ひとり言です。
『障がい者の成長』ってどのように考えていますか。
障がい者雇用について色々な方々と関わるのですが、その中で『障がい者の成長』について気づくことがあります。
【ネガティブな意見】
- 雇用した障がい者は特定の業務のみ従事してもらいます。
- 障がいのある従業員向けの研修制度は設けていません。
- 障がい者の成長を図る仕組みはありません。
- 障がい者の成長を考えていません。
【ポジティブな意見】
- 障がいの有無に関係なく成果を求めているので他の従業員と同様の制度を活用することができます。
- 外部の支援機関も巻き込んで本人が仕事を通じて成長できる環境を作っています。
- 障がいの特性に関係なく時間をかけて仕事を身につければ必ず成長します。
- 障がい者も健常者も区別なく、同じようにはたらいてもらっています。
これまで、障がい者がはたらく企業や支援機関からお聞きした『障がい者の成長』に関連したご意見・お考えです。聞いていてモヤモヤするご意見もあれば、嬉しい気持ちになるご意見もあり、組織によってさまざまであることが分かります。
障がい者を雇用する企業が『障がい者の成長』について「期待していない」場合、雇用の目的は法定雇用率の達成が多くを占めているのだろうと考えます。このような考え方をもとにした障がい者雇用は企業にとってどのようなメリットがあるのだろうと思っています。
極論を言うと「そもそもやる意味あるの?」といった感覚です。
単に法定雇用率の達成のみを目指した障がい者雇用でも
- 業務成果よりも雇用数を目指す → 人件費がかかる
- 担当業務の準備 → 周囲に労力と負担がかかる
- 本人が求める配慮の提供 → 障がい理解のはたらきかけ など
少なくとも以上のようなことをしないといけないわけです。

隣の席ではたらいている障がいのある従業員が仕事で頑張っていても特に仕事には影響がないと言うことなのですよね。少し表現が過ぎました。。。
おそらく、このような考えがベースとなっていては企業にとって、組織にとって、一緒に働く従業員にとって、「障がい者雇用がただただ負担なだけ」となってしまうのではないか。そのような負担としか見られていない障がい者雇用で雇用されている障がい者従業員は幸せなのでしょうか。不誠実な対応をしていませんか。ということです。
障がいの特性によってはできることとできないことの差が大きい人もいます。習得するのに多くの時間が必要な人もいます。一度に任せられる範囲がごく限定的なところからスタートする人もいます。でも人は障がいの有無に限らず日々の積み重ねによって成長するということです。そこには「期待する」気持ちがとても重要なはたらきをすると思っています。
仕事をする上で後輩や部下にどのようなことを期待しますか。と自分に問うたときに
「自分でできることが増えてほしい」
「仕事を通じて学びや気づきを持ってほしい」
「与えられた役割(仕事)を楽しいと感じてほしい」
と思っています。
雇用した障がい者の中には障がいの特性によって、仕事の進みが遅かったり、できる範囲が狭かったり、配慮が必要だったりなど、いろいろな対応を求められることが少なくありません。しかしながら、成長を期待し、自分でできることが増えていくことで周囲からのサポートも少しずつ減らしていくことができます。また、仕事に関しても「限られた範囲だけ」「これ以上は求められない」「業績には影響がない」中で障がい者に働いてもらっていても、障がい者への期待も高くなりにくいと感じます。それよりも「求められた役割で成果を上げる」「少しずつ任せられる業務範囲が広くなる」「成長とともに頼られる存在になってもらう」を目指した障がい者雇用であればどうでしょう。
障がいがあっても組織の中での価値が生まれ、なくてはならない存在として見られるようになれば、障がい者雇用のイメージも変わるのではないでしょうか。イメージが変われば、組織内での障がい者雇用も進めやすくなり、法定雇用率の引き上げなどの法律改正にも右往左往しなくて済むようになります。

仕事を通じて人の役に立ち、感謝されると50歳を過ぎた私でも嬉しいと感じます。
それは障がい者も一緒です。障がい者の中には表現の下手くそちゃんがたくさんいます。普段から無表情であったり、感情を表さないのは、障がいの特性やこれまでの生きてきた中での経験によって、そうなったのかもしれません。でも人から褒められたり感謝の言葉を掛けられて、嬉しいと感じない人はあまりいないと思います。特に先天性の障がい者であれば、小さい頃から人と比べられる経験、自尊心が育たない対応のされ方、失敗やできないことばかりを指摘された辛い思いを我々が想像する以上に経験してきていると思います。もし自分がそのような環境の中で生きてきて、自分の成長なんて目指すことができるのかと問われても大丈夫ですと答える自信がありません。
でも、周囲から成長を信じてもらえる(期待される)環境であればその本人も努力することができると思います。