用する場合  など

また、受給を検討される際は所管の労働局へ問合せしてください。

厚生労働省HPより「障がい者トライアル雇用」のご案内

障がい者トライアル雇用を活用すべき企業とは

① 障害者雇用経験のない企業

雇用経験がない場合、全体に掛かる労力や時間なども読みづらいため、コストについても極力抑えて求人活動をしたいと考えると思います。 そのような時、障害者雇用を始める企業を対象に費用の一部を補助として受給することができる制度となりますから、求人の際には活用することを検討してください。

② 雇用のミスマッチを減らしたい

障害者雇用を会社の根付かせるために越えていくハードルというものがいくつかあります。そのひとつが、「雇用のミスマッチを減らす」という点です。できる限り本採用を決定してからの採用判断ミスは避けたいものです。そのような場合、トライアル期間を通じて障がい者本人の適性や能力を見極めた後で、継続した雇用に切り替えることができますので、大きなトラブルの回避にもつながるでしょう。

③ 理解不足でも雇用したい

越えるハードルには「従業員の理解不足」というのもあります。頭では分かっていても、いざ障がい者と一緒に働くとなると周囲の従業員は構えてしまいますし、人事担当者としても本当に大丈夫なのかという不安な気持ちになるのではないでしょうか。

これまでの経験で、「話で聞く」ことよりも「実際に自分の目で確かめる」というのが障害者雇用には必要です。「百聞は一見に如かず」といったところです。 本採用後に従業員の皆さんが安心な気持ちで障がい者と働くためにも、トライアル期間というものが有効的な働きをします。 やはり、義務感だけで進めるのではなく従業員が障がい者と働くことの必要性を心から感じるようにすることが重要です。

障がい者トライアル雇用のポイント

この『障がい者トライアル雇用』は、障がい者の雇用に関する助成金関連の法律の中で、精神障がい者や発達障がい者の採用時に活用されるケースが多い制度です。

2018年度以降、今よりも障害者雇用が活発になりますから、こちらの制度の活用頻度も上がると思います。 この制度の大きな特徴は本採用までの「助走期間」を法的に用意されているという点です。障害者雇用を進める上で、いくつかの障壁や邪魔となる存在があります。しかし、人事担当者はそれらを乗り越えていかないといけない役割となります。 そのハードな役割を少しでも軽減し、メリットをもたらす助成金制度を活用できるようになると、今よりも障害者雇用が進めやすくなると思います。

当ミルマガジンでは、なるべく分かりやすく解説をするつもりですが、受給を検討される際は必ず管轄の労働局や各種助成制度の窓口に問合せしてください。

ABOUTこの記事をかいた人

[障害者雇用コンサルタント]
雇用義務のある企業向けに障害者雇用サポートを提供し、障害者の雇用定着に必要な環境整備・人事向け採用コーディネート・助成金相談、また障害者人材を活かした事業に関するアドバイスを実施。障害者雇用メリットの最大化を提案。その他、船井総研とコラボした勉強会・見学会の開催や助成金講座の講師やコラム執筆など、障害者雇用の普及に精力的に取り組んでいる。

▼アドバイス実施先(一部抜粋)
・opzt株式会社・川崎重工業株式会社・株式会社神戸製鋼所・沢井製薬株式会社・株式会社セイデン・日本開発株式会社・日本電産株式会社・株式会社ティーエルエス・パナソニック株式会社・大阪富士工業株式会社・株式会社船井総合研究所・株式会社リビングプラットフォーム