【Q&A】障がい者が転職活動でおさえておきたい4つのポイント(後編)

前回の続き

②,今の自分に合わせて求職の手段を選択

企業の求人へのエントリーもいくつかの選択肢から今の自分に最適な方法を選ぶことができるようになりました。
最も多く活用されている求職相談先はハローワークです。全国にある企業の求人情報を取り扱い、専門の相談員を配置していますので、求職中の障がい者が個々で置かれている状況や希望に合わせて対応を誰もが受けられるという点が最大のメリットです。
例えば、求職者が就職したい会社にエントリーするには資格が必要な場合はその資格を取得するための情報を提供してもらえます。また、社会人としての知識や技術を身に着けることが必要な方であれば、就労移行支援事業所などの障がい者就労支援福祉サービスのような専門機関の紹介といった幅広い支援を受けることができます。デメリットとしては公的機関ですので、ある特定したサービスや企業を直接紹介できない場合もありますので、その際はご自身かご家族・支援者を通して確認する必要があります。

続いて既に就労移行支援事業所などの障がい者就労支援福祉サービスを活用している利用者の場合、事業所内の就労訓練をある一定の期間受講し、そろそろ本格的な就職活動を始める際に自分で探してきた求人企業へのエントリー時に適切なアドバイスによるサポートや、企業面接に同席してもらうことができます。
訓練期間を通じて自分の強みや弱み、特徴などを理解している支援スタッフからのサポートは就職活動で不安になる自分を勇気づけ、背中を押してくれる有難い存在です。

他にも障がい者特化型の人材会社や求人サイトを活用した転職活動もポピュラーになってきました。最初に登録した情報や希望をもとに自分に適した企業を検索してくれる機能やメールで自分をスカウトするなど、積極的なアプローチをするサービスもある一方、窓口となるエージェントとの相性もありますので、その点の見極めも必要になってきます。とはいえ、企業との接点が多い人材会社や求人サイトの特徴である「採用側の視点に立ったアドバイス」は大きなメリットと感じます。

③,エントリー先の雇用実績は重要な判断材料


障がい者である自分が次にはたらく企業の雇用実績も判断のひとつにしてほしいと考えます。
最近は精神障がい者・発達障がい者の雇用数も増加傾向にあり、障がい特性に対する認知も広がってきていると感じられます。その一方で障がい者の定着率を見た場合、特に精神障がい者は就職後1年で50%を割り込む状況にあります。

【参考】厚生労働省:障害者雇用の現状等(平成29年9月20日・P.21)
URL:https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11601000-Shokugyouanteikyoku-Soumuka/0000178930.pdf

おそらく障がい者に対する組織の理解や経験がその後の定着率に大きく影響すると考えます。従って、障がい者雇用の実績のある企業には「多様性への理解」「蓄積された雇用ノウハウ」「経験値からくる安心感」が形成されているため、人材が定着する組織になりえると判断できます。
障がい者の雇用実績を知る最も適した場面は面接です。「①,「自分」の伝え方を考える」を経て、面接の機会を得ましたらこれらのことを確認してください。

【雇用実績で確認すること】

  • 障がい者法定雇用率

・達成 or 未達成

  • 雇用している障がい特性

・身体障がい者のみではないか
・精神障がい者・発達障がい者の雇用数(自分が同じ特性の場合は聞きやすい)

  • 障がい者の勤続年数

・長い人は何年勤務
・精神障がい者・発達障がい者は何年勤務(自分が同じ特性の場合は聞きやすい)

  • 業務内容

・障がい者=単純作業?になっていないか
・自分の希望する仕事に就けるのか

採用してほしい気持ちが強いため上記のようなことは聞きにくいと思います。しかし、転職するときの状況を考え、自分のため・将来のためを思いしっかりと確認してほしいと感じます。
これらをもとにご自身で実績があると判断できる企業が良い会社だと思います。

④,採用後の選択肢を設ける組織


転職活動や就職活動を進めるにあたり企業に採用されることが目的という方は少ないと思います。就職した後に叶えたい目標・目的を持つことは自身の成長や豊かな生活を実現させるための大きな動機になります。
しかしながら、障がい者求人に取り組む企業の雇用条件は「変動の少ない処遇」「昇格・昇進制度のない雇用」が多いため、就職した後にキャリアアップ、結婚、資産を持つといったことが考えられないと感じる障がい者ばかりなのであれば、非常にさみしく思います。
これら雇用条件を見ると、障がい者は「決まった仕事だけで良い」「管理者になれない」「給料は安くても良い」といった『障がい者の社会進出を想定していない古い時代の考え方』に感じます。

現在は、ジェンダーや個性といった多様性を受容する社会の形成が進んできました。そろそろ障がい者に対する古い考えを捨てて、新しい視点で捉える組織が増えてほしいと願います。
私は身近なところで、結婚をして子どもを育て、家族を作った障がい者をたくさん見てきました。彼ら彼女らが所属する組織では、契約社員で一定期間を過ごしたのちに正社員になるかの選択肢を与え、自分の実力で昇給や資格を手にできる雇用条件を導入しています。また、仕事を通じた経験をもとに昇進を目指すもの、今の業務範囲プラスαを希望するものに合わせた「キャリアの選択制」を設ける企業もあります。
他にもテレワーク勤務やフレックス勤務の導入は障がい特性によって一般的な出社型の勤務にストレスを感じる障がい者にとっては、健康維持と業務成果の向上にもつながりますので、自分に適したはたらき方を選択できる企業は魅力的に映るのではないでしょうか。

これらに該当する企業はまだまだ少数ですが、障がい者にも選ばれる企業はこれからの社会変化に対応できる組織として認識できると考えます。

ABOUTこの記事をかいた人

[障害者雇用コンサルタント]
雇用義務のある企業向けに障害者雇用サポートを提供し、障害者の雇用定着に必要な環境整備・人事向け採用コーディネート・助成金相談、また障害者人材を活かした事業に関するアドバイスを実施。障害者雇用メリットの最大化を提案。その他、船井総研とコラボした勉強会・見学会の開催や助成金講座の講師やコラム執筆など、障害者雇用の普及に精力的に取り組んでいる。

▼アドバイス実施先(一部抜粋)
・opzt株式会社・川崎重工業株式会社・株式会社神戸製鋼所・沢井製薬株式会社・株式会社セイデン・日本開発株式会社・日本電産株式会社・株式会社ティーエルエス・パナソニック株式会社・大阪富士工業株式会社・株式会社船井総合研究所・株式会社リビングプラットフォーム