日本テレビ系列で放送されている「はじめてのおつかい」。
生まれて初めて「一人でおつかい」に挑戦する子どもたちの奮闘ぶりが私はたまらなく好きで、いつも半泣きになりながら観ています。
家からそんなに遠くない目的地なのに、寂しさや不安で何度も行ったり来たりしたり、道中で買い物袋が破れたり、転んで怪我をしたり、ハプニングもあったりと…
「はじめて」って、きっと簡単にうまくいくことはなくって、子どもも大人も同じなんだと番組を観ながらいつも色々考えさせられます。
今回は、初めての障害者雇用について。
「初めて」なので、子どものおつかいのように、失敗したり、ハプニングあったりと、3歩進んで2歩下がるようなことは自然なことなのかもしれません。
でも、何もわからず取り組む障害者雇用では、うまくいくわけがありません。
初めてやる上でのコツ。
それは、採用前にコストをかけることです。
採用とコストで考えてみると、障がいのない社員やパートタイマーなどを採用する際、書類選考や面接などで採否を判断します。
この場合、そんなに多くのコストはかかっていません。
(もちろん、求人広告にお金はかかっていると思いますが…。)
また、新卒採用の場合はどうでしょうか。
最近は、学生のほうが売り手市場ということもあり、企業側のコストは結構かかっているはずです。
大学まわり、説明会への参加、インターンシップ受入、学生の個別対応など、エントリー前だけでも様々な動きをしています。
また、エントリー後においても、応募者の数によっては一次面接から最終面接まで何度も面接をしたり、筆記試験、適性検査、業種によっては実技審査もあるなど、コスト(工数、人件費)で考えるとかなりの費用をかけていることが分かると思います。
障害者雇用においても、結論から言うと新卒採用と同じぐらいコストをかけたほうが良いと、私は考えています。
障害者雇用は、法律で定められた割当制度です。
法定雇用率という数字(%)を日本全体でそれぞれ役割を果たし、結果として共生社会の実現を目指すものであり、法律で定めるということはある意味で実現する難しさも持ち合わせているということでもあります。
採用前のコストのかけ方
さて、採用前のコストのかけ方について、7つの方法をご紹介したいと思います。
1、他社の取り組みを知る・調べる
他社の障害者雇用は、近年多くのところで取り組まれていることもあり、書籍やネットなどで情報も仕入れやすくなりました。
高齢・障がい・求職者雇用支援機構が運営するサイト「障害者雇用事例リファレンスサービス」では、様々な業種、業界の事例が具体的に紹介されています。
採用前に、こちらで情報収集されるとよいヒントが見つかるかもしれません。
2、障害者雇用に関する研修会の参加
研修会は、労働局や市役所、支援機関などの様々なところが主催しています。
障害者雇用で成功している企業が登壇することも多くなっているので、研修会に参加して登壇者と名刺交換するのも良いことだと思います。
研修会には、障害者雇用で困っていたり悩んでいたりする企業が多く参加しています。
自社と同じ悩みを持っている企業の存在を知るだけでも、研修に参加する意味はあるのかと思います。
3、他社の障害者雇用現場の見学
障害者雇用企業は、企業の社会的責任やCSRの観点から他社や支援機関等の見学受入を積極的にしていることも多いです。
ホームページ上で見学受入を表記していることも多く、実際の現場を見ることで、社内における工夫点や成功の秘訣を知ることができると思います。
4、支援機関の見学
障害者雇用で働くことを目指す障がいのある人は、障がいの種別に関係なく十人十色というか色々なタイプの人がいます。
得意なことや苦手なこと、職場環境との相性など、自社にとって必要な障がい者の人物像をイメージすることは、採用の質を上げてミスマッチを防ぐために重要なことです。
障がいのある人はどんなタイプの人がいるかをざっくり見るなら、就労移行支援事業所などの訓練機関を見学するのが良いかと思います。
5、社内での人権研修(職場の従業員の理解促進)
一緒に働くであろう従業員の人が、ほんの少しだけでも障がい理解をしていたほうが採用後の職場定着はスムーズなはずです。
人権研修のようなスタイルでも良いかと思います。
押し付けるような理解促進は反発を招くこともあるので、軽く理解できるような研修を継続的に開催する中で障がい理解を少しずつ促進していくことをお勧めします。
6、制度・助成金の活用
採用前に、自社の条件に合う制度や助成金がないかを考えておくことも大切です。労働局、ハローワークが窓口ですので、活用の決断をする前に問い合わせてみることをお勧めします。
近年の障害者雇用施策の充実と雇用推進の流れもあって、助成金は充実しています。
手続きの煩雑さは否めませんが、調べてみても悪くはないかと思います。
7、見学・インターンシップの受入れ
障がいのある本人や支援者による自社の見学を受け入れることも良いかと思います。
本人や支援者にとって、自社の職場環境にどんな感想を持ったか、特に支援者には現在の職場環境(物の配置、業務マニュアル、雰囲気など)が障がいのある人にとって働きやすいのか、改善点の有無などを聞いておくと良いか思います。
意見を全て受け入れる必要はないですが、無理なく改善できる点があれば改善したほうがよいでしょう。
また、本人のインターンシップ(職場体験)を短期間でも受け入れることで、職場環境と障がいのある人の相性を確かめることができますし、インターン後に従業員の感想を聞くことでお互い無理なく採用に向けて進めていくことが可能かと思います。
インターンシップは、準備や当日の対応などコストもかかりますが、お互いにとって働く前にイメージを深めることができるため、私個人的には一番のお勧めです。
以上です。
これら7つの方法は、コストがかかるということでは、少々面倒なことも含んでいるかもしれませんね。
7つは、自社の状況に合わせてご活用いただければと思いますし、コストというか少しでも手間隙かけて障害者雇用に取り組んだほうが就労定着もスムーズですし、雇用管理も負担が少なくて済むと思います。
ご参考になればうれしいです。