仕事で活かせるスキルなんて仕事を通してしか身につかない

こんにちは!

就職するまでも比較的勉強はしていたんですが、就職してからの方が勉強にチカラを入れだした中村です。

障害者雇用で就職を目指している障がい者の方、また彼らを支援する方の中には、

  • 「就職のためにはExcelを学んだ方がいい」
  • 「就職のためには何か資格を取得した方がいい」
  • 「就職のためには電話対応ができた方がいい」
  • 「就職のためにはタイピングができた方がいい」

と就職するために何かしらスキルを身に付けた方がいいと思っている人がいるかもしれません。

ただ、僕はこれは「正しくない」と思っています。間違っていると言わないのは、間違ってはいないからです。正しくないだけ。

もちろん、ある程度のスキルは身につけておいた方がいいですし、スキルがないと就職できない企業もあります。

ですが、仕事で活かせるスキルや能力なんて、仕事を通してしか身につかないですし、活かせないのが事実です。今回は、就職したからこそ感じるスキルに関することについて書いてみようと思います。

就職するためにスキルを身につけることもたしかに必要

仕事で活かせるスキルは仕事を通してしか身につかないとは言ったものの、就職するためにはある程度スキルが必要なことはたしかです。

データ入力がメインの仕事であればタイピングは必要でしょうし、資料作成がメインの仕事であればPowerPointやExcel、Wordが使える必要があります。

ただ、就職するためのスキルというのは必要最低限で大丈夫だと思っています。

というのも、実務経験(仕事で使ったこと)のないスキルなんてものは企業側は評価してくれないからです。なので、必要以上にスキルを磨こうとする必要はありません。

それよりもさっさと就職してしまって、スキルを磨いて、実務経験を積んで、ステップアップを考えた方がいいと思います。

就職活動のためだけにスキルや知識を身につけるのは容易ではない

僕が「仕事で活かせるスキルや仕事を通してしか身につかない!」というのは、使うかどうかわからないスキルはいくら勉強したって身につかないですし、そもそもモチベーションが上がらないと思うからです。

就労移行支援に通っているときに、僕もExcelやWordを勉強しようと思ったことがありました。

なぜ勉強しようと思ったのか?というと、他の利用者の方々がExcelなどの勉強をしていたのと、ExcelやWordが使えると就職活動に有利だよみたいなことを聞いたからです。

ですが、実際に勉強することはありませんでした。

それはもともと使えるということもありましたが、それ以前にモチベーションが上がらなかったというのが一番の理由です。

みなさんも中学生や高校生のころのことを振り返ってもらえればよくわかるかもしれません。高校受験や大学受験に向けて、英語や数学、漢字、歴史、地理、化学、物理などさまざまな科目を勉強したと思いますが、内容はどれくらい覚えていますか?

ほとんど覚えていないのではないかと思います。

もちろん、中には必死に勉強したことだから覚えているという人もいるかもしれませんが、受験時に比べれば天と地ほどの差があると思います。

ですが、一方で今生きるために必要な知識やビジネスマナーはしっかりと覚えていますよね?

人間は、本当に必要だと感じることはちゃんと身につけられますし、身につきます。一方で、必要なのかどうか不明確なものや、一時点でのみ必要とされる(就活や受験)スキルや知識については、身につきにくく、身についたとしてもすぐに消えてなくなります。

なので、就職活動で有利になるからという理由で過度にスキルを磨いたり、資格を取得しようとする必要はないです。仕事で本当に必要であれば、身につきますし、身につく速度も圧倒的ですから。

就職してからの方が圧倒的なスピードでスキルは身につくし、活かせるスキルが身につく

必要なのかわからないようなスキルや知識は身につかないですが、「これは覚えないとヤバイ」「これが身につけば仕事がはかどる」と心から感じたことについては圧倒的な速度で身につきます。

僕はこのことに就職してから気が付きました。

僕は就職するまで「Excelは調べたらある程度のことはできるというレベル」でした。初級と中級の間くらいの一番中途半端なレベルです。

そのため、最初Excelの仕事を任されたときは、使うべき関数もわからず、使い方もわからないので、グーグル先生に聞いてばかりいました。仕事は全然前に進まないですし、やりたいことをやれずにもどかしさを感じていました。

そのときにはじめて「Excelのスキルを磨きたい!」と思いました。そのときからはExcelが身につくまではあっという間でした。期間としては2週間もかからなかったと記憶しています。

まだまだ難しいことはできないですが、中級レベルくらいなら調べずにできますし、やりたいこともやれるようになりました。正直、こんなにExcelのスキルが身につくとは思ってもいなかったので、自分でも驚いています。

今改めて感じるのは、本当に必要だと思えるスキルや知識は否が応でも身につくってことです。もちろん、それなりの努力はしましたが、目的もなく努力をするよりも遥かに効率的に身につけられたことはたしかです。

スキルありきで仕事を探すのではなくて、仕事を通してスキルを磨くべき

僕が就労移行支援に通っているときに、「???」と思っていたのは、「スキルや知識の棚卸しをして(自分には何ができて、何ができないのか?を知ること)、得意なことを仕事にしましょう!」的なことでした。

障がい者、特にスキルや知識に偏りがある発達障がいの方には、適切な教えなのかもしれません。

ですが、スキルありきで仕事を探せる障がい者は、就労移行支援などの福祉サービスを活用しなくとも就職はできます。スキルありきで仕事を探せる人というのは、実務経験が伴っていて、スキルや知識の活かしどころをわかっている人たちだからです。

逆に、就労移行支援をはじめとした福祉サービスを利用している人の多くは、スキルや知識を身につけてはいるけど、実務経験もなく、どうやってスキルや知識を活かせるのかはわかっていない状態です。それは僕も同じでした。

なので、スキルがあるから、資格があるからという理由で仕事を探すべきではないと思います。

むしろ、使いこなせていないスキルや資格を磨くために仕事先を選ぶべきですし、そういったスタンスで就職活動をした方がいいのではないかと思います。

さいごに

障害者雇用におけるスキルや資格、知識の習得について書いてみました。

スキルや知識を身につけたり、資格を取得することがダメだとは思っていません。ですが、そこに集中するあまり、本来の目的である就職が遠ざかってはもともこもありません。

実務経験がないスキルや資格を認めてくれるほど会社は甘くありません。

「資格を取得してから就職活動をはじめます」「Excelがある程度身についてから就職先を探します」といっている人は、すぐにでも就職した方がいいと思います。資格もスキルも就職してからの方が、早く身につきますし、職場での評価も上がります。

今取り組まれていることが無駄ではありませんが、本来の目的から遠ざかる取り組みであるなら、すぐにでも本来の目的・目標に向かうべきではないでしょうか?

ABOUTこの記事をかいた人

▼プロフィール:
就労移行支援を経て、大手電機メーカーに障害者として就職。診断名はADHD(注意欠陥多動障害)。吃音症と糖尿病も併せ持ちます。集中力のなさと、物忘れが多い半面、情報処理は異常に速い。言ってはいけないことを言ってしまい怒られることもしばしば。ミルマガジンでは、障害者として就職活動をしたこと、就職している実体験について主に書いています。