雇用企業&活躍する障がい者インタビュー:株式会社仙拓

今回は、在宅雇用で重度の障がい者の就労を実現した愛知県の株式会社仙拓様にご協力をいただけ、自らも重度の身体障がい者である代表取締役社長 佐藤仙務様にインタビューにお答えいただきました。

Q1.読者向けに会社の紹介をお願いします。

弊社は、web制作会社として主にwebコンテンツの企画やデザイン、運営・管理、それに名刺の作成をしております。社長の私ともう一人の障がい者と二人で会社をスタートさせました。当時は障がい者だけで起業をしたのは全国初だと周囲から言われました。現在は役員2名従業員5名体制となり、うち障がい者は4名が在籍しています。

Q2.障害者雇用に取り組んだ経緯やキッカケを教えてください。

もともと、障がい者を雇用することは想定していませんでした。
自分自身が重度の身体障がい者という理由でどこにも働かせてもらえるところがありませんでした。それが理由で起業をしたのですが、会社を運営していくうちに、自分と同じような障がいが原因で働くことができない仲間が働ける場所を作りたいと思い、障害者雇用を始めることにしました。

Q3.準備段階や開始当初の失敗談や苦労はありましたか?また、その克服方法は何でしたか?

起業をした二人とも一般社会で働いた経験がなく、本当に右も左も分かりませんでした。一番苦労したのは重度の障がい者が社長ということで取引先となる企業から信頼をしてもらえなかったことです。また、初めての障がい者採用の時も「障がい者」が「障がい者」を採用するという事例がなかったために求職者の人たちからも信用してもらえませんでした。
その後、自分からメディアに対して売り込みをかけ続け、取り上げてもらえたことで信頼をもらい、克服することができました。「待っていてはダメ。自分から動くこと」が私の信条です。

Q4.障害者雇用に関する勉強はどの様にしていますか?また、情報収集の方法も教えてください。

特に勉強はしませんでした。書籍なども敢えて読まないようにしていました。
他の情報を頼りにせず、障がい者が働く職場づくりを強くイメージすることでそれらをひとつずつ実現するようにしてきました。それも、自分自身が重度の障がい者だからなのかもしれません。

Q5.障害者雇用の為に社内で新たに始めたことはありますか?

自分たち役員を含め障がい者は4名いるのですが、法定雇用率は「0」なのです。なぜなら、役員以外の2名については週20時間未満の就業時間だからです。
2名とも重度の障がい者なため、連続して長く働くことができません。今は法定雇用率を目指すのではなく、障がい者の働く場所を作ることを目標にしてきました。これからは週20時間以上働くことのできる障がい者を雇用していくことを目指しています。ただ、雇用率に関係なく良い人材と一緒に働きたいという考えがベースとしてあるのは確かです。

Q6.障害者雇用の為に利用したサービスはありますか?

これまでの障害者雇用はハローワークや従業員からの紹介というルートでした。おそらく、今後もこの形での採用になるかと思っています。他に特別支援学校ともつながっており、協力として企業実習の受入れを実施しています。

Q7.障害者雇用を始めて感じたメリットはありますか?

採用に「障がい者」だけ、「健常者」だけというこだわりはなく、よい人材なら一緒に働きたいという考えでいます。
従業員の半分が重度の障がい者ですが、自分たちのできることで存在価値を示していくことができていると感じています。重度の障がい者だからこそ注目される存在になることができました。

Q8.今現在、障害者雇用においての目標は何ですか?

世の中にある障害者雇用の形態は多種多様になってきています。決まった障がいに特化するのではなく、色々な特性を持った人たちが働ける職場の実現を目指したいと考えています。

Q9.障害者雇用に取り組もうか悩んでいる企業へのエールをお願いします。

厳しい言い方をすれば、「障害者雇用をやりたくなければ、やらなくて良い!」と考えています。他者が採用に躊躇している間に良い人材を採用できるからです。おそらく、「あの時にしっかりと取り組んでおけば良かった。」と悔やむ企業があるはずです。そうならないように今のうちからしっかりと準備することをお勧めします。

Q10.さいごに、就職準備中・求職活動中の障がいを持った方へのエールをお願いします。

自分もそうでしたが、障がい者は社会経験を積むのがとても少ないです。将来必ず役に立ちますから、チャンスがあれば色んな社会経験を積んでください。その経験から、働くことにもっと積極的になってほしいです。そうすれば、良い企業に就職することができると思います。

インタビューにご協力いただきありがとうございました。

会社情報
会社名:株式会社仙拓
代表者名: 代表取締役社長 佐藤仙務
設立日:2011年4月8日
業種:web関連
所在地:愛知県東海市加木屋町愛敬123-2
ホームページ:http://sen-taku.co.jp/
事業内容:
Ⅰ.ウェブサイト、ウェブコンテンツ及びウェブアプリケーションの企画、デザイン、制作、販売、運営、保守及び管理
Ⅱ.パンフレット、チラシ、マニュアル等の印刷物の企画、制作及び販売
Ⅲ.パソコンスクールの企画及び運営
Ⅳ.インターネットサービスの開発
Ⅴ.福祉に関するコンサルティング
Ⅵ.前各号に付帯し、または関連する一切の業務

ABOUTこの記事をかいた人

[障害者雇用コンサルタント]
雇用義務のある企業向けに障害者雇用サポートを提供し、障害者の雇用定着に必要な環境整備・人事向け採用コーディネート・助成金相談、また障害者人材を活かした事業に関するアドバイスを実施。障害者雇用メリットの最大化を提案。その他、船井総研とコラボした勉強会・見学会の開催や助成金講座の講師やコラム執筆など、障害者雇用の普及に精力的に取り組んでいる。

▼アドバイス実施先(一部抜粋)
・opzt株式会社・川崎重工業株式会社・株式会社神戸製鋼所・沢井製薬株式会社・株式会社セイデン・日本開発株式会社・日本電産株式会社・株式会社ティーエルエス・パナソニック株式会社・大阪富士工業株式会社・株式会社船井総合研究所・株式会社リビングプラットフォーム