第1回「採用担当者におススメ!インターネット上にある障害者雇用に役立つ資料集」

インターネット上に障がい者の採用や雇用に役立つ資料集がたくさんあるのをご存知でしょうか。
厚生労働省のホームページはもちろん、各地域の行政機関からも障害者雇用に役立つハンドブックやマニュアルなどが多く紹介されています。過去に私も企業からのご相談の対応時にハンドブックやマニュアルを多用することがありました。

今回のコラムでは、インターネット上で簡単に見ることができる参考資料の中から実際の障害者雇用に使えるモノをいくつかご紹介したいと思います。

1.『障害者雇用マニュアル コミック版』【高齢・障がい・求職者雇用支援機構】

厚生労働省のホームページで紹介されているこちらの資料の一番のおススメは読みやすい「マンガ」スタイルになっているところです。紹介されている障がいは「視覚障がい」「知的障がい」「聴覚障がい」「精神障がい」「発達障がい」「高次脳機能障がい」の6種類で、各障がいごとに様々な状況や特徴を持つ主人公数名が、就職活動や採用後の職場での配慮といった実際の起こりうるシーンごとにどのような取組みが適切かといった点が詳しく描かれています。

その中でも特に感心したのは、「高次脳機能障がい」を題材のひとつとして取り上げている点です。どの障がいも特徴には個人差があり、一通りの説明や事例だけですべてを伝えることは難しいものなのですが、こちらの資料では非常に詳しく「高次脳機能障がい」のことを解説しています。例えば、一般的に「高次脳機能障がい」になる原因としては、脳梗塞や脳出血などの脳血管障がいからくるものと交通事故や転倒などで脳に損傷を追ってしまうケースがあります。また、特性としては記憶障がいや失語症といった症状が見られるのですが、これらも個人差があり配慮や自身のケア方法にも違いが出たりします。こういった特徴をもとに就職や仕事に就く場面を丁寧に分かりやすく解説してくれています。

また、各障がいの採用や雇用の現場で使用することができる各種ツール類のひな型も紹介されており、採用担当者にとっては雇用をイメージしやすい内容にもなっています。

『障害者雇用マニュアル コミック版』【高齢・障がい・求職者雇用支援機構】
http://www.jeed.or.jp/disability/data/handbook/manual/emp_ls_comic.html

2.『知的障がい者への清掃業務管理マニュアル』【東京都】

知的障がい者の雇用場面でイメージしやすい仕事というと、「清掃業」や「倉庫業」ではないでしょうか。東京都のホームページではこの「清掃業」に特化した管理マニュアルを紹介しています。

こちらの資料も非常に細かく丁寧に知的障がい者の雇用を説明しているという印象です。また、あくまでも「清掃業」という職種を取り上げているのですが、他の業種・業務にも転用して使用できる内容となっています。また、知的障がい者をはじめ発達障がい者や精神障がい者の雇用でも配慮方法やマネジメントの場面で該当するものとなっています。例えば、雇用事例の紹介やジョブコーチの活用なども紹介されており、資料の後半部分ではイラストや写真を使った清掃マニュアルも掲載されています。これら清掃マニュアルも「倉庫業」や「オフィスワーク」での仕事にも応用させることができるぐらい丁寧なものとなっています。

『知的障がい者への清掃業務管理マニュアル』【東京都】
http://www.zaimu.metro.tokyo.jp/kentikuhozen/260620chitekisyougaisyasesou.pdf

3.『知的障がい者と一緒に働くHAND BOOK』『精神障がい者と一緒に働くHAND BOOK』【大阪府】

また、大阪府は過去に都道府県別の障害者雇用達成率がワースト5以内に入ったことがあり、汚名返上と社会貢献推進という考えから、障がい者の雇用や就労支援に積極的に取り組む事業所を「大阪府障がい者サポートカンパニー」として登録するという運動を始めました。現在、毎月登録企業が増えている状況にあります。

そういった流れから、行政としても障害者雇用に力を入れる企業の後押しの一環として『知的障がい者と一緒に働くHAND BOOK』『精神障がい者と一緒に働くHAND BOOK』をホームページで紹介しています。

どちらのHAND BOOKもイラスト入りで読みやすいデザインの冊子となっており、障害者雇用の入門編としては非常によくできた内容となっています。

障害者雇用ということで、「身体障がい者」「知的障がい者」「精神障がい者」「発達障がい者」は一括りにされがちなところがありますが、支援の方法や周囲の理解度、仕事の覚え方など、障がいの特性や個々の特徴により大きく違うために、障がい者の雇用定着は「〇〇な方法で配慮すれば大丈夫!」といったものはありません。そういった面からも、「知的障がい者」と「精神障がい者」に分けてマニュアル化されているというのは採用側にとっても働く障がい者にとっても非常に親切な作り方をされていると考えます。

『知的障がい者と一緒に働くHAND BOOK』『精神障がい者と一緒に働くHAND BOOK』【大阪府】
http://www.pref.osaka.lg.jp/koyotaisaku/syogaisyakoyo/book.html

次回も引き続き、インターネット上で簡単に見られる障害者雇用マニュアルをご紹介したいと思います。

ABOUTこの記事をかいた人

[障害者雇用コンサルタント]
雇用義務のある企業向けに障害者雇用サポートを提供し、障害者の雇用定着に必要な環境整備・人事向け採用コーディネート・助成金相談、また障害者人材を活かした事業に関するアドバイスを実施。障害者雇用メリットの最大化を提案。その他、船井総研とコラボした勉強会・見学会の開催や助成金講座の講師やコラム執筆など、障害者雇用の普及に精力的に取り組んでいる。

▼アドバイス実施先(一部抜粋)
・opzt株式会社・川崎重工業株式会社・株式会社神戸製鋼所・沢井製薬株式会社・株式会社セイデン・日本開発株式会社・日本電産株式会社・株式会社ティーエルエス・パナソニック株式会社・大阪富士工業株式会社・株式会社船井総合研究所・株式会社リビングプラットフォーム