インタビュー:株式会社OLDROOKIE

私は、ミルマガジンのコラムを通じて「障害者」×「働く」をテーマに様々な情報を配信しています。

「法定雇用率などの法律関連」「助成金制度」「職場定着」など、主には雇用義務のある企業の人事担当者が自社での障害者雇用を進める上でメリットになる情報に焦点を当ててお話しをしています。

世の中の障害を持つ方たちが“働く”というのは、そのほとんどが「事業主である企業と労働者である障害者が雇用関係を結ぶ状態」を指しています。おそらく、世間一般的なイメージとしての障害者は“弱者”という風に認識されており、当事者である障害者たちも“働く”のであれば、「企業に就職をする」という選択をするのが大多数を占めています。

そういった中、近年では「障害者=労働者」というポジションではなく、障害者自らが起業し会社の代表として活躍する企業が増えてきているのをご存知でしょうか。

今回私は、愛知県常滑市で新たに起業をされた人物を取材してきました。その人物というのは、『株式会社OLDROOKIE(オールドルーキー)』の代表取締役社長である松元拓也さんです。

10万人に1~2人の難病「脊髄性筋萎縮症」である松元さんは、全介助にもかかわらず前職では株式会社仙拓という会社を副社長という立場で起業した過去がありますので、実は今回の『株式会社OLDROOKIE』は2社目の起業ということになります。松元さん曰く「重度障害者で2社も起業した人はほとんどいないのではないでしょうか。」と。

松元さんには今回の起業のきっかけやこれから目指す目標などをお聞きしました。

株式会社OLDROOKIEを起業したきっかけ

前職である株式会社仙拓が設立されて7年が経とうとしたとき、「自分が目指すべき“やりたいこと”がここにはない。」という感覚がきっかけでした。

特に、この1年はメディアに取り上げられることも多くなり、自分たちではコントロールが効かないくらいの期待と羨望の眼差しに大きなストレスを抱えてしまう状況にありました。同時にそれは、自分が望む姿と違う点で評価をされてしまっているような感覚でした。

自分自身が重度の障害者にもかかわらず、障害者雇用に対する想いは低く、それよりも強い考えとして、「障害の有無に関係なく、本人が持つ能力を重視し活かせる会社をつくりたい!」というものでした。

会社の特徴

当社は、企業の広報支援業務をメインとして、「WEBサイトの制作」「PR用のチラシや映像の制作」を行っています。

また、昨今は企業から人材に関するご相談をいただくケースが増えており、採用関連の支援サービスの提供にも力を入れております。

また、『株式会社OLDROOKIE』にはもうひとりメンバーが居ます。名前は「なつばてみ」と言い、主にはイラストレーターとして活躍してもらっています。当社にはなくてはならない存在です。彼女は体が強くないため、体調が思わしくないときには、自分のペースに合わせた出勤体制を取ってもらっています。

なつばてみさんの作品

会社の目標

重度の障害者が起業した会社ですが、従業員をたくさん雇えるだけの規模にまで育てたいと思っています。そのためには、しっかりと成果を出していき、この『株式会社OLDROOKIE』という会社をもっともっと認知してもらいたいと思います。

そうすることで、私が関わった人材が持っている能力を発揮できるような後押しをする会社にしたいと考えています。

実は、私の周囲には優秀な能力を持つにもかかわらず、様々な理由のために埋もれてしまい、日の目を見ない人がたくさんいます。そういった人たちが活躍できるためのブランディングやきっかけづくりをこの会社で実施していこうと思っています。

前段でご紹介した「なつばてみ」も優秀な人材ですから、今よりももっと活躍できるところへ後押ししてやろうと企んでいます。

それを考えるだけで心がワクワクしてくるんです。

なつばてみさんの作品

世の中の障害を持つ方たちへのメッセージ

最近、障害を持つ学生から相談を聞く機会があったのですが、世の中は自分を認めてくれない事ばかりだと、つくづく感じさせられました。学生にとって身近である親・学校・先生・医者は、「どうせできないんだから」という考えで本人の希望を摘み取っている存在のように見えます。とても残念なことです。

私のような重度の障害者であっても起業して会社の社長をすることができました。最初は自分の強みや好きなことを見つけてください。次に、その強みや好きなことを伸ばす努力をしてください。そうすることで、「強みは武器」に、「好きなことは自分を表現」してくれます。どうか諦めないで、まずは見つけることから始めてください。

個人的に目指していること

汚い言葉ですが、「糞みたいな人間になりたくない。」と思っています。10年後の自分が過去の自分を振り返って見たときにそう思わない人生でありたいと日々考えています。それは、「やりたくないことは選ばない自分」を指しています。

あとは、【会社の目標】と同じで、自分がかかわった人を大切にし、障害の有無に関わらずその人の能力に目を向け、望みがかなえられるような後押しをしたいと思っています。

今回の取材では、記事には載せていない(載せられない?)ようなお話もたくさん聞かせていただき、あっという間の2時間でした。松元さんからは自由の利かない体であってもやりたいことを全力でやり抜く“意志の強さ”を感じました。これからは講演活動にも力を入れられるということで、今後のご活躍が非常に楽しみであります。

取材後は松元さんのお母さんも交えて、障害のある身内を持つ家族だからこそ言える話で大いに盛り上がりました。

ご協力ありがとうございました。

会社情報
株式会社OLDROOKIE
〒479-0853 愛知県常滑市本郷町3-5-2
E-mail info@oldrookie.co.jp
URL http://oldrookie.co.jp
Twitter @WD_Matsu_Taku

ABOUTこの記事をかいた人

上前 忠司 (日本障害者雇用総合研究所代表)

[障害者雇用コンサルタント] 雇用義務のある企業向けに障害者雇用サポートを提供し、障害者の雇用定着に必要な環境整備・人事向け採用コーディネート・助成金相談、また障害者人材を活かした事業に関するアドバイスを実施。障害者雇用メリットの最大化を提案。その他、船井総研とコラボした勉強会・見学会の開催や助成金講座の講師やコラム執筆など、障害者雇用の普及に精力的に取り組んでいる。 ▼アドバイス実施先(一部抜粋) ・opzt株式会社 ・川崎重工業株式会社 ・株式会社神戸製鋼所 ・沢井製薬株式会社 ・株式会社セイデン ・日本開発株式会社 ・日本電産株式会社 ・株式会社ティーエルエス ・パナソニック株式会社 ・大阪富士工業株式会社 ・株式会社船井総合研究所 ・株式会社リビングプラットフォーム