企業が得られるメリット〜就労移行支援事業所の活用〜

最近は、いろいろなニュースも重なって「障害者雇用」は新聞やテレビなどで取り上げられることが多いですね。
私も、仕事を通じていろいろな企業の皆さん(社長や人事担当者、現場指導者などさまざまですが…)にお会いし、たくさん話を聞かせてもらいますが、人手不足や少子高齢化の影響もあるのか、または障害者雇用の法定雇用率のアップ(民間で2.2%)も影響してか、障がい者の採用と定着に対して悩ましさを感じている企業は多いように思います。

そんな中、最近は企業が障害者雇用を進めていく上で、どの企業も就労移行支援事業所とパートナーシップをとり、採用と定着に取り組んでいることが多くなっています。

また、これはハローワーク担当官からお聞きした意見ですが、ハローワークなどで就職活動しているほとんどの障がいのある人(身体障がいを除く)は、就労移行支援事業所や障がい者就業・生活支援センター(通称、ナカポツor就ポツ)などの就労支援機関に属しているようです。
ご本人は、支援者と相談しながら就職活動と就職後の社会人生活について何らかのサポートを受けており、支援者がそばにいる障がいのある人は多くなっていると思います。

つまり、企業が障害者雇用で採用活動をする際、支援者(就労支援機関)とパートナーをとって進めることが望ましく、特に「就労移行支援事業所」とのパートナーシップが成功の秘訣であると思います。

就労移行支援事業所については、以前のコラムをご覧ください。

就労移行支援事業所とは?具体的な支援内容についてご紹介します。

2017.11.02

上記のコラムでは、「企業支援の内容について」も書いています。
企業側としては、これが最大の活用メリットです。

コラムとは少し違った表現で書いてみると、以下が具体的なメリットかと思います。

  • 自社の求人募集に適した障がいのある人を検討してくれる(但し、あっせんはできない)
  • 適する仕事内容を一緒に考えてくれる
  • 働きやすい職場環境を一緒に考えてくれる
  • 仕事をわかりやすく教えるための手立てをアドバイスしてくれる(本人に適したマニュアル作成、構造化の工夫など)
  • 本人の生活面、家族の状況などを把握してくれる
  • 必要に応じて本人と職場の仲介をしてくれる(面談の同席、通訳的な存在)
  • 就職後7ヶ月目〜3年6ヶ月まで「定着支援」をしてくれる

最後の「定着支援」についてもメリットのひとつです。
最近は、精神障がいや発達障がいの人の職場定着が話題になることも多いため、「定着支援」については、もう少し具体的に解説したいと思います。

「定着支援」とは


一般的な就労定着支援事業の支援内容は以下のとおりです。

  • 障がい者との相談を通じて生活面の課題を把握するとともに、企業や関係機関等との連絡調整やそれに伴う課題解決に向けて必要な支援を実施。
  • 具体的には、企業・自宅等への訪問や障がい者の来所により、生活リズム、家計や体調の管理などに関する課題解決に向けて、必要な連絡調整や指導・助言等の支援を実施。

(厚生労働省のHPより)

2018年の4月から、障がい者総合支援法の改正により「就労定着支援事業」という本人が利用する障がい福祉サービスが新たに加わりました。
簡単に言うと、就職して6ヶ月が終了した翌日(つまり7ヶ月目)から3年6ヶ月まで就労移行支援事業所等から「就労定着に関する支援」を受けることができるというものです。
ただし、これはご本人と就労移行支援事業所等による契約によって就労定着支援が利用できるため、支援を希望しない障がいのある人がいる可能性もあり、支援事業所によっては就労定着支援を実施提供していない場合もあるため、詳しくは直接問い合わせることをお勧めいたします。

障がいのあるご本人が就労定着支援を利用したとすれば、ご本人と企業だけで解決すべきことについて支援機関が就労定着支援として仲介する、職場での面談に同席するなど、支援機関による専門的な第三者意見を取り入れながら職場定着に向けて取り組んで行くことが可能となります。

もちろん、採用の段階でミスマッチが起こっていれば職場定着を目指すのは無理があると思いますが、適材適所で採用ができていれば職場定着を支援機関と一緒に取り組む中で業務の安定化、戦力化はよりスムーズであると思います。

就労移行支援事業所の立ち位置


就労移行支援事業所は、企業にとって重要なビジネスパートナーです。
企業が障がいのある人を採用し、雇用管理や人材育成をしていく上では、障がいへの基礎知識・ノウハウはとても重要となるため、適宜アドバイスをもらえたほうが採用も定着もうまくいくはずです。

ただ、雇用主と本人で結んだ雇用契約書に就労移行支援事業所等の記載はないため、就労移行支援事業所はあくまで第三者的な存在であり、両者の関係をよりよくしていくためのアドバイザーのような存在です。
ですので、できるだけ自社で雇用管理と人材育成のチカラを身につけていき、就労移行支援事業所のチカラももらいながら、自社における障害者雇用の促進と戦力化を目指していくことが望ましいと思います。

ABOUTこの記事をかいた人

▼プロフィール:
京都生まれ京都育ち。児童福祉の専門学校を卒業後、長野市にある社会福祉法人森と木で障害のある人の就労支援(企業就労の支援、飲食店での支援と運営管理等)に限らず、生活面(グループホーム、ガイドヘルプ等)の支援、学齢期のお子さんの支援などに従事。2013年に帰阪し、自閉症・発達障害の方を対象に企業就労に向けたトレーニングをする2つの事業所ジョブジョイントおおさか(就労移行支援事業・自立訓練事業を大阪市と高槻市で実施運営)にて勤務。2014年より所長(現職)。また、発達障害のある大学生に向けた就活支援プログラム(働くチカラPROJECT)の運営にも力を入れており、2016年より大阪にある大学2校のコンサルタントも務めている。

▼主な資格:
社会福祉士、保育士、訪問型職場適応援助者(ジョブコーチ)

▼主な略歴:
長野市地域自立支援協議会 就労支援部会 部会長(2011〜2013)淀川区地域自立支援協議会 就労支援部会 副部会長(2015〜)高槻市地域自立支援協議会 進路・就労ワーキング 委員(2016〜)日本職業リハビリテーション学会 近畿ブロック代表理事(2017〜)NPO法人ジョブコーチネットワーク、NPO法人自閉症eサービスが主催する研修・セミナー等での講師・トレーナー・コンサルタント等(2013〜)