皆さんは、障がい者を採用する時にはどのような方法を取られていますでしょうか。既にしっかりとした採用ルートをお持ちでしたら、今後の法改正や人材の動向を注意しておけば大丈夫でしょう。今回ご紹介させていただくのは、来年度に施行される法定雇用率アップや精神障がい者の雇用義務化に向けて、障がい者の求人方法を模索している採用担当者様からのご相談です。
今回のご相談は障がい者人材の採用に関する内容です。ご相談内容にもありましたように来年度は「法定雇用率アップ」「精神障がい者の雇用義務化」が施行されるために、今後の採用活動に大きな影響が出ることになりますし、採用担当者にとっては心配事のひとつとなり得る話です。
障がい者の採用の多くはハローワークを活用しているのではないでしょうか。これからご紹介するように、障がい者の採用ルートは数年前に比べてとても多くなりました。しかし、未だに求職中の障がい者のほとんどはまずハローワークに相談をしています。これは、障がい者ということで福祉的な側面という特徴と就職だけではなく生活部分の相談には行政機関とのやり取りが必要になりますのでその延長線上としてハローワークという存在を活用するのが大きな理由のひとつとなっているからです。
それでは、ハローワーク以外で障がい者採用を進める場合どのようなルートがあるのでしょうか。
先ずは、障がい者の就労支援に携わっている福祉事業所になります。特にその中でも一般企業への就職を目的とした訓練を障がい者に提供している「就労移行支援事業所」と呼ばれるものがあります。2017年現在、全国で事業登録されている数は3,000ヶ所を超えており、今も新規の事業所開設が続いています。
特徴としては、実際に企業で働くために必要な基本的なビジネスマナー(挨拶・身だしなみ・生活リズム など)はもちろん、それぞれの業種や仕事に合わせたビジネススキル(事務=事務機器操作、倉庫=検品作業、販売=陳列・レジ操作 など)を障がいを持つ求職者の人たちが学べるようになっています。通える期間は2年間で、その間に実践に使える各マナーやスキルを身に付けて就職していく流れとなっています。また、就職後も障がい者と職場へのフォロー対応もしてくれるため、企業にとっては専門的なバックアップを受けられるので安心して採用活動ができます。
また、最近では「発達障がい者専門」のような広い範囲での支援ではなく、決まった障がいの特性に特化したサービスを提供する事業所も増えてきています。特化することで、より専門性の高い訓練の提供とサポートを実現しています。
次は求職中の障がい者を紹介してもらえる人材会社になります。近年、数としては少ないのですが、企業ニーズの高まりに合わせて増えてきています。ハローワークや就労移行支援事業所と違い、採用が決まった時点で紹介手数料が発生しますが、事前にこちらの要望などを踏まえた人選をした方をご紹介していただけます。また、人材会社に登録をして就職活動をしている障がい者は、就職に対する意識の高い方であったり、ビジネスマナーやスキルもしっかりと習得している人材が多いように感じます。
人材会社もそれぞれに特徴が見られます。例えば、合同面接会を定期的に開催し、一度に多くの障がい者を集客するサービスや就労移行支援事業所にも見られた特定の障がいに特化して人材を紹介する会社があります。各人材会社によって強味やサービスに違いがありますので、自社の要望に適したところを利用されると良いのではないでしょうか。
上記以外の採用に関する相談に対応してもらえる先としては、「障がい者職業センター」「障がい者職業リハビリテーションセンター・職業訓練校」「特別支援学校」「障がい者就労・生活支援センター」などがあります。
主には国や地方の行政機関だったり、自治体からの委託事業という形態になります。例えば、「障がい者職業センター」とは、独立行政法人 高齢・障がい・求職者雇用開発機構にある部門で、障がい者の就職を後押しする機関として各都道府県に配置されています。障がい者の採用に関する相談はもちろん、既に採用している障がい者で支援を受けていない方の場合、こちらの職業センターからジョブコーチ(職場適応援助者)の派遣などを行い、企業の困りごとに対するサポートも受け付けています。
補足になりますが、私のような企業ごとに必要な障害者雇用に関する具体的アドバイスや環境作りなどのコーディネートをしてくれるコンサルタントも出てきました。
障害者雇用定着の難しさは、必要な取組みが個々の企業によって違っており、他の企業で成功した方法をそのまま当てはめることが出来にくい点にあります。コンサルタントはそういった部分を企業ごとに枠組みから具体的な落とし込みまで導いてくれる点が大きな特徴と言えます。