厚生労働省から発表される「障害者雇用状況報告」によると、企業規模別で障がい者の実雇用率を見た場合、常用雇用労働者が最も少ない50〜100名のゾーンの障害者雇用実績が最も悪い数字となっています。(実雇用率1.60%、全体では1.97%)
「障害者雇用=企業の負担増」というイメージを持っていたなら、規模の小さい企業にとっては、進んで取り組もうという意識は生まれにくいのではないでしょうか。
今回、ミルマガジンのインタビューにご協力いただいたのは、大阪府摂津市にあります「株式会社エムツープレスト」様です。こちら会社は、障がい者の雇用義務のない従業員数21名の会社になります。今回のインタビューでは、規模の小さい企業であっても、「障害者雇用が企業のメリットとなる」事例を代表取締役の増本様からお聞きすることができました。
Q1.読者向けに会社の紹介をお願いします。
Q2.障害者雇用に取り組んだ経緯やキッカケを教えてください。
その後、工場見学に来て頂いたのですが、障害者雇用に関して非常に可能性がある会社であるといって頂きました。
弊社も工場内の軽作業に関して人材不足であり、以前から障がい雇用に多少興味もありましたので、知識不足の面はありましたがご支援を頂きながら、
そこから9ヶ月の間に延べ22名の実習を受け入れました。
そして、2017年の4月に3名の障がい者を雇用させて頂きました。
Q3.準備段階や開始当初の失敗談や苦労はありましたか?また、その克服方法は何でしたか?
少なくとも現場の管理者は時間をそれなりに割かなければいけないですし、障がいに関する知識も必要になってきます。
特性に合わせて作業の種類を変えたり、間違いのないやり方を考えたりしながら、出来ない点に着目するよりも何が得意として向いているか、
どうやったら出来るようになるかを考えるようにしております。
同じ職場で働くパートさんの不満がでた時期もありました。条件面では対して差がないのが現状です。
ただ、女性が多い部署ですので、力仕事で助かったり、単純作業で量がある仕事をお願いできるので、その間に違う仕事を進めることができます。
お子さんがまだ小さいパートさんも多いので、行事ごとや体調面などの急な休みが多くなりがちですが、彼らが遅れず休まず来てくれていることで、日々の生産の安定がはかれています。
最初はどう対応したらいいか分からなかったパートさんも、積極的に声掛けやアドバイスができるようになり、不要なストレスは減ってきております。
以前から行なっている3S活動(整理・整頓・清掃)は非常に役に立っています。
表示や標識、モノの定位置化など、だれでも分かりやすい職場環境は、障がい者・健常者に関わらず大切なことです。
Q4.障害者雇用に関する勉強はどの様にしていますか?また、情報収集の方法も教えてください。
あとは障がい関連の書籍を読んだりしております。どちらかといえば弊社の場合、ご支援を頂きながらの実践での学びが多いです。
そこでぶち当たった課題に関して、相談したり学んだりと知識を補っているのが現状です。
Q5.障害者雇用の為に社内で新たに始めたことはありますか?
障がい特性の理解や声掛けの仕方など管理者が学んだことを周りの人にもフィードバックしております。
作業の仕方や治具の活用など、毎日試行錯誤ではありますが、彼らができる作業を1つでも増やしていこうという認識は全員で持っております。
Q6.障害者雇用の為に利用したサービスはありますか?
実習・インターンを継続的に受け入れているのもありますが、定着支援もして頂けておりますし、
さまざまな疑問や悩みごとは都度、担当者レベルでやりとりさせて頂いております。
Q7.障害者雇用を始めて感じたメリットはありますか?
彼らが来てくれたことによって働きやすい職場環境にしていく意識が上がりました。
純粋に人間として見習うべき点も多いです(挨拶、素直さ、まじめさ、働ける喜び、裏表なし)。
管理者や共に働く人の伝える力や指導力が上がった。会社の雰囲気も良くなりました。
Q8.今現在、障害者雇用においての目標は何ですか?
変な特別扱いやボランティア精神は会社のためにも本人のためにもならないと思っています。
Q9.障害者雇用に取り組もうか悩んでいる企業へのエールをお願いします。
うちではとても難しいと思われる企業様が多いのは致し方ない部分もありますが、実習からでも始めて頂いて、障がい者の方をよく知ることが大切だと思います。
仕事の切り分けがうまくいけば、どんな企業においても障害者雇用に繋がるチャンスはあると思います。
必ず貴重な戦力になり、会社も変わりますので、是非チャレンジしてみてください。
Q10.さいごに、就職準備中・求職活動中の障がいを持った方へのエールをお願いします。
でも、働きたい気持ちやまじめに一生懸命働くことに、障がいの有る無しは関係ないと思います。
必ず自分に適した職業があると思いますので、弱みではなく強みを活かして働くことができる場をサポート頂ける方とともに探してもらえたらと思います。
弊社の障害者雇用も始まったばかりですが、共に働く仲間と一緒に、人と比べるのではなく、自分自身が少しでも成長していける場になるように努めていきます。
インタビューにご協力いただきありがとうございました。
会社名:株式会社エムツープレスト
代表者名:代表取締役 増本晃明
設立日:2009年4月1日
業種:製造業
所在地:〒566−0045 大阪府摂津市南別府町15−20
ホームページ:https://www.m2-p.com/
事業内容:トムソン型による打ち抜き加工業
柔らかい素材とは、「はさみで切ることができるものなら何でも」と定義し、ゴムシート・発泡品(スポンジ)・フィルム・両面テープなど幅広いです。
業界としては、工業用部品・電子部品・自動車部品・建築部品・各種パッキン・雑貨等あらゆるところで活躍しているものに携わっております。