2020年以降、世界に蔓延した新型コロナウイルスは我々の当たり前だった生活を一変させ、新しいスタンダードを築くきっかけとなりました。新しいスタンダードは私生活の範囲だけではなく働く場面にも同様の変化を与えました。
その中でもリモートによる勤務は、企業に新しい働き方でも成果が得られることを示しました。またメリットを感じた従業員にとってはプライベートとのバランスを図ることができるリモート勤務の導入・継続は、組織を選択する判断材料のひとつとしての地位を確立したと言えます。
URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd123410.html
参考:転職サービス「doda」「リモートワーク・テレワーク企業への転職に関する調査」
URL:https://www.persol-career.co.jp/pressroom/news/research/2021/20211129_02/
このことは障がい者の雇用の場面にも変化を起こし、完全テレワークによる雇用で障がい者を採用する企業が増えてきました。これは障がい者の中には出社型よりも在宅型の勤務が適している特性の方々が見られ、特に障がい者雇用に積極的な大企業の人事担当者はいち早くこう言った動きを捉え、勤務条件に「テレワーク勤務」を含めた求人を出しています。
一方、求職や転職活動中の障がい者も自分の障がい特性のことをよく理解している人材はテレワークでの採用を進める企業の求人を求めています。また、そのような両者のニーズに応えようとする支援機関も徐々に増えてきました。
今回ミルマガジンでは、2022年7月1日に千葉県柏市で「完全在宅型」による就労支援サービスを提供する『就労移行支援事業所 テレワーカーズ柏』が開設されるとのことで早速取材をしてきました。当日は、同所を運営する株式会社asokka(アソッカ)の代表取締役 倉持利恵氏と取締役 栗林正人氏から話をお聞きしました。
◯『テレワーカーズ柏』開設のきっかけ
《話・倉持氏、栗林氏》
前職である株式会社テレワークマネジメントでの経験が最も大きいです。同社は企業のテレワーク導入をコンサルティングする会社で、私はテレワークによる障がい者の雇用を支援する部門に所属していました。在籍時は多くの企業からテレワークでの障がい者雇用のご相談をいただく中、実際に都市部にある会社が地方在住の障がい者をテレワークで採用するケースに関わることもありました。おそらく今後はこれまで以上に在宅の障がい者を雇用する企業が増えてくると強く感じました。
その反面、就職を目指す障がい者を支援する障がい者就労支援福祉サービス事業所である支援機関側に課題があると思いました。それは、我々が障がい者を対象にしたテレワークによる就労を目指す研修会を実施した際に、参加された障がい者にお話を聞く機会がありました。中には通所している支援機関でテレワーク勤務の訓練を受けているという方もいらっしゃったのですが、実情は自習プログラムであったりメールのやり取りだけで在宅勤務の訓練だと称しているところがあったりなど、おそらく支援機関の理解や経験が追いついていないことが大きな原因だと分かりました。
このままでは、テレワークで障がい者の雇用を進めたい企業と就職を目指す障がい者を後押しする支援機関との間に差が生まれてしまうことに危機感を覚え、それならば私が在宅就労に必要な知識や経験が学べる就労支援機関を作ろうと考え『テレワーカーズ柏』を開設することになりました。
◯『テレワーカーズ柏』の特徴
新型コロナウイルスがきっかけとした法律の改正で障がい者を対象にした就労支援が在宅でも可能になりました。従来は、障がい者支援はリアルでの対面が必須だったのですが、このような状況になりオンラインによる面談であっても支援の実施であると認められるようになったことがとても大きいです。
開設に千葉県柏市を選んだのは、以前に同市が松戸市と共催した「テレワークでの障がい者雇用に関するセミナー」に登壇したことがご縁でした。事業を始めるにあたり柏市内で事業所を構えたいことなどをご相談したところ我々の考えに理解を示していただけたことが理由です。
当事業所の特徴は千葉県内でオンラインによる在宅支援を実施している唯一の支援機関になります。これまでの経験から、テレワークで働くために必要なのはExcelやWordの技術の習得だけではないリモートワークならではのスキルや知識が求められます。こちらでは、バーチャルオフィスツールを使った働き方を経験したりZoom・Teamsによる面談や会議といったコミュニケーションを普段から使用することで就職してからすぐに実践できる環境を整えています。
もうひとつ大きな特徴として、事業所内に合気道の道場を併設しています。当事業所ではオンラインでの支援だけではなく月1回の通所をお願いしています。在宅での就労訓練では、外出や運動をする機会も減少傾向になります。また、気分転換に加えて合気道で体を動かし汗をかくことでメンタルにも良い影響があります。合気道の有段者である倉持と栗林が丁寧に指導をしますので未経験者でも大歓迎です。
現在、利用希望者からの問い合わせも増えてきております。求職活動中の障がい者はもちろん、障がい者の雇用を検討中の人事担当者からのお問い合わせもお待ちしています。
◯貴社が目指す社会について
我々が目指したいと思う社会は「働きたい人が働ける世の中」です。障がい者雇用=テレワークという働き方を広めたいわけではなく、あくまでも働く手段のひとつであり、テレワーク勤務が当てはまる人もいれば合わないと感じる障がい者もいます。
今回の新型コロナウイルスをきっかけにして、企業ではテレワークによる働き方が理解・促進された今、これまでは働きたくても就職ができなかった障がい者が企業で雇用される場面をたくさん見てきました。今以上にテレワークという働き方が企業・障がい者・支援機関に正しく理解されることで、働く障がい者が増えると信じています。
以前からテレワークによる在宅勤務が進むことで企業で活躍できる障がい者が増えると感じていました。就職先となる求人が少ない地方在住の障がい者や都心部であれば移動が困難な障がい特性のある方など、企業が雇用のスタイルを変化させたり工夫することで、眠っている障がい者人材を採用することができます。
『テレワーカーズ柏』を運営する株式会社asokkaの倉持氏と栗林氏からは時代を見越したこれからの障がい者支援を広めていこうとする強い意識を感じました。
ご協力ありがとうございました。
千葉県柏市新柏3-1-4 ルミエールⅡ 1F
https://asokka.co.jp/
【在宅利用型就労移行支援事業所 テレワーカーズ柏】
千葉県柏市新柏3-1-4 ルミエールⅡ 1F
https://a-teleworkers.com/