片付けたくとも片付けられない?その心は?

散らかっていると片付かない?

筆者は整理整頓が好きです。
しかし、無秩序に散らかっている部屋はなかなか片付けることができません。
では、なぜこの様な逆説的な状況が発生するのでしょうか?
そして、どうすれば無秩序に散らかっている部屋を片付けることができるのでしょうか?

今回はこの一見チグハグな状況を整理し、その背景について考えてみましょう。

散らかっているとはどういうことか?

そもそも、「散らかっている状態」とは、どういうことでしょうか。科学の世界では「エントロピーが増大している」と一言で言い当てることできますが、言い換えると「無秩序な状態」ということです。

例えば、ペンや書類が散乱している机を想像してみてください。
ペンが本来あるべき場所はペン立てで、書類が本来あるべき場所はバインダーだとしましょう。収納条件が決まっていますので、すぐに片付けられそうです。

では、ペンと書類の収納場所が決まっていなければどうなるでしょうか。この場合、収納場所を決めねばなりません。もし、ペンと書類がきれいにひとまとめにされていても、収納場所、つまり収納条件が決まっていなければ、収納条件を決めない限りそれ以上片付けることができません。
つまり、散らかっている状態とは、「物理的に散らかっている状態」と、「論理的に散らかっている状態」の2種類があるのです。

論理的に散らかっていると、見えない負荷が掛かる


さて冒頭、「無秩序に散らかっている部屋は片付けられない」と申し上げましたが、これは「散らかっている部屋」という物理的な状況のみならず、「無秩序」という論理的な散らかりも発生しているため、見た目以上に労力が掛かるためです。
物理的な散らかりは、物を本来あるべき場所に収納することで解消できますが、無秩序な状態は簡単には解消できません。

では、無秩序に散らかっている部屋を片付けるにはどうしたら良いでしょうか?
まず手始めに、片付け方のルールを決めていかねばなりません。
そんなルールなど決めず、なんとなくで良いから作業を進めて行った方が早いのではないかと思いますが、この「なんとなく」行っている作業の中でも、人は無意識にルール付けをし、規則的に分けてしまいます。

もちろん、なんとなくまとめていっても片付けることは出来ますが、都度ルール付けをしていますので、脳は疲れてしまいます。最も避けたい事態は、無意識に脳が疲労し、作業効率が下がったり、作業を続けられなくなることです。

これを防ぐためには、始めにある程度、片付け方のルールを決めて、そのルールに従って片付けることが重要です。実際、筆者は無秩序に散らかった部屋を片付ける際、分類方法と収納先を決めることから始めます。その上で、片付けを始め、出来るだけ脳の疲労を軽減させます。

日常生活に潜む論理的な散らかり


そして仕事にも、この原理が当てはまります。
例えば、予定外の仕事が入る時。

1日の始まり。予め決めていたスケジュールに沿って仕事を進めていきます。
そこへ、次々と予定外の案件が飛び込んできます。順次処理していくと、もともと予定していた仕事が終わらなかった…

そう。これも論理的に散らかっている状態のため、無意識の内に脳が疲れてしまっているのです。
そのため、予定外の案件が入ってきたら、自分の中でスケジュールを再調整します。
そうすることで、仕事の効率も上がります。

そんな当たり前のこと、何を今更と思いますが、「論理的な散らかり」は様々な場面に存在しています。
例えば、帰ってきてスマホをなんとなく眺めている時、私たちは様々な情報に触れてしまいます。ブラウザを開けば自分が関心を持っている様な話題が表示されたり、YouTubeを開けば、自身の好みに基づいた様々な動画が表示されます。また、スマホのホーム画面を見ているだけでも、様々な通知が来たり、とにかくキリがありせん。一つ一つの情報や通知は些細な物でも、無秩序な情報であるため、脳内では無意識の内にルール付けして、整理しようとします。
その結果、リラックスするつもりだったにも関わらず、ただ疲労だけが溜まってしまうことになりかねません。

もちろん、目的を持ってスマホを眺めている方も大勢いますし、スマホで調べ物をしたり、動画を観たり、好きなブログを読んだり、自分の時間を過ごすことで、リラックス出来る人たちも少なくありせん。

ではスマホを何となく眺める時と目的を持って見る時で何が違うのでしょうか。
それは、論理的な散らかり度合いの違いです。
何となく眺めている時は、常に何かしらの情報が入ってきますので、急に仕事が舞い込んでくる時と同じく、無秩序な状態です。

一方、目的を持ってスマホを眺めるとき、目的(ゴール)と手段が明確になった秩序立った状態ですので、論理的な散らかり度合いは低くなります。その結果、スマホ閲覧中に様々な情報が飛び込んできても取捨選択が働き、無秩序な状態になりづらく、疲労を軽減させることができます。

論理的な散らばりを意識して行動しよう

今回例として挙げた、仕事やスマホの閲覧だけでなく、ありとあらゆる場面に論理的な散らばりは存在しています。大事なことは、その存在に気づくことです。そうすることで、無意識のうちに脳に疲労が蓄積することを避けることができます。
一方、最も避けるべきは、気づかないうちに論理的な散らばりが増大することです。
物事には必ず論理的な散らばりが存在していることを意識して行動していくと、疲労が抑えられ、新しい気づきに出会えるかもしれません

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▼プロフィール:
大人になってから、ADHD(注意欠陥多動性障がい)とASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けました。永らく、自身の特性から低い自己肯定感に悩まされていましたが、留学を通じて自己肯定感を高め、少しずつ様々なことにチャレンジしています。