インタビュー:移行支援事業所 Kaien東三国

今回ミルマガジンでご紹介するのは大阪市淀川区にある移行支援事業所「Kaien東三国」です。2023年12月にOPENしたばかりの新しい事業所ですが、「発達障がい×しごと×強み」をキーワードに、開所1年弱ですでに10名以上の就職者を送り出しています。

インタビューにご協力をいただいたのは、同事業所のスタッフで理学療法士の槇原史乃(まきはら・あやの)さん、職業訓練講師の吉本博(よしもと・ひろし)さんです。

1.読者向けに施設の紹介をお願いします。

槇原さん:Kaien東三国は、発達障がいのある方たちを中心に、それぞれの特性が強みとして発揮できるよう、個別性を重視した支援を行っています。
Kaien自体は2009年の創業で、全国で25事業所を展開しています。これまで学業や仕事で苦労していた方も、仕事内容や環境が変わるだけで戦力になっていくことを、2000名以上の就職事例で証明してきました。就労後も継続して社会で活躍できるよう、定着支援も行っています。

2.施設で提供している支援の内容とその流れを教えてください。

槇原さん:おおまかな一日の流れとしては、午前中にオンライン講座で社会生活や就職に必要な知識を学んでいただき、午後に職業訓練を行います。職業訓練は「模擬職場」をコンセプトに、事務・IT・デザイン・軽作業など、その方の特性や興味にあわせた職業を体験していただけます。また、個別のキャリアカウンセリングや、面接対策・書類添削なども随時行っています。

吉本さん:Kaienは特にITやクリエイティブ分野に強みがあると、企業や当事者の方から認識いただいています。エクセルやプログラミングの基礎から実践的なスキルまでを学べる環境を提供しています。これにより、技術を習得した上で、自分に合った仕事に就くための準備ができます。

生成AI活用講座より

3.支援に関して、今後力を入れていきたいことはありますか?

槇原さん:Kaien東三国は、9月から「IT強化拠点」となりました。もともと当社はITに強みを持っていますが、その中でも、吉本さんのようなITに精通した講師が、他の拠点に比べて充実しています。
ITやクリエイティブな分野での就労を希望する利用者の方が増えてきているため、それに対応した訓練プログラムの充実を図っていきます。

吉本さん:PythonやVBAといったプログラミングを応用する職業体験はもちろんですが、最近では生成AIの活用に力を入れ始めました。その一環で、10月から週に一度「生成AI活用講座」を実施しています。AIは発達障がいの方々が持つ特性を補完するツールとして非常に有効です。AIの開発者を目指すだけでなく、上手な使い方を学ぶことでその他の職種を目指す方にも役立つものとなっていくはずです。

4.現在の障がい者の就労・就職全般に感じる問題点・困っている事はありますか?

槇原さん:就職後の安定が一つの大きな課題です。企業とのコミュニケーションや環境の不備で、働き続けることが難しい場合があります。また、障がい者と企業の間で配慮事項にすれ違いが生じることも多いため、そこを支援機関としてサポートする必要があります。

吉本さん:企業が当事者の方の持つ力をうまく活かしきれていないと感じます。障がい者に限らず、新しい人材を活かすためのノウハウを企業側が持つことが重要です。私たちもそのノウハウを提供し、サポートしています。

5.障がい者の受け入れに悩んでいる企業へのエールをお願いします。

槇原さん:企業にとって障がい者を受け入れることは、初めての経験であれば特に難しく感じることも多いでしょう。しかし、私たちのような支援機関が、企業と障がい者の間をつなぎ、互いに良好な環境を築く手助けをしていますので、安心して取り組んでいただければと思います。

吉本さん:発達障がい者の「デコボコ」は、時には大きな強みになります。特にITやクリエイティブな分野ではその強みが発揮されやすく、企業にとっても新たな価値を生み出す可能性があります。お互いにサポートし合うことで、良い関係を築いていきましょう。

6.就職準備中・求職活動中の障がいを持った方へのエールをお願いします。

槇原さん:就職活動や職場での困難に直面している方も多いかと思いますが、必ず自分の強みを活かせる環境はあります。それを見つけるために、ぜひ私たちのような支援機関を活用してほしいです。1人で悩まず、相談してみてください。

吉本さん:自分の得意分野や好きなことを大切にしてください。たとえそれが趣味や興味程度であっても、仕事につながる可能性はあります。私たちは、その興味や強みを見つける手助けをしていきたいと思います。

施設名:Kaien東三国
代表者名:鈴木慶太
設立日:2023年12月1日
業種:就労支援事業/人材サービス事業/教育事業/その他(啓発事業等)
所在地:〒532-0002 大阪府大阪市淀川区東三国2丁目34−1 ハイランドビル 5階
ホームページ:https://www.kaien-lab.com/offices/hm/
事業内容:就労支援事業

ABOUTこの記事をかいた人

[障害者雇用コンサルタント]
雇用義務のある企業向けに障害者雇用サポートを提供し、障害者の雇用定着に必要な環境整備・人事向け採用コーディネート・助成金相談、また障害者人材を活かした事業に関するアドバイスを実施。障害者雇用メリットの最大化を提案。その他、船井総研とコラボした勉強会・見学会の開催や助成金講座の講師やコラム執筆など、障害者雇用の普及に精力的に取り組んでいる。

▼アドバイス実施先(一部抜粋)
・opzt株式会社・川崎重工業株式会社・株式会社神戸製鋼所・沢井製薬株式会社・株式会社セイデン・日本開発株式会社・日本電産株式会社・株式会社ティーエルエス・パナソニック株式会社・大阪富士工業株式会社・株式会社船井総合研究所・株式会社リビングプラットフォーム