例年通り令和7年(2025年)12月に『令和7年障害者雇用状況の集計結果』が厚生労働省より公表されました。毎年、年末に公表される当該集計結果はその年の「障がい者雇用の統計」から、“障がい者雇用の今”を知るデータであることと共に来年以降の雇用の方向性を知る重要な資料となります。
令和7年は法定雇用率の引き上げ(令和6年4月に2.5%、令和8年7月に2.7%)の谷間となる年になります。とはいえ、令和8年の2.7%達成に向けて採用計画を進める人事担当者にとっては、一息をつく間もない状況であることには変わりがないと思います。近年の法定雇用率の引き上げの間隔は1.8%の頃から比べるとかなりタイトになっており、このままのペースで進むことを考えるとほんの数年先には法定雇用率が3.0%に到達することは間違いないと思われます。
そのような状況の中、『令和7年障害者雇用状況の集計結果』が公表されました。今回の統計に目を通してみると企業における障がい者雇用の動向で気になるところがいくつか見られました。その中から3つのポイントについて見ていきたいと思います。
①令和7年も企業の障がい者雇用実数は22年連続で過去最高を更新

令和7年、企業が雇用する障がい者の実数は、前年と比較して27,148.5人多い704,610.0人となり、初めて70万人を超える数値を達成することになりました。障がい特性ごとの内訳は下記の通りです。
- 身体障がい者373,914.5人(前年368,949.0人) : 前年比1.3%増、雇用全体の53.1%
- 知的障がい者162,153.5人(前年157,795.5人) : 前年比2.8%増、雇用全体の23.0%
- 精神障がい者168,542.0人(前年150,717.0人) : 前年比11.8%増、雇用全体の23.9%
企業ではたらく障がい者を特性ごとに見てみると「雇用全体では身体障がい者の割合が最も高い」となっています。しかし、時間を遡り10年前となる平成27(2015)年と比較してみると雇用に見られる変化が分かります。
- 身体障がい者320,752.5人(前年313,314.5人) : 前年比2.4%増、雇用全体の70.8%
- 知的障がい者 97,744.0人(前年 90,203.0人) : 前年比8.4%増、雇用全体の21.6%
- 精神障がい者 34,637.0人(前年 27,708.0人) : 前年比25.0%増、雇用全体の 7.6%
当時の企業における障がい者の雇用実数は453,133.5人となっており、令和7年のそれよりもおよそ25万人以上も低い数値でした。全体で最も多く雇用されている障がい特性は今と変わらず身体障がい者ですが、占める割合に目を移してみると身体障がい者の平成27年は70.8%だった値が直近の令和7年では53.1%まで下がり、全体の約半分を占める程度になっています。
一方で精神障がい者の雇用割合を見てみると平成27年の7.6%から令和7年は23.9%まで伸び、もうすぐ全体の1/4を占めるところまでになりました。また身体障がい者の次に雇用数の多い知的障がい者を抜いて精神障がい者が2番目に多い雇用となりました。
理由としては、企業における障がい者の雇用を見たときに法定雇用率を達成するためには障がい特性に関係なく、必要とする人材を採用することを目指したときに障がい者雇用人口が最も多く、且つ就労できていない人たち精神障がい者の中には若年層が多いため、どんどん採用されていることが挙げられます。
- 身体障がい者の人口:436.0万人:企業における雇用数373,752.5人(人口比8.6%)
- 知的障がい者の人口:109.4万人:企業における雇用数162,153.5人(人口比14.8%)(知的障がい児を含む)
- 精神障がい者の人口:614.8万人:企業における雇用数168,542.0人(人口比2.7%)
URL:https://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/r05hakusho/gaiyou/pdf/r05gaiyou.pdf
しかしながら、精神障がい者の雇用の伸びは定量的な面からの理由だけではなく、企業における障がい特性への理解が徐々に進んできたことも大きな要因のひとつと言えます。
当社への企業からの社内研修の相談・依頼では「合理的配慮」「特性理解の進め方」「多様な人材を活用した戦力化」といった内容が年々多くなっています。これは、どちらかといえば一見して見えににくい精神障がい者の特性に対する認識を周囲が深めることで、障がい者自身が担当する業務で成果を上げ、仕事を通じて満足感・やりがいを感じ、生活の質を向上させていきたいと考える組織が増えてきているのだろうと思います。
②実雇用率は前年と同水準、法定雇用率達成割合が…

続いて企業規模別の障がい者雇用の推移について見ていきたいと思います。
先ずは実雇用率から見てみましょう。実雇用率とは障がい者の雇用義務のある企業全体の算定基礎となる労働者数をもとに障がい者の実雇用数から雇用率を算出した割合になります。令和7年は法定雇用率の引き上げの谷間のタイミングでした。障がい者の雇用義務のある企業の数は前年令和6年の117,239社から3,228社増え120,467社となりました。併せて算定基礎となる労働者数も前年の28,162,399.0人から1,048,127人増え29,210,526人となり、それぞれの実雇用率は下記の通りとなりました。
- 令和6年:企業数117,239社、基礎算定労働者数28,162,399人、実雇用率2.41%
- 令和7年:企業数120,467社、基礎算定労働者数29,210,526人、実雇用率2.41%(増減なし)
令和7年の実雇用率は雇用義務企業の数、算定基礎となる労働者数、共に前年に比べて増加しました。
実雇用率は増減なしの2.41%ですが、『令和7年障がい者雇用状況の集計結果』の注釈には、「※実雇用率について、令和6年が2.405・・・%、令和7年が2.412・・・%のため、小数点以下第3位で比較した場合、前年より上昇している。」とありました。
しかしながら、法定雇用率の引き上げを来年に控えているこの時期に実雇用率の平均が2.5%に満たない状況にある企業の雇用実態が非常に気になります。これは除外率の引き下げによる影響が出ていることも理由のひとつではありますが、障がい者の雇用が企業にとって負担であるというネガティブな認識が浸透しなければ良いのにと感じてしまいます。
次回に続きます。





